千紫万紅

中国の文学、映画、ドラマなどの感想・考察を自由気ままにつづっているブログです。他では見られないマイナーなものを取り上げていきたいと考えております。


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抗日戦回想録―郭沫若自伝6 (東洋文庫 224)/平凡社

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近代中国を代表する作家・郭沫若の回想録。日中戦争時代における国民党の情勢を記している。タイトルには抗日とあるが、日本軍に関する直接的な描写は少ない。内容の殆どは腐敗した国民党政府への恨み辛みであり、そうした政府内で工作活動を行わなければならない郭沫若ら知識人の苦衷も語られている。当時の作者の立場上、こういう内容になってしまったのかもしれないが、やはり日中戦争は日本人と中国人の戦いであったのと同時に、中国人同士の戦争でもあったのだと感じる。戦後、日中戦争期に起きたことは何もかも日本人が悪いような言い方をされるようになってしまったが、果たして本当にそうだろうか。作中、郭沫若の周囲にいる友人や同志の存在が多く語られるが、どれもこれも同胞の中国人の手で殺されている。一方で国外の敵に対して団結を叫びながら、同じ国の人間同士でこれほど殺し合っている国が、当時他にあっただろうか? 郭沫若が語る国民党の腐敗を見ても明らかだが、抗日というのはあくまで自分達の面子を保つスローガンであって、その実彼らの注意は国内統一に向いていたのではないかと感じてしまう。
 作者自身、抗日の工作活動に携わっていた割に、あまりにも日本軍への言及が足りないのではないか。武漢をはじめとする各地の空爆は大したことが無かったと述べているし、南京大虐殺に至っては殆ど触れられない。日本人を最大の敵として捉えている感じがしないのだ。
 ちなみに現代だからこそいえる皮肉だが、郭沫若が作中であれほど敵視していた国民党政府の姿は、後の共産党政権そのものではないか。結局、資本主義であろうと共産主義であろうと、中国の支配者の行き着く先は同じだったということだろうか。
 読み込めば読み込むほど、中国人にとっての日中戦争の実体が見えてきそうな作品。日中戦争史に興味のある方は、是非ご一読を。
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 同人小説サークル「雲上回廊」添田健一の手による作品。清代の通俗古典小説「三侠五義」をモチーフにしている。「三侠五義」は前半が公案小説・後半は武侠小説と作風が大きく変わるのが特徴だが、本作はどちらかといえば前半のテイストに近い。ところどころ見受けられるファンタジー要素も、通俗古典小説らしさがあって好感度高し。
 登場人物の造形は原作と大きく変わっている。一流の武芸者ながら妙になよなよした性格が印象深い展昭。ボーイッシュな丁月華。わいわいがやがやしたやり取りが楽しい四大護衛など。「三侠五義」の面白さは個性豊かな多数の豪傑が登場するところにあるが、いかんせん登場人物が多すぎて描写不足が否めず、特に前半に出てきたキャラの冷遇には涙ぐましいものがある。その点、本作はキャラを絞っているおかげで描写の厚みが増している。特に、原作だと完全に脇役化してしまう展昭、ほんの少ししか出番のない月華に、それぞれ活躍の場を与えているのは嬉しい。
 ストーリーは、原作にあった「公案」と「武侠」、二つの要素を両立させるのに苦労しているのを感じる。公案の要素を重視すると話が地味になるし、かといって武侠要素を重視すると、原作にあったような大量の侠客を登場させる羽目になり、話をまとめるのが大変だったはず。最初に述べたように、作品の比重は公案要素に傾いているので、アクションはあまり盛り上がらない。特に作中きっての達人である展昭が実力を発揮するのは中盤以降であり、意外と主役らしい活躍に恵まれていないのが残念。まあ原作の展昭もそんな感じだけど。
 どちらかといえば、本作を先に読んでから原作に触れるのが正解なのかもしれない。三侠五義について知っていると、あれやこれやを書いて欲しかったと求めてしまう作品。もちろん、それは本作の完成度が高いからに他ならない。全三巻ながら、とても読みやすい長さにまとまっている。こういう路線の中国小説は日本だと貴重なので、機会があれば是非読んでほしい。
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中国現代文学選集〈第18〉記録文学集 (1962年)/平凡社

