• 23 May
    • 情深深雨濛濛

      情深深雨濛濛 音楽全記録 OST 台湾盤/EEI ¥価格不明 Amazon.co.jp 2001年の大陸・台湾合作ドラマ。全四十六集。中華民国~日中戦争時の上海を舞台に、愛や戦争に翻弄される若者達を描く。こう書くと何だか暗い話を想像してしまいがちだが、実際はそんなことなく、NHKの朝ドラみたいな作風に近い。家庭・親子・貧富・友情・恋愛といった大衆受けの良い要素を丁寧に盛り込んだ一級のエンターテイメント作品になっている。中国ドラマらしい目まぐるしい展開、シンプルながら熱いドラマの連続に、不覚にも度々泣かされてしまった。特に終盤、若者達がそれぞれの思いを抱いて戦場に赴き、帰還するまでの展開は感動的。戦争へ行く動機が、陳腐な抗日ドラマにありがちな「共産主義万歳!」とか「日本鬼子許し難し!」とかじゃなくて「家族や恋人を守りたい」という、若者臭くて純粋に庶民的な理由なのが良かった。やっぱそうだよねえ。庶民にしてみたら国の事情とか政治的な理由はどうでもよくて、守りたいものがあるから戦争へ行くんだよね。こういうところは、日本人でもフツーに共感出来るんじゃなかろうか。少なくとも自分は感動した。日本で戦争ものを作ると、決まってしみったれた説教くさい話になってしまうから、こういうドラマを作れる中国人が少し羨ましい。やはり戦勝国だからか。 ちなみに原作は「烟雨濛濛」というタイトルの小説で、1986年に一度ドラマ化もされており、本作はそのリメイクということになる。 赵薇をはじめ、今や超有名になったアイドル達の若き姿が拝める。また台湾側の制作会社があの有名な古装ドラマ「还珠格格」と同じなので、主要キャストが結構被っている。見比べるのも楽しいかも。 オープニングの「情深深雨濛濛」が名曲。それ以外にも、赵薇の役柄がナイトクラブの歌手ということで、彼女の歌う数々の挿入歌がいずれも素晴らしい出来。 ちょっと時代は古いが、とても良質なエンタ-テイメント作品なので是非見るべし。 以下キャスト 赵薇/陆依萍 上海の富豪・陆家の八番夫人の娘。しかし母親ともども屋敷から離れた部屋に追いやられて、貧しい生活を送っている。父親の支配から自立すべく、ナイトクラブの歌手として働くことに(民国期のお話なので、歌手なんて給料は別として下等な職業である)。気性が激しく、父親とはことあるごとに対立していたが、性格はその父親譲りな気も。赵薇が初々しくて可愛らしい。歌も上手。 古巨基/何书桓 上海の若き新聞記者。イケメンで聡明で正義感に溢れ、誰からも好かれる完璧なヒーローキャラ。武術も修得しており数人くらいの暴漢ならぼこぼこにしてしまう。なんか最近気がついたんだど、中華民国期ドラマに出てくる記者ってみんな武術出来るのがデフォなのね…。嫌味を言いたくなるほど完璧だが、古巨基の甘いマスクのせいで全て許せてしまうから不思議。陆依萍とはお互いの価値観の違いからぶつかり合いつつも、愛を深めていく。 苏有朋/杜飞 何书桓の同僚であるカメラマン。 陆如萍に一目惚れし、彼女の尻をわかりやすく追っかける。最初は全然相手にされていなかったが、終盤でめでたく結ばれた。本作のギャグ担当。というか、最終回までギャグをかまし続けるとは思わなかった。 林心如/陆如萍 陆家九番夫人の長女。依萍の腹違いの妹にあたる。何书桓に密かな恋心を抱く。優等生のお嬢様キャラだが、本人も気づかぬうちに悪役キャラへ変貌している。実は母親の悪女成分をかなり受け継いでいるんじゃないかと思う。林心如は大きい瞳が印象に残る。 寇振海/陆振华 「黑豹子」とも呼ばれたもと国民党軍の司令官にして、上海陆家の長。歳をとっても横暴な性格は相変わらず。しかし話が進むにつれて家族達と和解し、何だかいい人に。とはいえやってきた悪事のデカさを考えると何だかもやもや。臨終の萍萍とのエピソードもちょっとなぁ。 徐幸/傅文佩 陆家第八夫人。依萍の母。第九夫人である雪琴のせいで夫に疎まれ、屋敷と離れた小さい家で貧しい暮らしを送っていた。あまりにも大人しすぎて視聴者的にはちょっとイラッとくるかも。 王琳/王雪琴 陆家第九夫人。きーきーうるさい嫌な女。実は夫に隠れて愛人を作っていた。他のキャラと異なり最後まで更生しなかった。 高鑫/陆尔豪 王雪琴の長男。新聞社に勤務し、何书桓達の同僚でもある。若い頃に李可云と恋をしたことが後々大きなトラブルに。まあ半分は事故だが、半分は本人が悪い。そもそもの性格もあんまり良くないような。まあつき合ってる友人たちがいい奴らだから結構救われてるけど。 李钰/方瑜 依萍の友人。常識肌のいい子。尔豪と恋仲になるが、李可云の件で色々複雑に。なんか最後はうやむやに解決されてしまったような気がするんだが。演者さんはなんと2009年に癌で病死したとのこと。まだ若くてこれからの人だったのに悲しい。 李可云 陆振华の部下・李正德の娘。過去に尔豪と恋をして子供を産むが、無理矢理別れさせられてしまい、子供は病死。その事故のせいで記憶を失い、狂ってしまった。中国ドラマセオリーの一つである頭の弱い脇役ヒロイン。時々我を忘れて暴れてしまうため、そのたび両親に緊縛プレイされる。三つ編みお下げが可愛い。 乐珈彤/陆梦萍 陆如萍の妹。性格の悪いくそ女だったが、中盤の事件をきっかけに更生した。何気に依萍と书桓の最初の破局のきっかけを作ったりしている。 曹秋根/李正德 陆振华の部下。真っ直ぐな性格の好漢だったが、そのせいで王雪琴と争いになり陆家を去る。その後は車引きをして生計を立てていた。陆振华への忠誠心はずっと変わらず、また傅文佩には主としてまめまめしく仕えている。 黄达亮/秦五爷 ナイトクラブ「大上海」のボス。依萍を歌手として雇う。怒らせると恐ろしいが、なかなか懐の深い人物。 王艳/萍萍 陆振华最愛の女性。清朝高官の娘だった。陆振华とは相思相愛だったが結ばれずに終わる。ある意味、この物語の元凶とも言えなくない(笑) 名場面 2話 私、働くわ! 陆振华に冷遇され、貧しい日々にあえいでいる陆依萍母子。「あそこ」と呼んでいる屋敷へ窮状を訴えても、父親と兄妹達はまるで相手にしてくれない。耐えかねた依萍はナイトクラブの歌手(上でも書いたが下賤な職業)として働く決意をするが…。 若い女性の自立、というものを直球で描いている名場面。現代中国は変が目まぐるしく、親と子で価値観の差による軋轢が絶えないと聞く。旧時代を描きながらも、きちんと現代の若者に訴えかけるメッセージがあるのが素晴らしい。 20話 部下との再会 娘からかつての副官・李正徳が上海に住んでいることを聞き、自ら赴いた陆振华。数十年来の再会に、二人は涙を禁じ得ないのだった。 陆振华の印象が段々いい方向へ変わってきた頃のエピソード。陆振华と李正徳の友情が素敵。自分の娘達には何かと冷たい陆振华が、李可云にはとても優しく接しているのはほっこりした。 28話 復讐 陆梦萍を襲った暴漢達を夜に紛れて粛清していく陆振华・何书桓・杜飞。確かにスカッとするんだけど…あんたら怖すぎ(笑) 陆振华はともかく、記者どもはそんなことやっていいんか。 44話~46話 戦場へ、そして家へ 日本は華北を占領し、戦火は上海にも押し寄せる。若者達はそれぞれの思いを胸に抱いて、戦場へ向かう決意をする。それを見送る女達。やがて、八年続いた戦争は終わり…。 ベタすぎるエピソードなんだけれどとにかく泣ける。

