<艶が~る、二次小説>


もしも、土方さんが会社の上司だったらってことで、今回は#6キラキラ現代版土方さんを勝手に想像した話です涙相変わらず、拙い文ですが良かったらお付き合い下さいきらハート

#1 #2 #3 #4 #5

(↑それぞれクリックしてお読み下さい。#3は艶シーンありの為、大人限定です。#3で、土方さんと主人公が結ばれたと思って下さい汗




【Toshi Hijikata】#6



会社を出て近所のコンビニで買い物を済ませた後、いつものバーへと足を運んだ。普段よりも早く訪れたからなのか客の姿は疎らで、いつものカウンター席を選んで座り込む。


「ふぃ~、今日は本当に疲れた…」

「お疲れさま…」


テーブルに半ば塞ぎ込むようにして呟く彼女にそう言うと、


「こんばんは、何になさいますか?」


カウンター前にやってきた見知らぬ青年に少し躊躇いながら、二人でお気に入りのカクテルと、ちょっとした食事を注文した。


(…今夜は沖田さん、居ないのか…)


「ちょっと来ない間に、新しい子が入ったんだね」

「そうみたいだね…」




艶が~る幕末志士伝 ~もう一つの艶物語~




私の24回目の誕生日の夜。


土方さんと二人だけで訪れた時、確か沖田さんはバイトが入るようになったから時間が取れるようになったと言っていた。


その時の人とは違うみたいだけれど、だからかな…沖田さんがいないのは。


「ところでさぁ…」


不意にニンマリとした顔をしながら涼子が微笑む。


「さっきのメール、土方さんからどんな返事が来たんだぁ?」

「…それは、言えない」

「言えないくらいヤバイ内容だったってこと?」

「うっ……想像に任せる」

「余計に変な妄想しちゃうじゃん」


腕を組みながら眉を顰める彼女に苦笑して、


「そんなことよりも、何か話したいことがあるんじゃないの?」


そう尋ねると、「うん…」と、言って彼女は小さく溜息をついた。


(…何かあるなぁ…)


