190-衆53 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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世の中に必要なものは必要になります。
例え、今は笑われてもです。
限界が来るものについては、捨てなければ生きていけないからです。

養子縁組の民間あっせん事業を、届け出制から許可制に改める議員立法です。

営利を目的とした養子縁組のあっせん行為は児童福祉法で禁止されています。しかし、業として実施する場合は、社会福祉法の第2種社会福祉事業に当たり、都道府県知事等に届出が必要となっています。実になんのこっちゃということです。なりわいは営利と違うのか。

厚生労働省によると、12年度に成立した養子縁組のうち、児相の仲介は306人、民間事業者は116人で、その大半が特別養子縁組。

厚労省の12年度調査では、養親に負担を一切求めない社団法人がある一方、平均請求額が200万円を超えた任意団体もあったとのこと。予期せぬ妊娠をした女性に付き添って病院を探したり、一時的な住まいを提供したりすれば費用も増えるため、負担額の多寡だけで良しあしは決まらないが、資料代として100万円以上を請求されたといった金銭トラブルも起きているようです。



○ 民間事業者の養子縁組あっせん事業とは
民間事業者が行う養子縁組あっせん事業は、18歳未満の自己の子を他の者の養子とすることを希望する者及び養子の養育を希望する者の相談に応じ、その両者の間にあって、連絡、紹介等養子縁組の成立のために必要な媒介的活動を反復継続して行う行為をいう。
※ 民間事業者による養子縁組成立数 平成23年度136人(15事業者の計)(家庭福祉課調べ)
※ 民間事業者の外、児童相談所も養子縁組あっせんを実施。養子縁組による措置解除数 平成23年度303人(家庭福祉課調べ)
〇 営利目的でのあっせん禁止及び第2種社会福祉事業の届出
・ 営利を目的として養子縁組のあっせんを行う行為は、児童福祉法で禁止。
※ 違反した場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金。
・ 業として実施する場合は、社会福祉法の第2種社会福祉事業に当たり、都道府県知事等に届出が必要。
※ 都道府県知事等は、事業者に対する調査権限を持ち、必要な場合には事業の停止命令等を行うことができる、事業者がそれに従わない場合は罰則(6月以下の懲役、50万円以下の罰金)が科せられる。

○ 養子縁組あっせん事業に対する通知
■「養子縁組あっせん事業の指導について」
(昭和62年10月31日厚生省児童家庭局長通知、平成24年3月29日改正)
・ 事業の実施に当たり、交通、通信等に要する実費又はそれ以下の額を徴収することは差し支えない。
・ 社会福祉法人等の法人により行われることが望ましい。
・ 社会福祉士、児童福祉司となる資格のある者等の相談員を2名以上配置。
・ 児童の権利に関する条約により、出身国内において適切な方法で監護を受けることができない場合等に限り、国際的な養子縁組を考慮することが認められる。
■「養子縁組あっせん事業を行う者が養子の養育を希望する者から受け取る金品に係る指導等について」
(平成18年8月28日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長通知、平成24年3月29日改正)
・ 「実費又はそれ以下の額」以外の金品は、いかなる名称であっても受領できないこと
・ 寄付金は任意のものに限られ、養子縁組手続完了前の寄付金の受領及び約束をしないこと
など

毎日新聞によれば、白井千晶・静岡大教授(家族社会学)は「法律で営利目的が疑われる事業者を排除し、質を高める意義は大きい。しかし児相があっせんを民間委託したり、養親希望者のリストを共有したりするなど、官民が連携しやすい仕組みを作らなければ実効性は乏しくなる。国は官民のあっせんの手法を総合的に示す指針を整備すべきだ」と指摘しています。

この法案は自民党によるものですが、56号議案で民主党案のものもあるので比較検討すべきと考えます。

190国会●衆議院提出法案第53号
民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案
【提出者】木村弥生 (自由民主党)他3名

●民間あっせん機関の許可等
 一 許可
 国、都道府県及び市町村以外の者は、養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、当該養子縁組あっせん事業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないものとすること。 
 二 許可の基準等
   都道府県知事は、一の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、一の許可をしなければならないものとすること。
  イ 養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有すること。
  ロ 養子縁組あっせん事業を行う者が社会的信望を有すること。
  ハ 申請者が社会福祉法人、医療法人その他厚生労働省令で定める者であること。
  ニ 養子縁組あっせん事業の経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること。
  ホ 営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと。
  ヘ 脱税その他不正の目的で養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと。
  ト 個人情報を適正に管理し、及び児童、児童の父母(児童の出生により当該児童の父母となるべき者を含む。以下同じ。)、養親希望者その他の関係者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
  チ イからトまでに定めるもののほか、申請者が、養子縁組あっせん事業を適正に遂行することができる能力を有すること。