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  • 20 May
    • 文化大革命五十周年のこと

      先日興味深いニュースを発見した。 二〇一六年は文化大革命からちょうど五十年目になる。かつて紅衛兵をやっていた青少年でさえ老人にさしかかるほどの年月が経っているわけだ(正確には文革の開始が一九六六年で、その後十年近く地獄の時代は続いていたわけだけど)。 ちょうど先日の五月十六日が、文革の開始第一段階「五一六通知」の発信されたいわば記念日なのだが、中国メディアは揃って沈黙していた様子。五十年が過ぎても、中国にとって文革は未だパンドラの箱状態らしい。しかしあと三十年も過ぎて文革の当事者がいなくなれば、歴史ねつ造が得意なあの国のこと、文革による被害は日本の陰謀だったとかワケワカランことを言い出すかもしれない。もちろん、今後中国政府の歴史認識が良い方向へ変わってくれればこの限りではないだろうけど、共産党が政権を握り続ける限り期待は出来ない。 結局、自国の歴史を知らないままで困るのは、とうの中国人達だ。資料の少ない古代ならまだしも、近代史で歴史に空白を作ることなんて不可能に近い。ネット文化の行き届いた現代では尚更。情報が世界中から得られるのだから、お国芸の焚書も困難だ。中国政府はさっさと態度を改めて真摯に過去の歴史と向き合ってはどうか。もともと人類の歴史なんて綺麗なものではない。どこの国も何かしらの誤りを犯してきたし、それを繰り返さないために、歴史から学んでいるのだ。 とはいえ、もし文革の歴史を明らかにしたら何かしらの騒動が起きるのは間違いない。政府が怯える気持ちはまあわかる。したたかな中国人民のことだから、きっと被害者を名乗る連中(本当に被害を受けてなくても)が続々政府へ賠償を要求したりするだろう。あの国の人間ならやりかねない。 もうこうなったらあれですね、日本で文革の資料をごっそり保存しておいて、共産党政権が倒れた後にでも中国へ公開してやるのがベストかもしれない。中国国内で散逸した古典小説が日本で沢山発見された、という過去事例もあるわけだしね。

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    • 一剪梅

      1931年のサイレント映画。当然ながらモノクロ。 元ネタはシェイクスピアの「ヴェローナの二紳士」。また変なところからチョイスしたもんだと思いきや、原作の舞台設定やモチーフがなかなか物語にマッチしておりいい感じ。いやあ意外。当時の上海・広東を舞台にしているだけあってモダンな雰囲気。一方で恋のキューピットとして紅娘の故事が出てきたり、うまく中国的な要素も盛り込んでいる。またタイトルの「一剪梅」は作中のカップル達を繋ぐ重要なキーワードとして度々登場する。これも中国古典でいうところの「桃花扇」みたいなアイテムに近い。 サイレント映画なので、やっぱり役者達の細やかな動きに目が行く。手や表情の演技が凄い。作中で文字を読めない侍女が新聞をくるくるまわしている場面なんて、ああなるほどなぁと膝を打ってしまった。現代の映画では見られない、味のある表現だと思う。 欠点があるといえば昔の映画特有のテンポの悪さ。正直、現代の感覚でやったら三十分足らずで終わってしまいそうなストーリーである。それを長々見せつけられるので、場面によっては飽きが来てしまう。まあこれサイレント映画全般に言えることなんだろうけど。あと台詞字幕が繁体字だったので読みづらかった。一緒についていた英語字幕に救われたよ…。 以下キャスト 金焰/胡倫廷 原作でいうところのヴァレンタインにあたる…ていうか胡倫廷てまんまヴァレンタインの中国語読みじゃねーか! 広東で知り合った施洛華に恋するが、親友だった白樂德に陥れられて彼女を奪われる。その後馬賊に。広東に馬賊…まあいてもおかしくないか。ほぼ原作と同じ経過をたどっている。 阮玲玉/胡珠麗 胡倫廷の妹。本作のヒロインの一人。婚約していた白樂德に裏切られてしまう。演じる阮玲玉は中華民国期におけるスーパー女優。演技は表情豊か、現代でも通用しそうな美しさが素敵。チャイナドレスの令嬢姿も、後半で見せる男装もよく似合ってる。 林楚楚/施洛華 本作のヒロインの一人。広東の将軍の娘。名前は…まんま原作のシルヴィアですな。可愛さでは阮玲玉に劣るかな? でも出番は阮玲玉よりずっと多い。 王次龍/白樂德 原作におけるプローテュース役。いかにもな悪党ヅラなのが笑える。まあこの時期の映画だからビジュアルでもわかりやすさは大事だろう。 陳燕燕/阿巧 胡珠麗の侍女。主の恋愛を一緒に喜んだり悲しんだり、凄く可愛い。

