「紅楼夢」侍女会議 第十回後編 | 千紫万紅

千紫万紅

中国の文学、映画、ドラマなどの感想・考察を自由気ままにつづっているブログです。古代から現代まで、どの時代も大好きです。

記念?すべき侍女会議十回目。特別ゲストの奔放ぶりに振り回されつつ後編へ…。
 
襲人「次のお題は自分がどんなクリスマスプレゼントを貰いたいか、です! じゃあ鴛鴦さんから!」
 
鴛鴦「別に欲しい物は無いけれど…」
 
春梅「あんたもいつまで体裁ぶってんの? 欲しいものくらいあるっしょ。男とか金とか」
 
鴛鴦「あなたみたいな人と一緒にしないでください!」
 
襲人「ま、まあまあ落ちついて。他の方々はどう?」
 
紫鵑「凧が欲しいです。黛玉様や姉妹の皆さんと一緒に遊びたいので」
 
鶯児「あたしは編み物の糸が欲しいな。いろんな色を揃えてみたい」
 
平児「先日腕輪を無くしちゃったから、安物でいいんだけど、新しい物が欲しいわね」
 
小青「皆さん実に小市民的ですね。せっかく貰えるなら、もう少しスケールを大きくしてもいいんじゃないですか?」
 
鶯児「うーん、そう言われてもなぁ。あ、この前環様と賽子やった時、いかさまでお金取られちゃったから返して欲しいな」
 
紫鵑「あんまりスケール変わってないような気がします…」
 
鴛鴦「侍女身分に暮らしてると、あまり多くを望まなくなってしまうのかもしれないわね」
 
司棋「あたしは何を貰うかより、誰から貰うかが重要かな。彼氏がくれる物なら何でも嬉しいよ」
 
紅娘「わぁ。素敵な考えですね。愛する人からのプレゼントって格別ですものね」
 
襲人「それでは、ゲストの皆さんにも聞いてみましょう。春梅さんはいかがですか?」
 
春梅「んなもん挙げたらキリないっての。あえて言うんなら、最近金軍の南下でうちのダンナが大変らしいから、そいつらを全滅させて欲しい」
 
鴛鴦「そんな物騒なクリスマスプレゼント嫌よ…」
 
襲人「では次。小青さん」
 
小青「私は仙界の住人ですから、そもそも物欲なんてありませんけど。まあ、強いて欲しいものがあるとすれば、金銀財宝、各地の珍味、豪華なお屋敷、おしゃれなお洋服、強力な仙力、イケメンな男弟子、こんなところですかね」
 
司棋「多いよ! 物欲まみれじゃん!」
 
小青「それはほら、沢山施しをするわけですから、見返りも十分欲しいっていうか」
 
鶯児「どこが仙界の住人なんですか…」
 
襲人「では最後に紅娘さん」
 
紅娘「私も特にプレゼントとかは。まあ、私が一生懸命お世話をしたカップルが幸せにくっついてくれたら、それが何よりのプレゼントかな」
 
平児「ビジネスマンみたいな口ぶりね…」
 
春梅「で、あんたは?」
 
襲人「はい?」
 
春梅「あんたはなにを貰いたいかって聞いてんの!」
 
襲人「わ、私ですか? 別に欲しいものとかは無いですけど」
 
春梅「あのさぁ、そうやって繕うのやめろって言ったじゃん?」
 
紅娘「結構我が強いんですね、襲人さん」
 
小青「隠し事をしたって私にはばればれですよ」
 
襲人「ちょ、ちょっと待ってください! なんで私ばっかりそんなこと言われなくちゃいけないんですか」
 
春梅「だったらさっさと言えばいいじゃん。主人の側室の地位とか豪勢な暮らしが欲しいんでしょ」
 
平児「それはあなたのことなんじゃ……」
 
春梅「うっさい」
 
鶯児「あたしみたいな身分の侍女だと、「そくしつのちい」とか言われてもぴんとこないなぁ」
 
春梅「で、実際どうなの?」
 
襲人「ま……まぁ、そう言われれば、いい身分とか豊かな暮らしとかに興味が無いわけじゃないですけど。それ、プレゼントで貰えるものでしょうか」
 
紅娘「どちらかといえば、地位とか物じゃなくて、襲人さんは宝玉様の心が欲しいんじゃない?」
 
司棋「そうやって無理矢理恋愛方面に持って行かんでも」
 
紫鵑「侍女身分で、そういうことを考えるの、いいことなんでしょうか」
 
紅娘「いいじゃない! 恋は障害が大きいほど燃えるのよ。それで、襲人さんはそこのところどうなの?」
 
襲人「うーん……まぁ、宝玉様のお心も、プレゼントとして貰えれば嬉しくないわけじゃないですけど」
 
小青「ほら見なさい。蓋を開ければ欲望だらけじゃないですか」
 
一同「あんたが言うな!」
 
小青「え~」
 
鴛鴦「とりあえず、襲人ちゃんの本性を暴いたところでお開きにしましょうか。紅楼夢侍女会議、次回をお楽しみに」
 
襲人「え、ちょっ…こんな終わり方やめてくだいってばぁ!」
 
毎度毎度襲人をオチに使うのはいかがなものかと思う今日この頃。ファンの方々ごめんなさい。