 三 許可の欠格事由
   都道府県知事は、許可の欠格事由に該当する者に対しては、一の許可をしてはならないものとすること。 

 四 手数料
  1 民間あっせん機関は、厚生労働省令で定める種類の手数料を徴収する場合を除き、養子縁組のあっせんに関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならないものとすること。
  2 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに関する手数料の額その他養子縁組のあっせんに係る業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し、情報の提供を行わなければならないものとすること。

 五 その他
   許可証、許可の条件、許可の有効期間、許可の有効期間の更新、変更の届出、事業の廃止、改善命令、許可の取消し等、名義貸しの禁止、帳簿の備付け等、帳簿の引継ぎ、事業報告、業務の質の評価等及び民間あっせん機関に対する支援について所要の規定を設けること。


●養子縁組のあっせんに係る業務
 一 相談支援
   民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに関し、児童の父母、児童の父母以外の者で児童を現に監護するもの、養親希望者、児童等を支援するため、これらの者に対し、専門的な知識及び技術に基づいて、面会の方法により相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとすること。

 二 養親希望者による養子縁組のあっせんの申込み等
  1 民間あっせん機関は、養親希望者から養子縁組のあっせんの申込みがあった場合において、その申込みの内容が法令に違反するとき又は当該養親希望者による児童の監護が著しく困難若しくは不適当であることが明らかであるときは、その申込みに係る契約を締結してはならないものとすること。
  2 民間あっせん機関は、養親希望者から養子縁組のあっせんの申込みがあったときは、養親希望者に関し所要の事項を確認しなければならないものとすること。
  3 民間あっせん機関は、あらかじめ、養子縁組のあっせんの申込みをする養親希望者に対し、養子縁組のあっせんに関する手数料の種類及び額を明示しなければならないものとすること。

 三 児童の父母等による養子縁組のあっせんの申込み等
   民間あっせん機関は、児童の父若しくは母(児童の出生により当該児童の父又は母となるべき者を含む。)又は児童の父母以外の者であって児童についての監護の権利を有するもの(児童の出生により当該児童についての監護の権利を有する者となるべき者を含む。以下同じ。)から児童のためにする養子縁組のあっせんの申込みがあったときは、正当な理由がなければ、その申込みに係る契約の締結を拒んではならないものとすること。

 四 養子縁組のあっせんを受けることができない養親希望者
   民間あっせん機関は、養親希望者が次のいずれかに該当する者であるとき又はその同居人がロからニまでのいずれかに該当する者であるときは、当該養親希望者に対する養子縁組のあっせんを行ってはならないものとすること。
  イ 成年被後見人又は被保佐人
  ロ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
  ハ この法律、児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律その他国民の福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
  ニ 児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者
  ホ 児童の養育を適切に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を修了していない者
  ヘ 二の2又は八による確認に協力することについて同意しない者

 五 児童の父母等の同意
  1 民間あっせん機関は、養親希望者の選定に先立ち、養親希望者の選定を行うことについて、民法上養子縁組の際に同意が必要とされる者等から書面による同意を得なければならないものとすること。
  2 民間あっせん機関は、養親希望者と児童との面会に先立ち、養親希望者と児童が面会することについて、養子縁組のあっせんに係る児童の出生後に、民法上養子縁組の際に同意が必要とされる者等から書面による同意を得なければならないものとすること。
  3 民間あっせん機関は、養親希望者による養子縁組の成立前の児童の養育(以下「縁組成立前養育」という。)に先立ち、縁組成立前養育を行うことについて、養子縁組のあっせんに係る児童の出生後に、民法上養子縁組の際に同意が必要とされる者等から書面による同意を得なければならないものとすること。
  4 民間あっせん機関は、1から3までの同意を得るに当たっては、あらかじめ、これらにより同意を得なければならないこととされている者に対し、その置かれている状況等を勘案し、専門的な知識及び技術に基づいて、面会等の方法により相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を十分に行わなければならないものとすること。
  5 1から3までの同意をした者は、養子縁組のあっせんに係る児童についてその養子縁組が成立するまでの間、いつでも、書面によりその同意を撤回することができるものとすること。

