<艶が~る、妄想小説>
*バレンタインデーの夜は…*#4 ~尊皇攘夷の志士編~
息子のインフルBを貰い…微熱と高熱を繰り返していた結果…。やっと、UPすることが出来ました
今回は、あの人バージョンで書きました
ちょっと、今回は無理な設定に四苦八苦してしまいましたが
良かったら、読んでやって下さいませ
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*バレンタインの夜は…* #4 ~尊皇攘夷の志士編~
この場をどう乗り切ろうか悩んでいた時、龍馬さんが私の顔を覗きこみながら言った。
「……ごめんやー春香。今日はおまんの気持ちもよう考えんと…」
「龍馬さん…」
「やき、春香…笑顔を見せて欲しいちや。わしらの為に…」
「え……」
「次はいつおまんに会いに来られるか分からんき…」
少し寂しそうな龍馬さんの顔を見て、私はハッとした。
この時代に来てから、遊女になっていろいろな人と出会って、喜びや悩み、苦しみや悲しみを私なりに受け止め、少しでもその方の癒しになれば…と、思って毎日を過ごしてきた。
今日は…今日だけは、私の思いを受け止めて貰えたらって、その事だけを考えていたけれど、でも今は、こんなにも私のことを大切に思ってくれている彼らの為に、私に出来ることをしなければいけない…。
私が微笑むと、「そうちや、その笑顔ちや」と、言って龍馬さんは私を抱きしめた。その横で、翔太くんもほんの少し微笑み、改めて私を見ると……。
「最初は、龍馬さんを止めようと思ったんだけど…でも、やっぱり…お前に会いに来て良かったよ」と、言った。
「翔太くん…」
「お前は、迷惑だったかもしれないけどな…」
「ううん…そんなこと無い…」
私が俯き加減に言うと、尚も翔太くんは笑顔で話し出した。
「もしかしたら…俺達がこんなふうに集まって一緒に過ごすなんて、これから先無いかもしれない。だから、今夜は楽しく過ごしませんか?」
「そうやき、それが良いやか!翔太、ええことを言いゆうが」
「……元はと言えば、俺達がここに来なければこんな事にはならなかったんですけどね…」
ポツリと呟く翔太くんを見ながら、私は苦笑した。
すると、しばらく黙り込んでいた高杉さんが溜息をつきながら、傍に置いてあった三味線を胸の前で構え、弦を確かめて調節すると激しく弾き始めた。その横で、静かに目を閉じながら枡屋さんも聴き入っている。
「おお、こりゃあ~越後獅子かえ?」
龍馬さんが高杉さんの隣に座り込むと、にこにこしながら言った。
すると、枡屋さんが微笑みながら、越後獅子とは、新潟県新潟市南区(旧西蒲原郡月潟村)を発祥とする郷土芸能で、またこれを題材とした地歌、長唄の楽曲なのだと教えてくれた。
激しさの中にも、どこか哀愁が漂っているような音色に、私達はしばらく聴き入った。
笑顔で聴いていた龍馬さんが、高杉さんの背中を叩きながら、「やっぱり、おんしの三味線の腕は日本一じゃ!」と言うと、高杉さんはニヤリと笑いながら、「……いや、世界一だろ」と、言った。
「おお?せんばん(随分)と大きく出たもんじゃな」
龍馬さんは、ちょっとおどけた顔をしながら高杉さんに言うと、隣で聴き入っていた枡屋さんも、静かに口を開く。
「ほんまに、ええどすな。こないに切ない音色は初めて聴きました…」
私は、その和やかな雰囲気にホッとすると、それぞれにまたお酌をし始める。龍馬さんと翔太くんのおかげで、少し張り詰めていた空気が一掃された気がした。
しばらくして、高杉さんから舞を頼むと言われ、私は笑顔で一つ頷くと、高杉さんの奏でる曲に合わせて踊りだす。そして舞いながら、私は彼らの顔を一人ずつ見つめた。
目を閉じながら艶やかに奏でる高杉さんの横で、枡屋さんは微笑みながら私を見ている。龍馬さんも、翔太くんも、満面の笑顔で私を見てくれている。
私は舞いながら、いつも危険と隣り合わせの彼らの為に、今夜は精一杯の笑顔で期待に答えたいと、心の底からそう思った。
一通り、舞い終えると、今度は龍馬さんがお座敷遊びをしようと言い出した。何をして遊ぶのかを話し合っていると、高杉さんが、「座興杯(ざきょうはい)なんてどうだ?」と、提案してきた。