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  • 18 May
    • 野火と春風は古城に闘う

      中国現代文学選集〈第12〉長編小説 (1962年)/平凡社 ¥価格不明 Amazon.co.jp 李英儒の長編小説。刊行は1958年。日中戦争期、華北における日本の傀儡政権と戦う共産党地下工作員たちの活躍を描く。タイトルは野火を日本軍および傀儡政権、春風を共産党八路軍、古城は舞台となっている河北地方にたとえているとされる。 以前本ブログでも紹介した「林海雪原」と同じく、共産党軍の勇ましい活躍がこれでもかと描写されている。主人公をはじめ共産党側の人間は肉体的・思想的にも完成された超人ばかり、対する国民党側は卑劣で嫌らしい人物でかためられており、いかにも作り物くさい。ストーリーも「数で劣る中国共産党軍が、知恵と勇気で日本の傀儡政権を叩きのめしました!」という実にわかりやすい内容。なんか林海雪原でも同じこと書いたような気がするな(笑) 後書きを読むと、当時の翻訳者が本作を称賛しているが、正直こんな作品が「文学」であってはいかんだろうと思う。1950年代の中国現代小説は多分にプロパガンダ的な臭いがしてどうも好きになれない。何かにつけて共産党万歳!なのだ。そういうわけで、日本人がこれを読んでもまず面白くないことだけは断言出来る。私も途中で投げ出したくなった。たぶん、まだ共産主義に希望を感じていた過去の時代の人々ならまだ楽しめたかもしれない。 とはいえ、本作でも非常に興味深く読ませて貰った点が一つある。それは主人公率いる共産党軍の敵が、終始中国人であることだ(もちろん、日本の傀儡政権であり思想的にも対立している国民党の中国人ではあるけれど)。日本人と直接戦うシーンは殆どなかったりする。実際、日中戦争で中国人が殺したのは、日本人より中国人の方が多かったという話もある。日本人を追い出した途端同胞同士で内戦を始めるような国である。正直、日中戦争の実態は中国人同士の殺し合いで、日本はいつの間にか全ての負のイメージ(戦時下における拷問とか虐殺とか)を押しつけられているような気がしてならない。

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  • 15 May
    • 香港陥落

      中国現代文学選集〈第7〉抗戦期文学集 (1962年)/平凡社 ¥価格不明 Amazon.co.jp 茅盾の中編小説。「香港陥落」のタイトルは邦題で、もとは「却後拾遺」という。まあ意味としては邦題と似たようなもの。 物語は、日本軍の侵攻によって混乱に陥る九竜島の中国人達を描く。作者の代表作である「子夜」と同様、様々な階層の人々が登場するのが特徴。しかしながら作品の長さが短いこともあって「子夜」以上に窮屈な印象を受ける。場面が変わるごとに登場人物も次々変わるため、最初はまったくついていけない。物語そのものよりも、階層ごとに異なる人々の戦争への反応や、日本軍の侵略模様などに注目した方が楽しめるかもしれない。意外というかやはりというか、自国の軍隊や政府をまるであてにしていない中国人が印象的。そしてどんな悲惨な境遇に陥っても損得勘定をたくましく働かせるあたりも実に中国人らしい。防空壕での生活や、空を飛び交う高射砲の描写の細かさは、作者が実際香港にいたからこそ書けたものだろう。茅盾は香港陥落後、夫人らを伴い桂林へ逃れている。 ちなみに、当時の香港はアヘン戦争以後イギリス人の領土であり、日中戦争時は諸外国と中国政府の中継地として機能していた。日本軍が香港攻略に動いたのもそのため。イギリス軍は駐屯していた兵隊以外に、諸国民で構成された義勇兵が集まっていた。当初こそ日本軍相手に奮戦したものの、結果的に僅か数週間で降伏してしまった。

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  • 26 Apr
    • あっという間に一か月

      ちょっと忙しくなってちょっと更新をさぼるとこれだもんなぁ。 ゴールデンウィーク中にまたドラマや本をあさりたいです、ハイ。

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  • 27 Mar
    • 文庫だ!

      寒い夜 (岩波文庫)/岩波書店 ¥1,166 Amazon.co.jp まさかの「寒夜(タイトルは寒い夜になってるけど、古いバージョンの寒夜の方が馴染みがある)」が文庫で復刊! といっても一部の中国小説ファンしか見向きもしないんだろうなあ、とほほ。 個人的には「家」以外の激流三部作も邦訳して欲しいぞ!

