3237号「気の弱い男が、一日で、激変してしまった話



砂辺光次郎

講義録3237

(2013/5/16)





ご訪問、心より感謝申し上げます。




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人前で話した内容の一部です。


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NF氏は、15年前に、不動産投資をして、詐欺に巻き込まれて、破産してしまいました。


NF氏は、バブル期に、数億円の投資をしましたが、バブル崩壊して、いよいよ首をくくろうか、というところまで追い込まれたのです。


その困っているときに、派手なスーツのYKという男です。


派手なスーツのYKは、NF氏のもとに現れ、


「うちの不動産に投資すれば、一気に儲かる」とインチキ話を持ちかけてきました。


NF氏は、ワラにもすがる思いで、その話に乗ってしまいました。


しかし、その不動産話は、そんなに儲かる話ではなく、NF氏は、ますます行き詰ってしまったのです。


すると、派手なスーツのYKは、毎日のようにNF氏の事務所に来て、「あと、百万出さないといけないんだ」、「買ったんだから、払わないということはないだろう」と、要求してきました。


NF氏は、毎日、びくびくしていました。


派手なスーツのYKは、(この男は、気が弱い。要求すれば、どんどん、金を出すだろう)とわかったので、ますます強く要求を出してきました。


NFは、ますます、おびえて、YKの要求に負けて、お金を絞り取られました。



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性格的な弱さがNF氏の弱点でした。


派手なスーツのYKは、NFが気が弱いのを知って、要求をどんどん大きくして、「永久温泉権というのがあって、どうしても300万出さないといけないんだ。」と請求してきました。


NFは、しかたなく、年老いた親に頼んで、300万円を出してもらったのです。


このあと、両親から大金をせびったことで、NF氏は、強い後悔の念に駆られました。


NF氏は、眠れない日々が続きました。そして、精神的に追い詰められ「自分は死ぬか、はたまた、強くなって、人生、やり直すか、どちらかだ」、というぎりぎりのところまできました。


そういう眠れない日々の中で、NF氏は、あるイメージを心に抱き始めたのです。


そのイメージとは、


(派手なスーツのYKは、怖くない。



私は、YKの肩に手を回して、わっはっは、YKさん、あれインチキ話でしょう、わっはっは、と豪快に笑う。


そして、強面(こわもて)のYKが、びくびくする。」)


こういうイメージでした。


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アメリカ光明思想を読むと、強くなる方法が書いてあります。


その方法は、まず、「自分が怖いと思っていることを、試しにやってみる」、ということでした。


たとえば、蛇が怖いなら、蛇を触ってみるとか、ためしに、最も自分が怖いと思っていることをやってみるのです。


そうすると、案外、たいしたことはない、ということがわかり、人は、強くなっていくのです。


こういう強くなる方法がありました。


もうひとつ強くなる方法があって、それは、


「自分が怖いと思っていることは、たいしたことはない。


自分は楽々とできる」


とイメージすることだった。


このイメージしたあとは、苦手なことも、かなり、楽にできるようになるという。


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NF氏は、このイメージするという方法を、知らず知らずのうちにしていたのです。


そうしたら、後日、こういうことが起きました。


NF氏が、電車に乗ると、派手なスーツのYKがいたのです。


派手なスーツのYKに出会ったNF氏は、イメージ通りのことをし始めたのです。


NF氏は、派手スーツのYKに、「おう!」と右手を上げて合図し、しかも、彼の隣にどかっと座ったのです。

気の弱いNF氏には、今までは考えられない行為でした。


以下、その時の会話を記します。


NF[わっはっはっは。久しぶりだな、YKさん。」


派手なスーツのYK「(ぎょっ)・・・」


NF「オレだよ。NFだよ。お世話になりました。わっはっはっはっは。」


派手なスーツのYK「・・・・(緊張した顔)」


NF「隣に座ってよろしいでしょうか?もう座っているか。わっはっはっはっは。」


派手なスーツのYK「・・・」


NF「わっはっはっはっは。景気はどうですか?わっはっはっはっは。」


こんな感じだったそうです。


NF氏は、派手なスーツのYKを圧倒して、そのあと、NF氏が参加している政治政党の党員にならないかとか、なんやかやと話を持ちかけたそうなのです。


派手なスーツのYK氏は、弱々しかったNF氏が激変してしまったので、もう、本当にびっくりしてしまって、ただ、緊張して黙っていたそうです。