前回のブログ記事では、
郵政民営化を、強引に進めるために、
違憲的に、いわゆる「郵政解散」と「郵政選挙」を行なうのですが、
その「郵政選挙」では、
巨大広告代理店の”電通”、御用学者などが
動員されて、
「郵政民営化が善」であるかのような
プロパガンダ工作が、
アメリカの保険会社による巨額の資金投入により、
行なわれていた事を見ました。
「郵政解散」の裏工作(参議院は内閣暴走のブレーキ ~その3~)
小泉政権が出した「郵政民営化法案」を、
参議院が否決し、
「郵政民営化法案」という小泉政権の野望を、
参議院は、一度は払いのけて、
国難を避けたのですが、
仕組まれた郵政選挙を通じて、
郵政民営化に反対する政治家たちが排除され、
そして「民営化法案」が、今度は通された事を、
見てきました。
衆議院を与党が占め、
参議院を野党が占める、
という「ねじれ国会」状態の成立は、
衆議院を占める与党が、政治運営するのに、
どうしても参議院を占める野党との、
妥協や折り合いが避けられず、
その事から、
スムーズに物事が運ばない事になります。
しかし、衆議院を占めた政党である与党、
その与党から選出された首相の組閣した内閣が、
国民の期待や、
国民の為にならない暴挙に出たとき、
その暴走を抑えることができるのは、
たぶん参議院しか、
残されていないのではないでしょうか?
その参議院を、「大阪維新の会」が、
廃止することを視野に入れている、というのは、
私にとっては、とても危険なことのように思えます。
私たちは、この一連の記事を通じて、
「参議院」には、
政府/内閣の暴走を抑えることのできる
(たぶん唯一の)
「ブレーキ機能」のある貴重な機関である事を、
確認しておいて損は無いのではないでしょうか。
「郵政完全民営化」という関連テーマで、
今回から何回かに分けて、
「郵政完全民営化」により、
どういった帰結や結末が、もたらされてしまうのか、
一緒に学んでみたいと思います。
以下は菊池英博『消費税は0%にできる』より、
一部引用します。
”最大の国民騙しは、
郵政事業四社の分社化
(補注:ゴールドマン・サックス立案)は
「かんぽ生命」「ゆうちょ銀行」を
外資に買収させやすくするためであったのに、
効率化のためであるかのように宣伝し、国民に
最大の疑惑を知らせないようにしたことである。
2007年10月の民営化
(株式は全額政府保有)で
日本郵政は四社に分割され、
それを統括するのが
日本郵政株式会社(持株会社)である。
分社化によって、外資は
「かんぽ生命」と「ゆうちょ銀行」を
買収しやすくなり、
外資はこの「ゆうちょマネー」を
外資主導で吸収しようとしている。
「官から民へ」とは
「官から外資へ」
というアメリカの要望の代弁であった。
≪郵貯・簡保マネーの吸収で
アメリカ連邦財政の債務が安定化する≫
”・・・アメリカの意向は、
民営化によって
「ゆうちょ銀行」(資金量182兆円)と
「かんぽ生命」(同113兆円、ともに資金量は
2008年3月末)を買収して、その資金を
アメリカのために活用させようとすることであろう。
「かんぽ生命」が その資金量で
アメリカ国債の調達先が安定するし、
その資金量で対外活動を展開できる。
すでにアメリカの首脳が国際会議で
こうした発言をしたとも伝えられている。”
菊池英博『消費税は0%にできる』(P.73~75)より
日本政府が、
アホみたいにジャンジャン国債を発行できたのは、
発行される日本国債の3割を
引き受けて来てくれたのが、
郵政公社であったからで、
郵政公社が、日本国債を引き受けてくれるから、
安定した低金利で、
その国債価値も
値下がりを起こさずに済んできたのと同様にして、
その世界最大規模の”郵政マネー
(かんぽ・ゆうちょ)”が、
「郵政民営化」により、今度は、
発行されるアメリカ国債の引き受け手にされる、
という訳でありました。
ちなみに、「日本郵政会社」の株式売却で、
「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」を、
米国資本が買収する際の幹事証券は、
ゴ-ルドマンサックスで、決まっていたようです。
しかし、「郵政完全民営化」で恐ろしい事は、
「ゆうちょマネー」「かんぽマネー」が、
アメリカ国債に使われる事よりも、
発行される日本国債の、大きな引き受け手である
「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」を失うことにより、
1)政府が、資金調達が困難になり、
この「郵政完全民営化」でこそ、
日本政府が、本当に財政破綻してしまう
2)発行する日本国債の大きな引き受け手を失い、
日本国債の評価損が、増大するために、
日本国債を保有する日本の金融機関が、
自己資本率の維持を余儀なくされる為に、
「貸し渋り」や「貸し剥がし」が起こり、
実態経済に悪影響を及ぼす
といった危険性が、想定されます。
だとすれば、
橋下ひきいる「大阪維新の会」や
渡辺喜美ひきいる「みんなの党」が、
公務員改革に励もうとも、
この両党が賛成するTPPに加盟してしまえば、
TPPの条項の一つである「非関税障壁の撤廃」により、
「郵政完全民営化」と同じことが起こってしまい、
TPPへ日本の加盟で、日本の”財政破綻”が、
ほんとうに即座に起こってしまうのでは
ないでしょうか?
逆に、「行政改革」の面だけで、
「大阪維新の会」や「みんなの党」を
支持したくなる有権者の方は、
デフォルト(債務不履行:借金を返せなくなる事)と
騒がれている、
ギリシャの政府債務総額が、
35兆円(2010年当時)で、騒がれている一方で、
一方の日本は、
“粗債務”として見積もられた日本の借金が、
なぜ約1000兆円もあるにもかかわらず、
ギリシャ国債のように、国債の金利は高くならず、
“デフォルト”が起こっていないのでしょうか?
――だからといって、省庁の外郭団体を使っての、
“天下り事業”や”渡り利権”を、許していいとは、
まったく思っていませんが、
だからといって、なぜ「行政改革」の手段が、
“規制緩和”や“(無条件)民営化”や
“グローバル化”でなければならないのでしょうか?
――
次回は、2)について、
いっしょに学んでいきたいと思います。
(つづく)
<参考文献>
菊池英博『消費税は0%にできる』(ダイヤモンド社)
菊池英博『金融恐慌の罠』(ダイヤモンド社)
『TPPと日本の論点』(農文協)
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Wikipedia「郵政民営化」より、一部引用。
<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%B5%E6%94%BF%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96>
1999年5月、
与野党ともに「郵政民営化」がタブー視されていた当時、
超党派の国会議員で構成される「郵政民営化研究会」が
立ち上げられた。
会長を小泉純一郎が、事務局長を松沢成文がそれぞれ務め、
メンバーには
中田宏、前原誠司、堂本暁子、上田清司らの名前があった。
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高樹辰昌
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「<参議院は、内閣の暴走を阻止できる唯一のブレーキ>」シリーズ
○<参議院>は、”内閣の暴走”を阻止できる唯一のブレーキ ~プロローグ~
○郵政完全民営化とは何か?(参議院は、”内閣の暴走”を止める事のできるブレーキ ~その1~)