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  • 15 Mar
    • 上海の女

      一九五二年の東宝映画。監督は稲垣浩。日中戦争期、中国上海で暗躍するスパイ達の戦いを背景に、一人のスパイとち歌手の恋愛を描く。 当時の中国ものの女優といえばやはりこの人、李香蘭こと山口淑子。物語の舞台は上海だが、戦後間もない当時の日中関係はあんまりよろしくなかったので、主要な撮影場所は横浜だったとか。冒頭のカットは別の映画から拾ってきたらしい。 まず驚かされるのが、キャストの殆どが日本人なのにも関わらず、かなり堪能な中国語を披露してくれること。李香蘭はいいとして、そのほか主演から脇役に至るまできちんとシーン別に言語を使い分けている。中には英語だけでしゃべるシーンも。うーん凄いこだわり。俳優達はよほど訓練を積んだのだろう。 ストーリーは完全に恋愛物。敵対する二人が愛し合う展開は王道で、特に捻りはない。李香蘭演じる李莉莉は歌手という役柄もあって、「夜来香」をはじめ自身の持ち歌を幾つも披露してくれる。これはなかなか面白い。 恋愛を盛り上げる下地として、日中スパイ組織の闘争があるが、変に政治的なイデオロギーが入ってないのが驚き。反戦的な台詞も無いわけでは無いが、ことさら日本を自虐的に描くようなこともしていない。ここらへん、現代の日本人の方が変にアレルギーを持っていて戦争をうまく描けないのとは大違い。実在の人物も多数登場し、かなりリアリティのある作風。 リアリティといえば、日本人でありながら漢奸としてスパイ組織に殺されてしまう李莉莉の最期は、一歩間違えば演じている李香蘭も同じ末路になっていたわけで(日中戦争終結直後、李香蘭は漢奸として国民党に処刑されかけたが、ロシアの友人のおかげで日本人だと証明してもらい、危うく命拾いしている)、演技にも熱が入っていたのではなかろうか。 古い作品だしDVD化もされていないので見る機会は少ないだろうが、戦争から間もない頃に作られただけあって日本人が当時の上海をよく再現している名作。特に李香蘭ファンなら要チェキである。

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  • 13 Mar
    • 白蛇伝 その①

      白蛇伝/偕成社 ¥1,728 Amazon.co.jp 今回からこれについて語っていきたい。 白蛇伝は中国四大民間伝説の一つ。 元ネタらしきものは唐代以前からの伝奇に存在し、宋代で民間の説話が広まり、さらに明清代であれこれつけ加えられて完成した。初期のバージョンは単なる志怪小説でしかなかったが、後代には恋愛要素やらアクション要素まで加わっており、現代版は完全に神魔小説のジャンルになっている。白蛇伝の変化過程は、時代ごとの作者や読者の嗜好がわかって興味深い。 また、日本でも案外よく知られている作品ではないだろうか。ちょっと時代は古くなるが、アニメや映画まで作られている。冒頭で貼りつけたのは偕成社より刊行されている白蛇伝。ほんとここの出版社はいい作品を出してくれる。イラストの小青がかわゆす。 次回以降、各時代の作品について詳しく紹介していく。

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  • 04 Feb
    • 秦淮八絶

      最近、中国妓女について調べているのですが、そんな中で気になったのが秦淮八絶。明末清初の南京でとりわけ優れていた八人の名妓達のこと(余談だが、今の南京には秦淮八絶という点心がある)。 八絶の内約は以下の通り。 ・柳如是 ・顾横波 ・马湘兰 ・陈圆圆 ・寇白门 ・卞玉京 ・李香君 ・董小宛 このうち、日本でもそこそこ知られているのは陈圆圆、李香君、董小宛くらいだろうか。個人的には桃花扇が好きなこともあって、李香君が一番好きだけど。 美しい江南水郷に囲まれていたら、ただでさえ美しい妓女達はもっと美しく見えたのだろうなあ。

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  • 24 Jan
    • 遊仙窟

      遊仙窟 (岩波文庫)/岩波書店 ¥756 Amazon.co.jp 唐代初期の伝奇小説。作者は張鷟。初唐ではかなり名を知られた作家だったようだが、中国では彼についての記録が殆どなく、作品も殆ど残っていない。本作「遊仙窟」も本国では散逸しており、後になって日本から逆輸入されて中国に再び伝わっている。 物語の内容は、主人公の張文成(張鷟は名を文成という。つまり作者自身)が黄河の源流へ向かっていく途中で桃源郷に迷い込み、そこにいた女と一夜を楽しむ、というもの。こう書くと嘆美な印象を受けるかもしれないが、ようは主人公がオサレな詩文でひたすら女をくどき、ついに一晩で何度もハッスルするというだけのこと。話自体は文学性のカケラも無い。恐らく中国で散逸したのもこの低俗極まる内容のせいだろう。 しかし、難解で読み応えのある四六駢儷文で書かれていることや、資料的価値、当時の日本に与えた影響など、文学史を語るうえでその存在は大きい。 作中の登場人物は張文成とヒロインの十娘、取り持ち役の五嫂の三人のみ。かなり限定された世界観で話が進む。張文成が十娘に挨拶をして家に入り、さらに詩文をかわす流れは形式的な美しさがある。研究者によっては十娘のモチーフは妓女であり、作者は妓楼での体験を物語に昇華しているのではないかとの説も。もっとも、十娘自身は作中で自らを未亡人と語っており(十七歳だけど)、兄嫁や女中達と一緒に暮らしている。つまり張鷟は相手が操のかたい未亡人と知りながら狙ったわけで、もう道徳的に何が何やらという感じ。一応、十娘はしぶとく拒んで、二人の仲も一晩きりではあったが。 ちなみに張鷟自身が作中で名乗ったところによると、彼はもともと高貴な家柄で、祖先には漢代の有名な外交官・張騫もいる。本人も科挙に首席で及第したが、地位は低かったようだ。 本書が日本に伝わったのは奈良時代頃になる。その時代の日本古典には余り詳しくないが、張文成と十娘のウィットなやり取りは源氏物語の光源氏が女達をくどくシーンを髣髴とさせる。それを考えると、本作は昔の日本人の恋愛作法に相当大きな影響を与えていたんじゃなかろうか。 というか遣唐使、こんなものより他に持ってくるべき本があっただろう!

