- やわらか脳―茂木健一郎「クオリア日記」/茂木 健一郎
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脳科学者茂木健一郎のWEB日記。
怒ったこと、思ったこと、好きなもの。
04~05に渡って書き綴られたものを纏めた本。
イマイチ。
エッセイが得意なタイプじゃないかも。
というより、日記って基本そんなに推敲しないから、文章として雑然としているせいもあるかもね。
そのぶん、筆者の性格がダイレクトに伝わるわけなんだけども、
その性格が好きになれなかった。
TVのコメンテーターやガイドのイメージで、
穏やかなインテリ、と思ってたけど、全くそんなことなく、意外と熱情のまま走るタイプみたい。
気に食わないものは気に食わないといい、自分が気に入ったものは惜しみなく賛辞する。
それは別にいい。
別にいいんだけど、どうも言外に、
「で、俺の感覚って抜群だろ?俺のセンスが最も正しい!」
という印象を受ける。
それを如実に感じたのは、年下の若者との口論のエピソード。
疑問や、それは違うと思ったことはきちんと口にして、しっかりと議論する主義みたいなんだけど。
とことん話し合って、「自分はそれは違うと思う。こう思う。」と徹底的に伝えるタイプみたいなんだけど。
なんかねー。
上から目線と言うか。
さすがに押し付けではないみたいだけど、
一人でケンカふっかけて、一人で納得してもうおしまい、見たいな感じ。
言語化し、納得いくまで話し合い、和解し、共有、自体は悪くない。
んだけど、その根底に、「俺の言うことは正しい」ていう絶対的自信や、独りよがりを感じる。
相手の若者は、本当に議論したかったのかな?
指摘されて、とことん話し合う価値が、相手の側にもあったのかな?
年上インテリの押し付けがましさはなかったのかな?
て思っちゃう。
あとよく怒るよねこのひと…
激情、まではいかないけども、「~が気に食わない」が多くて、
別に茂木さんがどんなことが嫌いか、そんなに興味はないんだけど…
まぁ日記だし。
文句言うべきは、それを書籍に纏めようと発想した編集者か?
逆に言うと、卒のない人物でなく、充分でこぼこした等身大の人格が見えて良かった、
てのはあるかもしんない。
世の中の何に注目して、何が嫌いで、何が好きで、
どういう思考の筋道をしているのか、
何をライフワークにしたくて日々自分に言い聞かせてるのか、ってのは良く分かる。
少なくとも、河合隼雄や、養老猛なみのクオリティを期待してはダメ。
他の本はどうなのかな。
日記じゃなくて。
それにしても、インテリで人気が出ると、編集は無茶な本出すよね…
養老さんのインタビュー本も、一般人には読みやすいけど、
本人的には気に食わなかったらしいじゃん。
編集さんにいいようにいじられて。
わかりやすさも時には必要だけど、
思っていることをハイクオリティで文章に出来る能力を持った人には必要ないと思うんだな。
生の、原文の、言葉を知りたいわけで。