「座興杯か、やるがは久しぶりちや」
座興杯とは、可杯(べくはい)と同じ土佐を代表とするお座敷遊びの一つで、私も何度か他の旦那様たちがやっているのを見たことがあった。頻繁にやっているところを見たわけではないが、使用されるのはお酒を注いだ後に置くと、お酒がこぼれる杯で、器に穴が開いているため、飲み干すまで指でその穴を押さえていなければならない。座興杯はお座敷の遊びの為の杯で、大きさが大・中・小とあり、サイコロのようなコマを回して、出た目の器にお酒を注いでもらい、それを飲み干すのだ。そして、最後までギブアップせずにいられた人が勝者となる。
枡屋さんは知っているようだったが、ルールを知らない翔太くんに龍馬さんは説明をし始めた。
「……と、いうことなんやけんど…」
「……なるほど、駒の目次第ってことですね…」
「そういうことになるのう」
私は、座興杯用の器と道具を取りに行き、また部屋へと戻ってきた頃には、翔太くんがどんよりとしているのが見えた。
「翔太くん、大丈夫?」
「え、ああ……」
俯き加減の彼に少し心配になったが、私が準備を整えると、彼らは円を描くように座り込んだ。緊張した様子の翔太くんに、龍馬さんが声をかける。
「さっきの説明で分かったかえ、翔太?」
「はい……」
「いかんしなや(無理するなよ)、おんしの酔った姿は見たいがのう」
「りょ、龍馬さん…」
ニヤリとする龍馬さんに、翔太くんは苦笑した。
以前、二人がお座敷へ遊びに来てくれた時、龍馬さんが翔太くんが酔うと面白いって言っていたのを思い出して、私も思わず微笑んだ。
(…翔太くんは、酔うとどんな感じになるのだろう?)
そんな中、ずっと黙りこんでいた枡屋さんが、微笑みながら龍馬さんに尋ねた。
「翔太はんは、酔うとおもろいのどすか?」
「こじゃんとしょうえいやか(もの凄く面白いよ)」
「そうか、それは楽しみだな」
駒を握り締めながら、高杉さんも呟くと、翔太くんは気合を入れなおすかのように背筋を伸ばし、「負けませんよ」と、胸を張って言った。
そして、高杉さんから駒を回そうとしたその時、急にその手を止めながら、「賭けをしないか?」と、言い出した。みんなが何を賭けるのか尋ねると、高杉さんは私を見ながら言った。
「お前だ、春香」
「えっ!?」
その言葉に、私も、他の三人も目を丸くして驚いた。ニヤリと笑いながら私を見つめる高杉さんの視線に胸が少しずつドキドキし始める。
「お、おんしゃ~まっことばぶれたらいかんちや!(我儘を言ったらいかん)」
驚いた顔をしながら言う龍馬さんの横で、翔太くんも口を開く。
「た、高杉さん!春香を賭けの対象にするなんて…」
「こういう遊びは、賭け事をしたほうが面白いだろう?勝った奴が朝まで春香を好きにしていいっていうのはどうだ?」
高杉さんが駒を手の平で回しながら言うと、今度は枡屋さんが真剣な顔つきで呟いた。
「……それは面白いどすな。春香はんがええと言えばの話どすが…」
「あ、あの…わ、私は今…遊女としてここにいるんですから…出来るだけ期待に答えたいって思っています…」
私が戸惑いながらも笑顔で言うと、枡屋さんは少し困ったような顔をしながら、「ほな、絶対に負けられへんな…」と、言って微笑んだ。
「じゃ、いくぞ」
高杉さんが駒を回そうとした瞬間、隣にいた龍馬さんが高杉さんの手を止めると、「えずい(嫌らしい)ことは無しじゃ。ええか、高杉」と、真顔で言った。すると、高杉さんはニヤリとしながら、「春香次第だ」と言い、思いっきり駒を回し始めた。
(……はぁ…これからどうなってしまうのだろう…?)
<つづく>
~あとがき~
一難去ってまた一難(笑)
座興杯では、いったい誰が勝つのやら(≧∀≦)ノ
んでもって、誰がお菓子を貰うのやら
今回も、読んで下さってありがとうございました!
そして、皆様からのあたたかいコメント、本当に嬉しかったです!
今日は、だいぶ調子が良いです!
インフルB型は、微熱や高熱を繰り返すようなので…
これからも、もう少し…熱は続くだろうから…無理しないでいこうと思います。
本当に、癒されました!ありがとうでした!!
゚.+:。(≧∇≦)ノ゚.+:。