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  • 23 Jan
    • 楊貴妃

      楊貴妃 [VHS]/京マチ子,森雅之,山村聡 ¥3,984 Amazon.co.jp 1955年の日本映画。大映とショウ・ブラザーズの合作。中国四大美人の一人・楊貴妃と玄宗皇帝のラブロマンスを描く。合作ということになっているが完全に日本映画。キャストスタッフオール日本人である。 玄宗治世の唐朝は安定していた王朝崩壊の兆しが見え始め、政治不安から各地の反乱が相次ぐなど、歴史物としてはとて盛り上がる魅力的な時代である。そんなわけだから本作がつまらないはずはない…んだけどこれがどうも面白くなかった。 いうなれば、上等なマグロから目玉だけを切り出して料理にしたような作品。壮大なスケールの歴史をまるで物語に活かせていない。 そもそもこの映画、90分しかない。そんな短い時間でイベントだらけの玄宗治世を語ろういうのが無理な話。最初は楊貴妃と玄宗の恋愛に話が絞られているが、それを盛り上げるために安史の乱だったり宮中の政略闘争だったりを詰め込んだせいでかなり駆け足かつ中途半端な内容になっている。もう30分は時間が欲しかったところ。撮影がオールセットで、撮り方がこじんまりしているのもスケールの小ささを助長しているかもしれない。まあこれは時代ものだからしょうがないけれど。 また人物造形がかなり独特。一般に傾国の女として知られる楊貴妃が、運命に翻弄される薄幸の女になっている。それはいいんだけど、ものの考え方が完全なまでに日本人。観客に共感を呼びやすくするための改編だろう。当時は良かったのかもしれないが、現代でやったら違和感しかない。 そのほか、音楽が妙に和風だったり、「大名」とかいう日本時代劇調な台詞など、気になる部分がちょくちょくある。 衣装は綺麗だし、個々のシーンでは面白いところもあるのだけれど、楊貴妃ものが観たいならもっと他の作品をおすすめする。 以下キャスト 楊貴妃/京マチ子 厨房女として働いていたという凄い設定が加えられている。それシンデレラか何か? 演じている京マチ子は凄く綺麗。お風呂シーンが最高。 森雅之/玄宗 恋愛脳なのはまあ史実通り。人の幸せだとか真心が云々という台詞は玄宗を完全な悪者にしないためなのかもしれないが、いかにも安っぽい。 山村聰/安禄山 楊貴妃との関係が史実と随分違い、安禄山の方が上の立場になっている。反乱の演説シーンはなかなかいいんだけど、そこまでの過程をもうちょっと丁寧に描いてくれればなあ。 進藤英太郎/高力士 宦官に見えない。それだけ。 小沢栄/楊国忠 いかんせん映画の時間が短いので、見せ場が殆どなし。クズなのは史実通り。 南田洋子/紅桃 楊貴妃の侍女。かわゆす。

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  • 11 Jan
    • 審妻

      1966年の香港古装映画。制作は鳳凰映画会社。 隋の煬帝は暴政を敷き、色に溺れて各地の婦女を無理矢理宮廷に集めていた。ある時、大臣の庄天栋は煬帝に諫言したため殺されてしまう。その後、娘の庄美容が宮廷へ妃として連れて行かれることになった。刑部尚書・王日成の妻である素娘は庄天栋の養女であり、育ての恩に報いるため、そして仇討のため美容に代わって朝廷に赴く。表向きは煬帝の妃として従順に尽くし、隙を見て暗殺を試みたが失敗、素娘は裁判にかけられることになった。王日成は妻をやむなく拷問にかけることになってしまう。素娘はそれを耐え抜き、奸臣の金昌盛を殺して脱出。夫と共に王朝へ対抗する反乱軍のもとへ向かうのだった。 シリアス系の古装もの。タイトルの「審妻」は本編クライマックスである妻を裁判するシーンからとったもの。それにしても中国古装では、難題にぶち当たった時に「貞淑で聡明な娘(もしくは妻)を犠牲にする」という解決パターンが少なくない。いやまあストーリーとしては美しいんだけれども、何というか女性の立場が低いのをいいことに犠牲を強要しているようにも見える。というか、封建社会では実際そういうもんなのだろう。一家の大黒柱たる男が死ぬよりは、女子が死んだ方がマシって考えがあったのでは。 その他の見どころとしては、煬帝のスーパー暴君っぷりが素晴らしい。 以下キャスト 庄素娘/朱紅 王日成の妻。義父の仇討のため妹に代わって朝廷へ。この女優さんの映画を見るのは三回目。相変わらずお美しい。それにしても中国語が凄く聴きやすい。 王日成/高远 刑部尚書。義父の娘・美容を守るため妻を皇帝の妃として送り込む。後、やむなくとはいえ妻を拷問する羽目に。妻の素性がばれないように必死な裁判場面は緊張感があって面白い。

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  • 05 Jan
    • 敦煌

      敦煌 特別版 [DVD]/角川映画 ¥5,076 Amazon.co.jp 1988年の日本映画。井上靖の「敦煌」を忠実に映像化したもの。北宋時代、科挙試験に失敗した趙行徳は市場で西夏の女と知り合ったのをきっかけに、西域への興味を募らせ旅に出る。しかし、偶然が重なり彼は大きな戦いへ巻き込まれていく…。 製作総指揮は当時の徳間書店社長だった徳間康快で、本作にかなり熱を入れていたらしく、邦画でも屈指の費用をつぎ込んで制作された。 して、その出来栄えは。 微妙。 これに尽きる。いや確かに大作らしいスケールもあるし、役者も悪くないし、音楽やセットもいい。 が、本作をダメなものにしている決定的な理由が二つある。 1、役者が全員日本人 漢人も西夏人もウイグル人もみーんな日本人が演じている。主役から脇役もほぼ日本人。おかげで国際性がまるで感じられない。中川安奈がウイグル人なら三田佳子は西夏人って、どういう理屈で区別してるんだ(中川杏奈は可愛いけどね)。やっぱりこうした中華物は小説に留めておくべきで、無理に映像化とかしない方がいいんだろうなあと感じる。アニメとか極端にファンタジーしてる作品ならともかく、本作の場合史実の中国が舞台なんだから、そこは映像としてのリアリティが欲しい。出てくる連中みんなが日本人では、衣装やセットをいくら整えてもやっぱり日本人にしか見えない。これが最大の失敗点ではないかと。 2、お堅く作り過ぎ 本作の費用45億円は邦画でもトップクラスの部類に入る。そのせいだからなのかはわからないが、やたら遠くからのカットでスケール感を出してみたり、編集で切るのがもったいなかったのか凡調な戦闘シーンを長々見せたり、何ともまあ退屈な画面が多い。観客を楽しませようという以前に、作り手がテンパっているのがわかる。ストーリーにしたって原作はエンタメ要素をそこそこ重視しているのに、映画はそこらへんをないがしろにし過ぎ。あからさまに真実っぽく描写するから、かえって嘘くささが倍増している。 ナレーションも生真面目すぎてイラッとくる。ラストの「世界各国に敦煌の遺産が持ち出されたことによって研究が進み、ついには敦煌学なる独自の学問まで生まれたのだ(キリッ)!」という一節も、それは日本人が大見得きって言うことじゃないだろと思う。仮に本作が中国との本格的な合作映画だったならまだしも、日本人だけで作っておいてこんなこと言うのはなあ(中国のスタッフもいるにはいるけれど、やっぱり合作とは呼べない)。今やったらブーイングが凄そう。 結論。原作を読みましょう。

