この度…といっても割と前からなのですが、新サイトを設立しました。コンテンツ内容はこのブログとほぼ同じですが、中国系を充実させつつ、それ以外も取り扱っていこうと考えています。
こちらのブログはこのまましばらく残しておく予定です。
引き続きよろしくお願い致します。
新サイト「瀟湘小斎」
この度…といっても割と前からなのですが、新サイトを設立しました。コンテンツ内容はこのブログとほぼ同じですが、中国系を充実させつつ、それ以外も取り扱っていこうと考えています。
こちらのブログはこのまましばらく残しておく予定です。
引き続きよろしくお願い致します。
新サイト「瀟湘小斎」
百度リンクページ
https://baike.baidu.com/item/芳华/19926594
大唐游侠伝(だいとうゆうきょうでん) [DVD-BOX1](5枚組) MX-374S
12,796円
楽天 |
武侠迷の集い、武侠大幇会に今年も参加してきました。
参加者の皆様お疲れ様でした。そして主催の方々、ありがとうございました。
先の金庸先生の訃報もあり、武侠ファンにとって今年は一つの節目となったのではないかと。幇主や岡崎先生のお話はとても感動的でした。一つの時代が終わったのだという感じがします。自分も金庸先生の訃報から大幇会までの間、これまでの武侠との関わりを思い返したりしていました。大袈裟な言い方をすれば、武侠と出会わなかったら、今の自分はいなかっただろうな、という気がします。
サンファンやその他の中国ドラマなどを入り口にして武侠に興味を持ってくださる方もいますし、色んなところから今後も江湖の仲間が増えれてくれれば何よりだと思います。
今回の山九厨房は非常に良かったです。料理はじゃんじゃん出てくるし美味しいし。主催の皆様に感謝。
また催し物の布袋劇もサイコーでした! やっぱりこういう企画があるだけで盛り上がりが違いますね。
毎度恒例のくじ引きでは、今回運よく最初の方に当たりを引き当てたので、「大唐游侠伝」のDVDボックスをゲットしました。もちろん上下揃っており、滅茶苦茶美品。しばらくはこれに没頭しそうです。そういえば、今回の一等は何だったのでしょう? 前回はアンダグループなるユーモアたっぷりの景品でしたが…。
百度リンク
https://baike.baidu.com/item/孽海花/15085495
海上花列傳 韓邦慶 著【電子書籍】[ 韓邦慶 ]
596円
楽天 |
清末・韓邦慶による長編小説。上海における妓女達と、それを取り巻く社会の実態を描いた作品。当時の花柳界は闇商売や阿片・賭博といった退廃的な文化、そこに集まる富豪や悪徳官僚など、社会の暗黒面が凝縮されており、これは作家達にとってまたとない題材だった。「九尾狐」「海上繁花夢」「海天雪鴻記」など多数の作品が生まれ、これは今日花柳小説として一つのジャンルを築いている。本作、海上花列伝はその花柳小説における代表的な作品。
ストーリーは上海にやってきた青年・趙撲斎を案内役に、次々と人物が入れ替わっていく群像劇の形で展開されていく。これは儒林外史以来、様々な中国小説で用いられているスタイルでもある。
人物が入れ替わる度話の内容もがらりと変わってしまうので、読み進めるのに苦労するが、実は小説としての構成はかなり優れていて、独立していたように見える話同士が思わぬところで繋がっていたりする。二、三読してみると、作者の綿密な構成力がわかって唸らされること間違いなし。
また、バラエティ溢れる登場人物たちの描写も楽しい。花柳界のお話なので、やっぱり本作の顔役は妓女。ヒステリックで理不尽にキレたりする沈小虹、何かにつけて酷い目にあう生真面目な張蕙貞、商売上手な黄翠鳳などいずれも個性。特に黄翠鳳のしたたかさは、他の中国小説には見られない魅力があってかなり好き。
そんな妓女達の店に通う客もなかなか一筋縄ではいかない連中であり(カモ同然にされている輩もいるけど)いるけど)、その駆け引きがまた面白い。
ちなみに、物語の導入役である趙樸斎は登場頻度も少なく、華麗な上海文化に魅了され、あっという間に金を使い果たして没落してしまう。彼を心配して妹と母親も上海にやってくるが樸斎は彼らを引き込んで芸者屋を開業、あまつさえ妹を妓女にしてしまう。都会に餌食にされる田舎者を地でやってしまってるのが笑える。
さて、ストーリーとキャラ以上に、本作を名作たらしめているのは上海花柳界の実態を細かく描写していることではないか。清末の小説というのは、ジャーナリズム要素を多分に含んでいて、国際情勢や政治問題、世を騒がせた事件などタイムリーなネタを使って作品を書くことが多い(清末作家の中に、記者業を営んでいる者が少なくなかったことも理由の一つだろう)。彼らの作品は、一種のメディアとしての役割もあった。花柳界には華やかな表の顔と醜い裏の顔があり、人々の興味を否応なしに惹きつける魅力があったのだ。まあ、現代人が芸能界の裏側とかに興味をそそられたりするのと似たようなもんである。そういうわけで、作家達もこぞって花柳界を書いたわけ。彼らの小説は、その世界を知らない大衆にとっては一種の指南本にすらなった。
花柳という特殊な世界、そのうえ日本人にはいまいち馴染みの無い清末が舞台だが、中国小説好きなら読んで損のない作品。是非ご一読を。