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解放戦争後から大躍進期にかけて、共産党の指導のもと中国全土に人民公社のシステムが普及していった。人民公社とは農業・工業・政治・文化・教育などあらゆる事業を包括した組織で、ようはここに属して集団生活を送れば誰でも、立派な暮らしが送れますよ~というコンセプトで作られた。共産主義原理に基づきみんな平等で、搾取が起きることもないという、一見すると合理的で素晴らしいシステム…のはずだったが、それがうまくいったかどうかは後の歴史が示す通り。
「どんなに仕事をしても平等」ということは裏を返せば「熱心に仕事をするだけ損」である。それに気がついたら最後、サボりまくる人間がどんどん現れる。また農業・工業・教育なんでもかんでも一つの組織に詰め込んだ結果、ろくに専門性の無い人間が業務を請け負う例が相次ぎ、農業や工業は生産性がガタ落ち、教育は進まず、医療やろくに受けられず、といった弊害が起きた。かくして人民公社のシステムはあっさり破綻するわけである。

この選集には人民公社の黎明期から過渡期までの文集がまとめられている。収録タイトルは「東に昇る太陽」「緑樹は生い茂る」「北方の赤い星」など。まあ内容は似たり寄ったりで、いかに共産党が素晴らしいか、いかに人民公社が有益かといったことが、当時の農民や公社の記者によってつづられている。残念ながら大躍進後の悲惨な状況を描いたものはない。まあ中国政府がそんなものを記録に残すはずがないから当然か。そこらへんが書かれていないか期待して読んだんだけど。

今となってはいわゆるプロパガンダ文集でしかないが、それでも当時の中国人民がどれだけ共産党を歓迎していたかよくわかり、資料としては読み応えがある。日中戦争期から共産党は度々農村へ出入りして、貧しい人々のために革命運動を起こしていた。革命運動といっても、共産党が農民達を扇動し、地元の富豪や地主から財産を奪うというもので、実態は強盗とあまり変わらない。ただ人口比率としては圧倒的に貧乏人>>>>>>>金持ちなので、共産党が多数の人々の支持を得た理由がよくわかる。特に日中戦争期の貧民層は日本軍・国民党・富裕層から虐待される立場にあったので、困窮のうえにも困窮したことだろう。そんな時に現れた共産党は確かに救いの神だったに違いない。革命を成し遂げた農村は、どこの家にも毛沢東の肖像画が飾られていたという。
また人民公社の集団生活は女性の権利向上の助けにもなったようだ。公社の炊事係だったり裁縫係だったり、果ては製鉄に至るまで女性が仕事へ参加する動きが出てきたという。もっとも、これらも上述したシステムの問題により、結局機能しなくなってしまうわけだが。

本作の後書きでは、人民公社のシステムに一定の理解を示しつつも、先行きに不安を感じるコメントがつづられている。共産主義経済も、まだまだやってみなければわからなかった時代だ。人類史でも悲惨な失敗になってしまった中国の政策だけれども、当時の人々が抱いていた希望や、その後の失敗などを現代から見つめ直すのは大切かもしれない。

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中国古典小説選7 緑珠伝・楊太真外伝・夷堅志他<宋代>/明治書院

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宋代の伝奇小説。上下二巻。作者は晩冬~宋初期の文人・楽史とされている。
楊貴妃の生涯を中心に玄宗期の唐代を描いている。タイトルの太真は楊貴妃の道号を示す。もともと楊貴妃は玄宗の息子の妃として宮中入りしており、玄宗が彼女に近づくため一時出家をさせた経歴がある。それを何故そのままタイトルに持ってきてしまったのかは不明。
内容は概ね史実通りだが、それ以外に様々な逸話も取り入れて物語を構築しており、中には真実か疑わしい内容も見受けられる(特に後半のファンタジックな展開はそれが顕著)。作者は学者肌で史書にも詳しかったそうだが、本作はとにかく楊貴妃にまつわる話を何もかもぶち込んでみました、というところだろうか。しかしながら、元代の「梧桐雨」や清代戯曲の「長生殿」にも見受けられるエピソードが入っているので、後生の作品に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。
小説黎明期の作品だけあって描写は簡素、人物の内面もあまり掘り下げられていないのは致し方なし。本作の楊貴妃は、嫉妬深く狭量な一面が目立つ。まあ彼女の一族も揃ってアレな人間ばっかりなので、人物像としては正しいのかもしれない。
楊貴妃について、古い時代の資料が欲しいという方は読んでみて損はないはず。


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中国現代文学選集〈第13〉長編小説 (1963年)/平凡社



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徐懐中の長編小説。解放戦争後のチベットにおける共産党工作隊の土地改革や、旧来のチベット支配層達との戦いを描く。ようは、僧院や国民党の生残りに搾取されているチベット人民の生活を、知恵と勇気溢れる共産党が助けましたよ~という話。