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  • 04 Jan
    • 杜子春伝

      芥川の短編小説版「杜子春」について書いたので、ついでに原点であるこちらも。 「杜子春伝」は唐代の伝奇小説。宋代の「太平広記」に収録された「続幽怪録(これ自体は唐代の書物だが、散逸して原書は存在しない)」中の一編が本作。作者は諸説あり、李復言とも牛僧濡ともはたまた鄭還古とも。まあ当時の伝奇小説集は作者というより編纂者である場合も多く、本人が書いているかどうかもわからない。新たな証拠になる資料が出てこない限り、恐らく永遠の謎だろう。 「大唐西域記」には本作の元ネタと思しき一節があり、さらに明代の短編小説集「醒世恒言」の第三十七巻にリメイク版の「杜子春三入长安」が収録されている。古くから存在する由緒正しき伝奇小説なわけである。 前回の記事でスルーした変更点を挙げると、芥川の「杜子春」は唐代の長安が舞台になっているが、原作は北周から隋の間とされている。まあ芥川版はわかりやすさ重視ということか。また道士から三度目の施しをされた後、杜子春は貧乏人達のため慈善事業を行ってから出家を決意している(これは大金をくれた道士に恩返しをしたいと考えたから)。かつ、芥川版のように人間に嫌気がさしているわけでもない。ここらへんは、金を得た後の経歴が違うのが影響しているのだろう。 後半、仙人になるための試練において、原作杜子春は女に生まれ変わらされてしまう(ちなみに超絶美人。もうそれでいいじゃん)。もちろん生まれ変わってもしゃべらない。成人してから文人の夫に嫁ぎ、最初は仲も良かったのだが、杜子春が終始無口なのにブチ切れた夫は、何と二人の間に産まれた子供を腹立ち紛れに殺してしまう。結婚前からしゃべれないのわかってたんだし、どう考えてもこの夫が理不尽なような…ともあれ、子供の死に思わず声をあげてしまった杜子春は仙人修行不合格に。何故か道士にも「約束破りやがって」と怒られる。曰く「愛なんか持ってたら仙人になれない」らしい。一応、杜子春は「喜怒哀楽悪欲」の六つを忘れ去るところまではきていた。仙人ってほんと無情の存在なのね。結局、杜子春は道士との約束を守れなかったことを後悔し(ええ、そこぉ?)、再び彼を訪ねるも見つけられず、というところで幕を閉じる。 とまあ上記のように、現代の我々の価値観にあてはめると色々納得出来ないストーリーなのは確か。これはこれで突っ込めて面白いけど。日本で刊行されている唐宋代の伝奇小説集なら割と本作も収録されているので、興味のある方は是非ご一読を。

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  • 03 Jan
    • 杜子春

      蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)/新潮社 ¥350 Amazon.co.jp 芥川龍之介の短編小説。唐代の伝記小説「杜子春伝」を下敷きにした児童向け作品。 物語の筋書きはおおむね原作をなぞっており、ホームレス杜子春が仙人の手引きで埋蔵金をゲット→豪遊ゥ!→最初に戻るのループを繰り返した後、俗世に嫌気がさして仙人になるべく修行開始、しかし挫折してしまい最後は平凡で幸せな暮らしに甘んじる、というもの。杜子春が仙人なるための修行メニュー「どんなにくるしくてもこえをだしてはダメ」も原点通り。 しかし、細かな部分では改変も見受けられる。杜子春が仙人になる試練の中で犠牲になる人物が妻と子供から、両親(の生まれ変わった馬だけど)に改変されている。対象読者が児童向けだから、親が苦しむ姿を描写する方がイメージ的にわかりやすいと考えたのだろうか。ちなみに原作では杜子春が一回死んで女に生まれ変わるが、芥川版ではそれもカットされている。 ラストも大きく違う。杜子春伝では、修行を挫折した主人公を「約束事を守れない人間」だと道士がなじる。芥川版では、親への愛のため修行を完遂出来なかった主人公の未熟さを、仙人は肯定している。まあ原作のラストが当時の価値観と既にマッチしない内容なので、ここは改変も致し方ないだろう。 一見するとストレートな訓話なのだが、そこは流石に芥川。深く読み込める要素が沢山ある。読書感想文の題材に最適な作品。

