温かい感じで距離を置いてあげる
絶対に励まさないでくれ。
気分転換を強要しないでくれ。
放っておいてくれれば一人で治るから干渉しないでくれ。
実際、その通りにしてくれたので助かった。
「頑張れ」と励ましてはいけない、ということはようやく世の中に浸透してきたようだ。
おれの実感からしても、やはり「頑張れ」と言われるのは相当にこたえると思う。
頑張りたいのは山々なのだ。会社に行けないとか、歩けないとか、症状が出ている時点でもうポキッと折れてしまっているのだから、それ以上追い詰めないでほしい。
「頑張れ」と言われると、まだ頑張りが足りないのかと情けなくなったり、腹立たしくなったりするのだ。
「気分転換でもしたら」というのも禁句だ。気分転換したくなったら自分でするから、それを強要しないでほしい。ましてや「外の空気でも吸ったら気分も変わるよ」「旅行にでも行ってみようか」などと連れ出されるのはごめんこうむりたい。
とにかく干渉されたくない。心配してもらっていることをありがたいと感じる余裕すらないのだ。ひたすら放置されていることが、おれにとっては一番良かった。
この人はすぐになんでも精神論を持ち出してくるから、あまり近づかないようにしておこう。今は「根性さえあればなんでもできるんじゃい」なんてセリフは絶対に聞きたくない。
どうしても近づかないといけないときには、あらかじめ防御態勢を取ってから近づいた。
予想をしていればいくらかはダメージが軽減されるからだ。
温かい感じで距離を置く、とでもいうのだろうか。おれの経験からするとこうしてもらうのがもっともありがたい。
― 『心が雨漏りする日には』 中島らも著(青春出版社) ―
人間社会においては、ずっと一人でいることは困難です。
やむなく人と接しなければならない時は、防御態勢が必要ですね。
特に、図太い人と会わなければならない時は、朝から気分が重たいです。
そんな時、相手を、保育園児や幼稚園児なのだと言い聞かせながら会うようにしていますが、
しんどいことに変わりはありません。
私は、人間関係において、「適度な間合い」という表現を使っていますが、
温かい感じで距離を置く
なんて、素敵な表現なのでしょう。
この記事もまた、私自身への自戒の意味で記事にさせて頂いております。
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