しかし、なんというかこれは……現代のチベットを取り巻く状況を見ると、もはやプロパガンダとしか思えない。作品が書かれた当時は、まだ日本にも中国共産主義に対する信頼があっただろうし、人民解放軍がチベットの悪徳支配者達を倒したと本気で信じていた人々も多かったのではなかろうか。作中にて、チベットの地元民と一緒に畑を開拓したり道路を作ったり児童に教育をしたりといったストーリーは、共産党賛美に溢れている。まあ中国共産党がチベットにこうした親切をしたという事実が、まったく無いわけじゃないだろう。それ以前にチベット侵略というおぞましい事実があるけれど。


作品の出来映えもあまり高くない。主要人物達のとってつけたような恋愛エピソードは苛ついて仕方なかった。他にも敵味方に分かれていたチベット人親子の活躍で事件があっさり解決したりとか。あと、地元のチベット人権力層と共産党側の闘争が意外と掘り下げられていないのは、やっぱり検閲に関わるからだろうか? 本当はそういうものを期待して読んでたんですが。

そもそも1950年代あたりの中国作家は、専業作家ではなくて党員としての宣伝活動として小説を書いていたりすることが多い。本作の徐懐中も「林海雪原」の曲波もそう。後々の文化大革命の影響もあるだろうけれど、一九六〇年代の中国文学はプロパガンダに終始して、露骨に作品のレベルが落ちている気がする。

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情深深雨濛濛 音楽全記録 OST  台湾盤/EEI



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2001年の大陸・台湾合作ドラマ。全四十六集。中華民国~日中戦争時の上海を舞台に、愛や戦争に翻弄される若者達を描く。こう書くと何だか暗い話を想像してしまいがちだが、実際はそんなことなく、NHKの朝ドラみたいな作風に近い。家庭・親子・貧富・友情・恋愛といった大衆受けの良い要素を丁寧に盛り込んだ一級のエンターテイメント作品になっている。中国ドラマらしい目まぐるしい展開、シンプルながら熱いドラマの連続に、不覚にも度々泣かされてしまった。特に終盤、若者達がそれぞれの思いを抱いて戦場に赴き、帰還するまでの展開は感動的。戦争へ行く動機が、陳腐な抗日ドラマにありがちな「共産主義万歳!」とか「日本鬼子許し難し!」とかじゃなくて「家族や恋人を守りたい」という、若者臭くて純粋に庶民的な理由なのが良かった。やっぱそうだよねえ。庶民にしてみたら国の事情とか政治的な理由はどうでもよくて、守りたいものがあるから戦争へ行くんだよね。こういうところは、日本人でもフツーに共感出来るんじゃなかろうか。少なくとも自分は感動した。日本で戦争ものを作ると、決まってしみったれた説教くさい話になってしまうから、こういうドラマを作れる中国人が少し羨ましい。やはり戦勝国だからか。


ちなみに原作は「烟雨濛濛」というタイトルの小説で、1986年に一度ドラマ化もされており、本作はそのリメイクということになる。


赵薇をはじめ、今や超有名になったアイドル達の若き姿が拝める。また台湾側の制作会社があの有名な古装ドラマ「还珠格格」と同じなので、主要キャストが結構被っている。見比べるのも楽しいかも。


オープニングの「情深深雨濛濛」が名曲。それ以外にも、赵薇の役柄がナイトクラブの歌手ということで、彼女の歌う数々の挿入歌がいずれも素晴らしい出来。


ちょっと時代は古いが、とても良質なエンタ-テイメント作品なので是非見るべし。





以下キャスト


赵薇/陆依萍


上海の富豪・陆家の八番夫人の娘。しかし母親ともども屋敷から離れた部屋に追いやられて、貧しい生活を送っている。父親の支配から自立すべく、ナイトクラブの歌手として働くことに(民国期のお話なので、歌手なんて給料は別として下等な職業である)。気性が激しく、父親とはことあるごとに対立していたが、性格はその父親譲りな気も。赵薇が初々しくて可愛らしい。歌も上手。




古巨基/何书桓


上海の若き新聞記者。イケメンで聡明で正義感に溢れ、誰からも好かれる完璧なヒーローキャラ。武術も修得しており数人くらいの暴漢ならぼこぼこにしてしまう。なんか最近気がついたんだど、中華民国期ドラマに出てくる記者ってみんな武術出来るのがデフォなのね…。嫌味を言いたくなるほど完璧だが、古巨基の甘いマスクのせいで全て許せてしまうから不思議。陆依萍とはお互いの価値観の違いからぶつかり合いつつも、愛を深めていく。