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  • 02 Jan
    • 大宋宣和遺事

      中国古代の説話集。作者不詳。 北宋時代の徽宗・欽宗の治世と王朝の崩壊を講話形式でつづったもの。成立は宋代から元代とされており、通俗小説や説話集の中では最も古い部類に入る。現行のバージョンは用いられている文体の違いから、恐らく原本を何度も改編したものと思われる。当時の小説や戯曲の類はこれを使用する講釈師の手で好き勝手に改稿されることが多かったので、本作ももとのバージョンを特定するのは困難に近い。タイトルの宣和は徽宗治世で用いられた年号で、本作の内容もその時代近辺が七割近くを占めている。冒頭では中国の歴代暗君が列挙されており、後の説話小説の入話と同じものを匂わせる。文体はかなり硬派、小説というより歴史書風(ただし人物の没年や死亡理由など細かな間違いも多く、やはり野史の域を出ない出来栄え)で、これも初期の説話小説の特徴か。 あの水滸伝の元ネタが収録されており、一部のファンには有名かもしれない。が、水滸伝関連のエピソードは全十章のうち一章を占めるだけで、中身もすこぶる薄い。宋江以下三十六人の顔ぶれや設定も水滸伝と大幅に違い、しょせん元ネタの域を出ないと思われる。研究者にとっては、あのキャラやこのキャラの渾名が違う!とか色々興味深いんだろうけど、私的には作者が単にそういう設定へ気を遣っていないだけだと思う。後の水滸伝にしても、百八星の設定には結構杜撰な個所が見受けられるし、たぶんテキトーに書いてただけなんじゃないかと…。 そのほか、前述した道士・林霊素や開封名妓の李師師のエピソードがあり、徽宗関連でいえばこちらの方が物語していて面白いかも。また歴史好きの方なら、宋へ侵攻する金の描写が興味深いはず。とりわけ「靖康の変」以降の話は内容も気合が入っている。京師が陥落し、北方へ連れ去られた二皇帝の末路は、暗君ゆえの自業自得とはいえ涙を誘われるものがある。

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  • 01 Jan
    • 明けまして

      新年あけましておめでとうございます。 これまで真面目にカウントしてなかったのですが、何だかんだでこのブログも六年になります(姉妹ブログももう四年近いです)。 よくもまあ続いてるなあと思います。そして今年ものんべんだらりと続けていく所存です。 よろしくお願い致します。

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  • 30 Dec
    • 「紅楼夢」侍女会議! 第七回後編

      侍女見習いだけを集めて開かれた第七回会議。司会の芳官が不慣れなせいで、まったくまとまらない有り様に。果たして会議の結末は。 芳官「とりあえず、皆さんの最近の不満を教えてください」 佳惠「上の人達がケチ」 堕児「部屋にいる上級侍女でうざいのが一人いる。この前はかんざしで手刺されたし」 春燕「母親がうるさい」 柳五児「窃盗事件のことで、未だに人から白い目で見られてる」 雪雁「黛玉様の嫌味が辛い」 四児「ええとぉ…特に無いかな」 堕児「ハァ? お前今なんつった? 同じ部屋勤めなのにどういうことだよ」 春燕「何ていうか、堕児ちゃんは働きぶりが良くないんじゃ…。晴雯姉さんも、給料渡す時しか堕児ちゃんがすぐに動かないって言ってたし」 堕児「そんなの当たり前じゃん」 柳五児「どれだけ働きたくないの…。でもまあ、私がお部屋に入った時は、人が少ないのに仕事が増えてて嫌だったな」 佳惠「逆に昔は暇でしたね…。しょうもない仕事ばっかりまわってきたなあ」 芳官「今にして思えば、主人のためにスープをさましてあげる仕事とか、どんだけだよって感じですね」 雪雁「うちは紫鵑姉さんが頑張るので、黛玉様はあたしを役立たずのように思ってたみたいです」 四児「ええ、そうなんですか? 雪雁さんも結構しっかり働いてた気がするけどなあ」 堕児「うちだって似たようなもんじゃん。みんなの能力に大差はないのに、顔が良かったり家柄が良かったりするだけで出世してる奴がいるし」 春燕「あなたが言ってるのってさっきから同じ人のことだよね?」 芳官「ちなみに皆さん、尊敬してる人っています?」 佳惠「だから話題変えるの速いですって。私は、小紅姉さんかな。侍女見習い同士の時は仲が良かったし」 堕児「でも一人で抜け駆けしたよね。こんなことなら追い出される前にハンカチの件をぶちまけておけばよかった。ちなみに私は平児姐さんを尊敬してるよ。仕事出来るし、それでえばったりしないしね」 春燕「その尊敬する人から物を盗むってどういう神経なのよ!」 堕児「いや、あれはたまたまだよ。なんか置いてあったから拝借しただけ」 柳五児「か、軽いなあ。罪の意識ってないの? あ、話題戻しますけど、私が尊敬してるのは芳官ちゃんかな。私がお部屋に入るために色々口をきいてくれたし」 芳官「ありがとう。でも一緒に働けなかったのは残念だね。雪雁ちゃんは誰を尊敬してる?」 雪雁「紫鵑姉さんですね。いつもお世話になってます」 春燕「お部屋の先輩はやっぱり頼りになりますよね。私も襲人姉さんが好きです。面倒見がいいし、仕事もてきぱきこなすし」 四児「あーそれわかる! 私も襲人お姉様大好き。晴雯お姉様も刺繍が凄い上手だし、麝月お姉様も真面目な人柄が素敵だな」 堕児「お前こんな面子のいる会議でなに姉さん達に媚び売ってんだよ。いちいちムカつくわ!」 四児「別に売ってないよ。あんたって心が貧しいんだね。だから追い出されるんだよ」 堕児「お前も追い出されてんじゃん! 人のこと言えるか!」 四児「私は悪くないもん。ちょっとうっかり口が滑って冗談言っちゃって、それが運悪く奥様の耳に入っただけだし! あんたみたいに悪いことしてないから!」 堕児「腕輪の件は、あんなところに放置しとく平児姐さんが悪いんだよ!」 柳五児「とうとうおぞましい責任転嫁始めちゃった…」 佳惠「でも確かに、ここにいる人達の殆どがいい結末を迎えていないっていうのは悲しいね」 春燕「最後がはっきりしない人達も多いし」 芳官「しょせん脇役ですから」 柳五児「それは言っちゃダメでしょ…」 雪雁「あ、誰か来たよ…って、晴雯姉さんみたい!」 一同「えっ」 晴雯「コラァ、この子ブタども! こんなところに隠れてさぼってんじゃないよ!」 堕児「じゃ、そういうことで」 春燕「うわっ、逃げ足早っ!」 芳官「誠に残念ですが、邪魔が入ったのでここでお開きにしましょう。第七回侍女会議、司会は芳官でした。ではいずれまた!」 侍女見習いたち…途中でネタ切れになりました。佳惠なんてまともな出番一回きりですもんね。春燕のように結末が気になる子もいます。もっと出番があればなあ…。

