コネとか口利きとか | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

いまさらのように世間が騒いでいるので、ふと思い出した。


数年前に住んでいたアパートでの出来事。

そのアパートは大家さんちの敷地内に建てられていて、駐車スペースがきちんと区切られていなかった。4世帯住んでたんだけど、車はだいたいの位置を阿吽の呼吸でもって決めて止めていた。

ある日、お隣さんが、うちのダンナの車にちょいと車をぶつけてくれた。ひゅーっとバックしてきてガシャン。ダンナの車はヘッドライトが割れ、バンパーもゆがんだ。

保険屋を呼ぶか、という話も出たのだが、なぜかお隣さんがそれを渋り、うちのダンナも大事な車だから自分で直すといった。(車いじりが趣味だったの)


つまり、おおごとにしたくなかったんだろうなあ。実費で直すからというと、じゃあよろしくってことになった。ダンナはランプカバーを買ったりしてなんとか自分で直した。そして実際に買ったもの(カバーとかランプとか)の分だけをお隣さんに請求した。


それを払ってくれて、問題なく解決するはずだった。私の心づもりでは。


数日後、固い表情のお隣さんが手紙を持ってきた。なんだろう、と読んでみて、私は頭に血が上った。


お隣さんは請求された金額を見て、驚いたらしい。思っていたよりも高かったんだろうなあ。ダンナの車は古くてボロに見えたから。(ハチロクのトリノだったんだけどね)

ちゃんとした工場で直すより安く上がると思って、実費にしたのに、と思ったらしいことが手紙に書いてあり、私たちがぼったくろうとしていると思ったらしかった。

で、「そちらがそのつもりなら」「うちには、知り合いに警察関係者もおり」「なんらかの処置をとってもらうことだってできるのだ」というようなことが書き連ねてあった。


驚いたなあ、あのときは。

まず足元を見て、実費で、自分で直してくれ、と言い出したのはお隣さんの方だし、うちはお隣さんに壊された部品を自分で買って直しているのに、なんかふっかけているのじゃないか、という疑いをもたれたということがとても腹立たしかった。


だから、うちの方から「保険屋さんを入れましょう」と提案した。もちろん向こうの保険屋さんだよ。それでもなんだかぶつくさ言ってたけどね、保険屋さんにちゃんと証明してもらいましたよ。うちが請求した金額は適正価格だって。





自分がそもそもぶつけといて、ちゃんとした謝罪もなく、気に入らないとコネだのなんだのをちらつかせる。そういう精神構造の人がいるんだなあ、とびっくりしました。

そういうことをする、というのは、その「警察関係者」とか言う人が便宜を図ってくれる、と思うからですよね。

なにかしら、権力やら地位やらがあれば、横車が通るのだ、という「常識」がはびこってるということを思い知らされました。


大分の事件でも、横車が「通るのだ」と思っている人と「通してもらえるのだ」と思っている人がたくさんいたということです。試験を受けて先生になった人(子)は知らなくても、その親はそういうものだと思っていたし、「なんとかしてやってくれたまえ」と言ってた人は横車が通らないと文句を言ったようです。


これって目新しいことですか?なんかそうは思えないんですけど。マスコミは今初めて知ったかのように大騒ぎしてますけども、何を言ってんだかって感じです。

大同小異、似たようなことが全国津々浦々で行われているのに、素知らぬ顔して今回の事件の当事者を非難してるのが、どうにも片腹痛い。


談合といい、今回の事件といい、日本人の本性に係る根の深い問題なんじゃないかと思えてなりません。