苏有朋/杜飞


何书桓の同僚であるカメラマン。 陆如萍に一目惚れし、彼女の尻をわかりやすく追っかける。最初は全然相手にされていなかったが、終盤でめでたく結ばれた。本作のギャグ担当。というか、最終回までギャグをかまし続けるとは思わなかった。





林心如/陆如萍


陆家九番夫人の長女。依萍の腹違いの妹にあたる。何书桓に密かな恋心を抱く。優等生のお嬢様キャラだが、本人も気づかぬうちに悪役キャラへ変貌している。実は母親の悪女成分をかなり受け継いでいるんじゃないかと思う。林心如は大きい瞳が印象に残る。





寇振海/陆振华


「黑豹子」とも呼ばれたもと国民党軍の司令官にして、上海陆家の長。歳をとっても横暴な性格は相変わらず。しかし話が進むにつれて家族達と和解し、何だかいい人に。とはいえやってきた悪事のデカさを考えると何だかもやもや。臨終の萍萍とのエピソードもちょっとなぁ。





徐幸/傅文佩


陆家第八夫人。依萍の母。第九夫人である雪琴のせいで夫に疎まれ、屋敷と離れた小さい家で貧しい暮らしを送っていた。あまりにも大人しすぎて視聴者的にはちょっとイラッとくるかも。





王琳/王雪琴


陆家第九夫人。きーきーうるさい嫌な女。実は夫に隠れて愛人を作っていた。他のキャラと異なり最後まで更生しなかった。





高鑫/陆尔豪


王雪琴の長男。新聞社に勤務し、何书桓達の同僚でもある。若い頃に李可云と恋をしたことが後々大きなトラブルに。まあ半分は事故だが、半分は本人が悪い。そもそもの性格もあんまり良くないような。まあつき合ってる友人たちがいい奴らだから結構救われてるけど。





李钰/方瑜


依萍の友人。常識肌のいい子。尔豪と恋仲になるが、李可云の件で色々複雑に。なんか最後はうやむやに解決されてしまったような気がするんだが。演者さんはなんと2009年に癌で病死したとのこと。まだ若くてこれからの人だったのに悲しい。





李可云


陆振华の部下・李正德の娘。過去に尔豪と恋をして子供を産むが、無理矢理別れさせられてしまい、子供は病死。その事故のせいで記憶を失い、狂ってしまった。中国ドラマセオリーの一つである頭の弱い脇役ヒロイン。時々我を忘れて暴れてしまうため、そのたび両親に緊縛プレイされる。三つ編みお下げが可愛い。





乐珈彤/陆梦萍


陆如萍の妹。性格の悪いくそ女だったが、中盤の事件をきっかけに更生した。何気に依萍と书桓の最初の破局のきっかけを作ったりしている。





曹秋根/李正德


陆振华の部下。真っ直ぐな性格の好漢だったが、そのせいで王雪琴と争いになり陆家を去る。その後は車引きをして生計を立てていた。陆振华への忠誠心はずっと変わらず、また傅文佩には主としてまめまめしく仕えている。





黄达亮/秦五爷


ナイトクラブ「大上海」のボス。依萍を歌手として雇う。怒らせると恐ろしいが、なかなか懐の深い人物。





王艳/萍萍


陆振华最愛の女性。清朝高官の娘だった。陆振华とは相思相愛だったが結ばれずに終わる。ある意味、この物語の元凶とも言えなくない(笑)





名場面


2話 私、働くわ!


陆振华に冷遇され、貧しい日々にあえいでいる陆依萍母子。「あそこ」と呼んでいる屋敷へ窮状を訴えても、父親と兄妹達はまるで相手にしてくれない。耐えかねた依萍はナイトクラブの歌手(上でも書いたが下賤な職業)として働く決意をするが…。


若い女性の自立、というものを直球で描いている名場面。現代中国は変が目まぐるしく、親と子で価値観の差による軋轢が絶えないと聞く。旧時代を描きながらも、きちんと現代の若者に訴えかけるメッセージがあるのが素晴らしい。





20話 部下との再会


娘からかつての副官・李正徳が上海に住んでいることを聞き、自ら赴いた陆振华。数十年来の再会に、二人は涙を禁じ得ないのだった。


陆振华の印象が段々いい方向へ変わってきた頃のエピソード。陆振华と李正徳の友情が素敵。自分の娘達には何かと冷たい陆振华が、李可云にはとても優しく接しているのはほっこりした。