二人だけで飲もうということは、何か愚痴りたいことがある時か……あるいは、


「悩んでる?」

「……じつは、そうなのっ」

「やっぱりね…」


何かに悩んでいる時だ。


「お待たせしました」


前にそっと置かれたカクテルを手に持ち、無言でグラスをぶつけ合いそれぞれ飲み始める。


「あのね…じつはさ…」


彼女はグラスをコースターの上に戻すと、静かに口を開いた。


「今までは違うと思っていたんだけどさ…」

「うん…」

「あたし、あいつのこと…どうやら意識してるみたいなんだよね…」

「あいつって……まさかっ…」


また飲もうとして一瞬、手が止まり彼女の横顔を見つめる。


「そう、あいつ」

「ゆ、裕樹くんのこと?」

「…うん」


そう頷いてカクテルを飲み干し、お代わりを頼む彼女を驚愕の表情で見つめたまま、私は続きを話すように促した。


「そ、それで?」

「ああいうタイプが一番嫌いだったはずなんだけど…気が付いたら、誰よりも会いたくなってて……いつの間にか、意識してた」


同じ部署で、いつも一緒に行動している彼ら。でも、二人が一緒に居ると犬猿の仲というか、いつも口喧嘩ばかりで。


でも、そんな二人が組むとスムーズに仕事が捗り、成果も上々だった。


だから、秘かに私はとても良いコンビなのではないかと日頃から思っていたのだけれど、本人同士はそうではなさそうだったのでただ、見守ることしか出来なかったのだが…。


「やっぱりそうだったんだね」

「やっぱりって、そう思われてたのかぁ…」


新しいグラスを手にしながら細められた彼女の瞳は、すでに微睡んでいるように見える。


「だって、何かって言えば子供みたいに言い合うんだもん。かなり分かりやすいっていうか…」


そう言いながら私は、彼の方も彼女に対して同じ気持ちなのではないか?と、思い、彼と話していた内容を告げた。


「彼も、涼子のこと苦手だって言ってた」

「……だろうね」

「でも、もしも涼子と同じ気持ちでいてくれたとしたら…」


そう、笑顔で言うと、彼女は遮るように口を開く。


「それは無いと思うんだよね…」

「まぁ、それは本人に聞いてみないと分からないことだけど…」



──カランッ。


ドアの開く音と共にそちらを見やり、思わず二人で驚愕の声を漏らす。


「えっ!」

「嘘っ!」


「お前ら、何してんだ?」


今まで話していた張本人が現れ、彼は呆気に取られたままの私の隣に腰掛けると、ビールを頼み運ばれてきた食事に手を伸ばし始めた。


「裕樹くんこそ、帰ったんじゃなかったの?」

「ああ、なんか家でコンビニ弁当も飽きたから、ここで一杯飲んでからって思ってさ…」


二人に挟まれた私は、両方を気にしながらグラスを持ち、やってきたビールジョッキを手にした彼に、「改めて、乾杯!」と、声を上げる。


「おう…」

「乾杯…」


二人から気の無い返事を受けつつも、苦笑しながら凍りつきそうなこの場をどう乗り切ろうか考えていると、先に口を開いたのは彼からだった。


「今夜は沖田さんいないんだな…」


周りを窺いながら言う彼の視線を辿る。


「沖田さんって言えば、昼にコンビニ前で偶然会ったんだ…」


二人の視線を受けながら、沖田さんと出会った時のことを簡潔に話すと、彼の瞳がみるみる曇って行くのが見て取れた。


「どうしたの、裕樹くん?」

「いや、今日って何日だったっけ?」


尋ねられた日にちを答えると、彼は更に辛そうに眉を顰めながらぽつりと呟く。


「そっか…今日は、あの人の…」

「え、あの人って?」


私と涼子の視線を受けながら、彼は困ったような顔で「何でも無い」と、だけ呟いた。


彼は、沖田さんと仲が良くて、よくみんなでここを訪れた際でも、沖田さんと話をしていることのほうが多いくらいだったから、私が知りたかったことも知っているのかもしれない。


どうして、沖田さんがここのオーナーをしているのかということも…。今、沖田さんがどこで何をしているのかも…。


でも、それは彼から聞くことでは無い気がして、私も彼女もそれ以上は聞けずにいたのだった。



「お、沖田さんのことも気になるけど…あの、裕樹くん…」

「ん?」


何とか話題を変えたくて、二人を交互に見やった結果、


「裕樹くんって、付き合っている彼女とかいるの?」


「なっ…」

「ちょっ!」


そんなことを尋ね、また同時に両側から突き刺さるような視線を受ける。


「お前、いつも唐突過ぎるんだよな…そういうこと、サラッと聞くなよ」

「昼間は騙されそうになったけど、本当のところはどうなの?」

「お、俺は……その、今は仕事を優先したいから…だから、いるわけねぇだろ」

「そっか、いないのか…」


左足で彼女の右足を軽く突きながらそう言うと、彼女はふくれっ面をしながら頬を赤く染め始めた。


(…そっか、そっかぁ。やっぱ、いないのかぁ…)


「だから、俺のことはいいって…。お前らこそ、二人だけで何を話してたんだ?」

「涼子がね、好きな人が出来たらしくてね」


「えっ!?」


彼の驚く声と同時に、今度は彼女に足を蹴りあげられる。


「いっ!」


(…いったぁぁい…)


「それ、本当か?」

「ま、まぁね…」


背を丸めて痛がる私を避けるように、二人の視線が交じり合っている。私は涙目になりながらも、その場を見守っていると、


「好きな奴って、誰なんだ?」

「あんたに関係ないでしょ…」

「……そうだな」


さっきとは違う重苦しい空気が漂い始めた。


(二人とも素直じゃないからなぁ…)


と、そんな時。バッグの中で携帯がブルブルと揺れるのを感じ、二人を気にしながらも受信したメールを確認する。


(…土方さん、仕事終わったんだ。さすが、早いなぁ…。ここもこんな感じだし…邪魔者は帰ろうかな?)