 六 養子縁組のあっせんに係る児童の養育
   民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに係る児童についての監護の権利を有する者から当該児童を委託された場合には、養親希望者が当該児童の養育を開始するまでの間、当該児童が適切に養育されるよう必要な措置を講じなければならないものとすること。 

 七 縁組成立前養育
  1 民間あっせん機関は、特別養子縁組に係る養子縁組のあっせんを受けることを養親希望者が希望する場合には、養親希望者に縁組成立前養育を行わせなければならないものとすること。
  2 民間あっせん機関は、養親希望者に縁組成立前養育を行わせようとするときは、養親希望者から、次に掲げる事項等について、書面による同意を得なければならないものとすること。
   イ 民間あっせん機関から、十の1又は2による報告を行うための協力その他児童の監護の状況等を把握するための協力を求められたときは、その求めに応ずること。
   ロ 民間あっせん機関から、5により縁組成立前養育の中止を求められたときは、当該縁組成立前養育を中止し、児童を民間あっせん機関に引き渡すこと。
  3 民間あっせん機関は、縁組成立前養育が行われている場合には、養親希望者及び児童に対して面会の方法により相談に応ずること等により、適時かつ適切に縁組成立前養育における監護の状況等を把握するよう努めなければならないものとすること。
  4 民間あっせん機関は、縁組成立前養育が行われている場合において、縁組成立前養育における監護の状況等を踏まえ、養親希望者と児童との間で養子縁組を成立させることが児童の最善の利益に適合すると認めるに至ったときは、養親希望者に対し、養子縁組を成立させるために必要な手続をとるよう指導及び助言を行うものとすること。
  5 民間あっせん機関は、次に掲げる場合には、養親希望者に対し、縁組成立前養育の中止を求めなければならないものとすること。
   イ 縁組成立前養育における監護の状況等を踏まえ、養親希望者と児童との間で養子縁組を成立させることが児童の最善の利益に適合しないと認めるに至ったとき。
   ロ 五の3の同意が撤回されたとき。
   ハ イ及びロに掲げる場合のほか、児童と養親希望者との間で養子縁組が成立する見込みがないこと等により、縁組成立前養育を継続させることが相当でないと認めるに至ったとき。

 八 養子縁組の成否等の確認
   民間あっせん機関は、その行った養子縁組のあっせんに関し、次に掲げる事項を確認しなければならないものとすること。
  イ 養子縁組を成立させるために必要な手続の開始の有無
  ロ 児童と養親希望者との間の養子縁組の成否
  ハ ロの養子縁組が成立した場合において、その成立の日から六月間における当該養子縁組に係る児童の監護の状況等

 九 縁組成立前養育の中止に伴う児童の保護に関する措置
   民間あっせん機関は、七の5により養親希望者に対して縁組成立前養育の中止を求めたときは、養親希望者から児童の引渡しを受けて、当該児童についての監護の権利を有する者に引き渡すこと、児童相談所に児童福祉法第二十五条第一項の規定による通告を行うことその他の児童の保護のための適切な措置を講ずるものとすること。  

 十 都道府県知事への報告
  1 民間あっせん機関は、養親希望者との養子縁組のあっせんに係る契約の締結、縁組成立前養育の開始、七の5のイからハまでに掲げる事由、養子縁組を成立させるために必要な手続の開始又は児童と養親希望者との間の養子縁組の成否の確定が生じたときは、所要の事項を、一月以内に、都道府県知事に報告しなければならないものとすること。
  2 民間あっせん機関は、養子縁組の成立の日から六月が経過したときは、その経過した日から一月以内に、その成立の日から六月間における児童の監護の状況等を都道府県知事に報告しなければならないものとすること。

 十一 養子縁組の成立後の支援
   民間あっせん機関は、その行った養子縁組のあっせんについて、養子縁組の成立後において、養子となった者、養親となった者又は養子となった者の実父若しくは実母を支援するため、その求めに応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。

 十二 その他
   養親希望者等への情報の提供、秘密を守る義務等及び養子縁組あっせん責任者について所要の規定を設けること。    

●罰則
1 第二の一の許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行った者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。
2 その他所要の罰則規定を設けること。