28話 復讐


陆梦萍を襲った暴漢達を夜に紛れて粛清していく陆振华・何书桓・杜飞。確かにスカッとするんだけど…あんたら怖すぎ(笑) 陆振华はともかく、記者どもはそんなことやっていいんか。





44話~46話 戦場へ、そして家へ


日本は華北を占領し、戦火は上海にも押し寄せる。若者達はそれぞれの思いを胸に抱いて、戦場へ向かう決意をする。それを見送る女達。やがて、八年続いた戦争は終わり…。


ベタすぎるエピソードなんだけれどとにかく泣ける。





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先日興味深いニュースを発見した。

二〇一六年は文化大革命からちょうど五十年目になる。かつて紅衛兵をやっていた青少年でさえ老人にさしかかるほどの年月が経っているわけだ(正確には文革の開始が一九六六年で、その後十年近く地獄の時代は続いていたわけだけど)。

ちょうど先日の五月十六日が、文革の開始第一段階「五一六通知」の発信されたいわば記念日なのだが、中国メディアは揃って沈黙していた様子。五十年が過ぎても、中国にとって文革は未だパンドラの箱状態らしい。しかしあと三十年も過ぎて文革の当事者がいなくなれば、歴史ねつ造が得意なあの国のこと、文革による被害は日本の陰謀だったとかワケワカランことを言い出すかもしれない。もちろん、今後中国政府の歴史認識が良い方向へ変わってくれればこの限りではないだろうけど、共産党が政権を握り続ける限り期待は出来ない。





結局、自国の歴史を知らないままで困るのは、とうの中国人達だ。資料の少ない古代ならまだしも、近代史で歴史に空白を作ることなんて不可能に近い。ネット文化の行き届いた現代では尚更。情報が世界中から得られるのだから、お国芸の焚書も困難だ。中国政府はさっさと態度を改めて真摯に過去の歴史と向き合ってはどうか。もともと人類の歴史なんて綺麗なものではない。どこの国も何かしらの誤りを犯してきたし、それを繰り返さないために、歴史から学んでいるのだ。

とはいえ、もし文革の歴史を明らかにしたら何かしらの騒動が起きるのは間違いない。政府が怯える気持ちはまあわかる。したたかな中国人民のことだから、きっと被害者を名乗る連中(本当に被害を受けてなくても)が続々政府へ賠償を要求したりするだろう。あの国の人間ならやりかねない。




もうこうなったらあれですね、日本で文革の資料をごっそり保存しておいて、共産党政権が倒れた後にでも中国へ公開してやるのがベストかもしれない。中国国内で散逸した古典小説が日本で沢山発見された、という過去事例もあるわけだしね。

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1931年のサイレント映画。当然ながらモノクロ。

元ネタはシェイクスピアの「ヴェローナの二紳士」。また変なところからチョイスしたもんだと思いきや、原作の舞台設定やモチーフがなかなか物語にマッチしておりいい感じ。いやあ意外。当時の上海・広東を舞台にしているだけあってモダンな雰囲気。一方で恋のキューピットとして紅娘の故事が出てきたり、うまく中国的な要素も盛り込んでいる。またタイトルの「一剪梅」は作中のカップル達を繋ぐ重要なキーワードとして度々登場する。これも中国古典でいうところの「桃花扇」みたいなアイテムに近い。

サイレント映画なので、やっぱり役者達の細やかな動きに目が行く。手や表情の演技が凄い。作中で文字を読めない侍女が新聞をくるくるまわしている場面なんて、ああなるほどなぁと膝を打ってしまった。現代の映画では見られない、味のある表現だと思う。

欠点があるといえば昔の映画特有のテンポの悪さ。正直、現代の感覚でやったら三十分足らずで終わってしまいそうなストーリーである。それを長々見せつけられるので、場面によっては飽きが来てしまう。まあこれサイレント映画全般に言えることなんだろうけど。あと台詞字幕が繁体字だったので読みづらかった。一緒についていた英語字幕に救われたよ…。


以下キャスト


金焰/胡倫廷

原作でいうところのヴァレンタインにあたる…ていうか胡倫廷てまんまヴァレンタインの中国語読みじゃねーか! 広東で知り合った施洛華に恋するが、親友だった白樂德に陥れられて彼女を奪われる。その後馬賊に。広東に馬賊…まあいてもおかしくないか。ほぼ原作と同じ経過をたどっている。