私は一つ息をつくと、お互いに前を向いたままの二人に声を掛けた。


「ごめん、今夜は先に帰るね…」

「えっ、なんで?!」

「土方さん、残業終わったみたいなんだ…それに、」


私は彼女に内緒話をするかのように、「お邪魔なようだから…素直になるんだぞ」とだけ伝え、二人の間にぽっかりと空いた椅子を見つめ、次いで戸惑う二人に微笑んでその場を後にしたのだった。


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店を出て急いで会社に戻ると、薄暗い社内の窓辺に土方さんが独り佇んでいるのを見つけ、ゆっくりと近づきながら声を掛けた。


「お疲れ様です…」

「もう戻ったのか?」

「はい、ちょっとありまして」


少し不思議そうに首を傾げる土方さんが可愛いなぁ、なんて思いながら隣に寄り添って同じように夜景を見やる。


「土方さんの方こそ、さすがですね。こんなに早く仕事を終えるなんて…」

「思ったより早く片付いた…」


言いながら、大きな手が腰に添えられると同時に優しく抱き寄せられ、その温もりを感じながら素直にその広い胸に寄り添う。


「…土方さん」


寄り添った私の髪に土方さんの優しいキスが落ちてくると同時に、腰元に添えられていた手がゆっくりと上がり始め……


(…あっ……)


胸元でその大きな手を受け止めていた。


「あの…その…ここじゃあ…」

「ここには誰もいないが…」


耳元で低くとろけるような声で囁かれ、背けた首筋に熱いキスを受けて思わず甘い吐息を漏らす。


「……もう感じているのか」

「だ、だって…」


(…大好きだから……)


「今すぐお前を抱きたい…」

「へっ?」

「と、言うのは本音だが……さすがにここでは無理だ」


唖然とする私に土方さんは、悪戯っぽい視線のまま微笑んだ。


その細められた流し目にドキドキとした胸を更に高鳴らせ、もう少しで理性を失いそうだった私は苦笑しながらも心の声を伝える。


「家に着いたら、いっぱい抱きしめて下さいね…」

「……嫌ってほどな」



それから、私達は会社を後にすると夜食用に近所のスーパーで買い物を済ませ、土方さんのマンションへと向かった。


何だかんだと忙しかった私達は、なかなか二人の時間が作れずにいたけれど、今夜はまた朝まで一緒にいられる…。


土方さんの部屋はあの日以来。


私は、あの頃と同じように緊張感と期待感を胸に抱きながら玄関へと足を踏み入れた。




【#7へ続く】




~あとがき~


お粗末さまどした汗


意外に長くなってしまったので、この続きはまた次回ハートたっくさん、抱きしめて貰います(笑)


そして、沖田さんのことを描くにあたり、涼子と裕樹の二人が絡んでくるので、二人のこともしっかりと描きたいと考えています。二人の恋を成就させるのにも、ある難関が…。そして、沖田さんは今何をして何を思っているのか…。土方さんが抱えた大仕事のことも。まだまだこの物語も続きますですアオキラ


あと、これは余談どすが…。私がまだ26歳の頃。仕事仲間の男友達二人と飲んでいた時、それぞれの好きな人の話になり、信頼していた二人だったので素直に話したら…酔った片方の友人が、私の意中の彼を電話で呼び出して(爆)


その彼がやってきて、開口一番に、「俺、彼女が出来たんだ」と言ったもんだから(笑)私達は、苦笑するしかなくって(笑)その彼がトイレに行っている間に、電話した友人が私にずっと謝ってきて(汗)


これはしょうがないことだから、気にしないでくれ!と、言っていた記憶があるんだけれど、その時はもう、笑うしかなかったなぁ汗


この土方さんの現代版を書いていると、そげな頃のことを思い出すんですけど♪あれはあれで、良い思い出だったなぁ…なんて(笑)


独身時代の素敵な思い出の一つどすぅハート


今回も、遊びに来て下さってありがとうございましたきらハート