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  • 26 Dec
    • 「紅楼夢」侍女会議! 第七回前編

      懲りずに開催、紅楼夢侍女達の集い。でも、本日は何だか面子がいつもと違う様子…? 芳官「みなさんこんにちわ。第七回、紅楼夢侍女会議を始めます。司会はあたし、芳官です」 雪雁「あれ、襲人姉さんじゃないんですか?」 佳惠「しーっ。今日の侍女会議は、上の姉さん達には秘密で開催してるんだって」 四児「あの、失礼ですけど、あなたどちらのお部屋の方でしたっけ?」 佳惠「えーやだあ! あたしも宝玉様のお部屋の人間なのに! まあ、本編じゃ殆ど出番ないけど」 四児「あ、そうでしたか。スミマセン。それにしても、皆さんなんだかお若い方ばかりですね」 柳五児「そう言われたら、いつものメンバーじゃないみたい…」 春燕「あ、わかった! 今日の集まりは、侍女見習の人オンリーなのね!」 芳官「そーゆーこと。参加者は宝玉様の部屋から柳五児さん、四児さん、春燕さん、佳惠さん。黛玉様のお部屋から雪雁さん、えーとそれから…」 堕児「遅れてごめーん。晴雯姉さんのところからお菓子くすねてきたからみんなで食べよ!」 四児「ええ、大丈夫なの?」 堕児「へーきへーき。いざとなったら鈍臭くて気弱そうな五児ちゃんにでも犯行押しつけるから」 四児「あの、本人ここにいるんですけど…」 柳五児「濡れ衣はもうイヤ…」 芳官「もういいから会議始めますよ。えーと、何から話そうかな」 雪雁「襲人姉さん達の時は、いつも議題がありましたね」 芳官「あーそんなのありましたね。何も考えてなかった」 春燕「あなた司会やる気あるの?」 佳惠「確かにグダグダだなあ。とりあえず自己紹介でもしようよ。あたし初めてでよくわからないし」 芳官「そだね。えーと、あたしは宝玉様の侍女見習いの芳官です。もとは女役者でした。本編では宝玉様に可愛がって貰いましたが、そんな素敵なあたしを妬むクズな輩も多かったようです」 四児「凄い自己紹介…」 雪雁「うーん、でも他の会議でもこんな感じでしたよ?」 四児「そうなんですか。あ、申し遅れました。四児と言います。あたしも宝玉様にお仕えしてます。もとの名前は惠香っていうんですけど、宝玉様に四児って名前をつけて貰ったんです」 堕児「ちょっと何その「私愛されてます」アピール。いらつくんですけど。そういう態度が奥様から追い出される原因になるんだよ」 柳五児「それ、窃盗をやって部屋を追い出されたあなたに言えることじゃない気が――」 堕児「えー私は堕児です。宝玉様の侍女見習いしてます。第三回の会議にも参加してました」 柳五児(無視された…) 佳惠「なんか自己紹介もグダグダだね。あ、私も同じく宝玉様の侍女見習い、佳惠です。本編では恋の病にかかった小紅姉さんを慰めました。侍女会議初参加です」 春燕「同じく宝玉様の侍女見習い、春燕です。本編では芳官ちゃんと一緒に働いてました。義母が道理をわかっていない人で、同僚の皆さんには迷惑をかけてしまいました。私もこの会議は初参加です」 雪雁「雪雁ですっ。黛玉様の侍女見習いです。侍女会議には、えーと、二回くらい出てます。今日もよろしくお願いします」 芳官「んーまあこんな感じですね。議題とかあんま考えてないんで、とりあえず上の姉さん達の不満でもぶちまけますか。皆さんなんかあるっしょ?」 柳五児「なんか以前もあったようなパターン…」 堕児「それじゃ私から。最近、晴何とかがウザい。キーキー小姑みたいに喚いて、うちらをこき使ってさ」 春燕「全然名前隠していないわよね、それ」 四児「晴雯姉さんは言い方がきついだけで真っ当な人だと思いますよ。宝玉様の誕生祝の日は、王様ゲームで場を盛り上げてくれたし。あの日はお部屋の侍女だけじゃなくてお嬢様方もいて、とても賑やかで楽しかったなあ」 堕児「また自慢かよ。いい加減にしろっつうの」 佳惠「この侍女会議って、皆さんで悪口を言い合う会なんですか?」 柳五児「うーん、そういう主旨じゃないはずなんだけど…何か前も同じような話になったような…」 芳官「話変わるけど、晴雯姉さんって本編で死んだあと花の神様になったらしいけど、どんな花の神様だと思う?」 雪雁「うーん何でしょう?」 春燕「確か芙蓉じゃなかったっけ」 堕児「ありえない。せいぜいペンペン草だよ」 四児「どんだけ晴雯姉さん嫌いなんですか!」 堕児「だって三食昼寝つき高級取りの優雅な侍女生活を潰されたのはあいつのせいだし」 柳五児「あー、堕児さんがお部屋にいた頃はそんなに好待遇だったんだ。私が入った時は、宝釵様の監視が厳しいうえに、家計も落ち込み気味だったからボーナスとかカットされてたっけ…。何より、宝玉様がおかしくなってるし」 芳官「ところでまた話変わるけど、みんなの給料はいくらなの?」 佳惠「あの、さっきから話が二転三転しすぎて落ち着かないんですけど…もうちょっと司会なんとかなりませんかね」 芳官「だって司会初めてだし。いきなりそんなうまく出来るわけない」 春燕「あっさり開き直らないでよ…」 後半へ続く!

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春秋梅菊

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