阮玲玉/胡珠麗

胡倫廷の妹。本作のヒロインの一人。婚約していた白樂德に裏切られてしまう。演じる阮玲玉は中華民国期におけるスーパー女優。演技は表情豊か、現代でも通用しそうな美しさが素敵。チャイナドレスの令嬢姿も、後半で見せる男装もよく似合ってる。


林楚楚/施洛華

本作のヒロインの一人。広東の将軍の娘。名前は…まんま原作のシルヴィアですな。可愛さでは阮玲玉に劣るかな? でも出番は阮玲玉よりずっと多い。


王次龍/白樂德

原作におけるプローテュース役。いかにもな悪党ヅラなのが笑える。まあこの時期の映画だからビジュアルでもわかりやすさは大事だろう。


陳燕燕/阿巧

胡珠麗の侍女。主の恋愛を一緒に喜んだり悲しんだり、凄く可愛い。




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中国現代文学選集〈第12〉長編小説 (1962年)/平凡社
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李英儒の長編小説。刊行は1958年。日中戦争期、華北における日本の傀儡政権と戦う共産党地下工作員たちの活躍を描く。タイトルは野火を日本軍および傀儡政権、春風を共産党八路軍、古城は舞台となっている河北地方にたとえているとされる。

以前本ブログでも紹介した「林海雪原」と同じく、共産党軍の勇ましい活躍がこれでもかと描写されている。主人公をはじめ共産党側の人間は肉体的・思想的にも完成された超人ばかり、対する国民党側は卑劣で嫌らしい人物でかためられており、いかにも作り物くさい。ストーリーも「数で劣る中国共産党軍が、知恵と勇気で日本の傀儡政権を叩きのめしました!」という実にわかりやすい内容。なんか林海雪原でも同じこと書いたような気がするな(笑)

後書きを読むと、当時の翻訳者が本作を称賛しているが、正直こんな作品が「文学」であってはいかんだろうと思う。1950年代の中国現代小説は多分にプロパガンダ的な臭いがしてどうも好きになれない。何かにつけて共産党万歳!なのだ。そういうわけで、日本人がこれを読んでもまず面白くないことだけは断言出来る。私も途中で投げ出したくなった。たぶん、まだ共産主義に希望を感じていた過去の時代の人々ならまだ楽しめたかもしれない。

とはいえ、本作でも非常に興味深く読ませて貰った点が一つある。それは主人公率いる共産党軍の敵が、終始中国人であることだ(もちろん、日本の傀儡政権であり思想的にも対立している国民党の中国人ではあるけれど)。日本人と直接戦うシーンは殆どなかったりする。実際、日中戦争で中国人が殺したのは、日本人より中国人の方が多かったという話もある。日本人を追い出した途端同胞同士で内戦を始めるような国である。正直、日中戦争の実態は中国人同士の殺し合いで、日本はいつの間にか全ての負のイメージ(戦時下における拷問とか虐殺とか)を押しつけられているような気がしてならない。

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中国現代文学選集〈第7〉抗戦期文学集 (1962年)/平凡社
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茅盾の中編小説。「香港陥落」のタイトルは邦題で、もとは「却後拾遺」という。まあ意味としては邦題と似たようなもの。


物語は、日本軍の侵攻によって混乱に陥る九竜島の中国人達を描く。作者の代表作である「子夜」と同様、様々な階層の人々が登場するのが特徴。しかしながら作品の長さが短いこともあって「子夜」以上に窮屈な印象を受ける。場面が変わるごとに登場人物も次々変わるため、最初はまったくついていけない。物語そのものよりも、階層ごとに異なる人々の戦争への反応や、日本軍の侵略模様などに注目した方が楽しめるかもしれない。意外というかやはりというか、自国の軍隊や政府をまるであてにしていない中国人が印象的。そしてどんな悲惨な境遇に陥っても損得勘定をたくましく働かせるあたりも実に中国人らしい。防空壕での生活や、空を飛び交う高射砲の描写の細かさは、作者が実際香港にいたからこそ書けたものだろう。茅盾は香港陥落後、夫人らを伴い桂林へ逃れている。


ちなみに、当時の香港はアヘン戦争以後イギリス人の領土であり、日中戦争時は諸外国と中国政府の中継地として機能していた。日本軍が香港攻略に動いたのもそのため。イギリス軍は駐屯していた兵隊以外に、諸国民で構成された義勇兵が集まっていた。当初こそ日本軍相手に奮戦したものの、結果的に僅か数週間で降伏してしまった。


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