<艶が~る、妄想小説>


バレンタインの夜は…。~尊皇攘夷の志士編~ #2


今回は、バレンタイン当日を迎えたガールズ達の話っすウフフ

たまには、花里ちゃんのドキドキ話もいいかなってニコ

結構長くなったので、今回は女子だけでハート

良かったら、読んで下さいませアオキラ

今回から、また主人公目線に戻りますにこっ



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バレンタインの夜に…。#2



いつものようにお座敷を終えると、私は花里ちゃんと最後の仕上げに取り掛かった。


明日のバレンタインデーの為にいろいろな人に試食して貰った結果、あの人が一番喜んでくれそうなお菓子を一生懸命作ってきた。そして、バレンタインによく合うお菓子は何だろうって思い悩んだ結果、あるお菓子に辿りついた。


それは、煮溶かした砂糖を型に流し込み、冷やし固めて彩色した砂糖菓子で、有平糖を模して作った金華糖(きんかとう)というものだ。この時代のお砂糖はとても高価だったので、貯めておいたお金はすぐに底をついたが、秋斉さんに少しだけお金を貸していただき、その甲斐あって可愛い金華糖が出来上がったのだった。


「春香はん、上出来やで」


花里ちゃんが、私を見つめて微笑んだ。そして、私達は軽く抱きしめあうと、もう一度出来上がったお菓子をじっくりと見つめる。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


こんなに可愛く、美味しそうに出来たのは…。
和菓子屋さんのご主人のおかげでもあった。


いつだったか、秋斉さんからお使いを頼まれて和菓子屋さんを訪れた時……。


練り羊羹や、桜餅などの隣で色鮮やかに並んでいた金華糖を目にした私は、あまりの可愛さにじーっと見つめていると、物欲しそうに見えたのか……お店のご主人らしい人が私に話しかけてきた。


「お嬢はん、金華糖が好きなんどすか?」
「え……あ、いえ…この可愛いお菓子、金華糖っていうんですか?」


私が尋ねると、ご主人はにこにこしながら、「そうどす」と、言った。


「あんさん、金華糖を知らんのか?」
「ええ、まだ食べたことが無くて…」


私はそう言いながら俯くと、ご主人は並んでいたうちの一つを取り出すと、私の前に差し出した。


「可愛いあんさんに一つあげまひょ」


私はお礼を言って手に取ると、一口頬張った。
最初は、食べるのを躊躇ったが、それはどこか懐かしい味がした。


(……駄菓子屋で食べたような……)


「初めての金華糖はどないや?」
「とっても美味しいです!」


素直に感想を言うと、ご主人は嬉しそうな顔をした。そして、他のお菓子もおまけしてくれると、笑顔で私を見送ってくれたのだ。


そして、私達がバレンタインのお菓子を金華糖にしようと決めた時、思いきって和菓子屋さんのご主人に作り方を教えていただくことにし、その上、素敵な型も何種類か貸していただけることになったのだった。


「今夜は眠れへんな」


花里ちゃんが金華糖を見ながら呟くと、私も笑顔で頷いた。


そう、いよいよ明日はバレンタインデーだ。

花里ちゃんが誰に渡すのか気になりつつも、私達は眠い目を擦りながら片付けをし、それぞれが自分の部屋に戻った。


そして、布団の中であの人の笑顔を思い浮かべる。もしかしたら、すぐには渡せないかもしれないけれど…。


(……喜んでくれるといいな…)




そして、バレンタインデー当日。


いつもの朝を迎えると、私は身支度を整え、置屋の玄関先から掃除し始める。


「おはようさん」


背後から、秋斉さんに声をかけられ振り返ると、無事にお菓子を作ることが出来たかと尋ねられた。


「昨晩は、遅くまでかかってしまいましたが、なんとか完成しました」
「それは良かったな」
「秋斉さんのおかげです、ありがとうございました!」
「あんさんたちが一生懸命やったさかい」


そう言うと、彼は私の頭を優しく撫でた。


私は、改めてお辞儀をしながら御礼を言うと、「お菓子が貰える旦那はんが羨ましいどすな」と、微笑みながら奥へと去って行った。


それから、他の仕事を一通り済ませ、花里ちゃんと話し合った結果、最初に彼女の好きな人の家へ行くことになった。


置屋を出て、いつものように大門をくぐると、彼女はお菓子を持ちながら、隣を歩く私に、「胸が苦しくなってきた」と、言って俯いた。泣き笑いのような彼女の顔を見て、私までドキドキしてくる。考えてみれば、この時代に来てから女の子同士でこんなふうに好きな人のことを思いながら恋話をするのは初めてで、彼女も自分から好きな人に告白をするなんてことは初めてのようだった。


「……受け取って貰えるやろか…」


ボソッと呟く彼女を見つめながら、私は、「大丈夫」と言って微笑んだ。それからしばらく彼女について行くと、いつもの呉服屋さんに辿り着いた。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


「……ここって」
「そうどす、わての思い人はここの若旦那はんなんや」


彼女が頬を染めて言うと、私は思わず驚いて彼女の方を見た。ここへは、着物を新調する度に何度か訪れていたけれど、まさか彼女の好きな人がここの若旦那さんである、由太郎(よしたろう)さんだったなんて…全然気が付かなかった。


お店の前で立ち尽くしていると、突然、背後から声がした。


「おや、花里はんに春香はん…」


声に振り向くと、そこには、まさにこれから会いに行こうとしていた人が微笑みながら立っていた。花里ちゃんは、胸元に持っていたお菓子を後ろに隠し、「こんにちは、今日もええお天気どすな」と、慌てながら言うと、そんな彼女を見て、彼はくすくすと笑いながら、「今日は曇ってまっせ」と、言った。


(……花里ちゃん…完全にあがってるよ…)


すると、彼は戸を開けながら中へどうぞと言い、彼に促されるままに私達もお店の中へと入って行った。


そして、奥の居間のような部屋に通されると、用件は何かと尋ねられた。


「あの、今日は…別の用で来ました」
「どない用でっしゃろ?」

「今日は、彼女から…その、由太郎さんに伝えたいことがあるようで…」

「わてに?」


大好きな人を前にして緊張している様子の花里ちゃんが、私に小声で囁いた。


「春香はん……やっぱり…言えへんわ」
「……花里ちゃん」


大事そうにお菓子を膝の上に乗せながら俯く彼女に、私はそっと肩を抱いて「頑張って、私がついてるからね」と、囁いた。


それから、彼女は私の方を見ると精一杯微笑み、思いきって彼に思いを告げた。


「……あの、由太郎はん…」
「なんどす?」
「わてな、由太郎はんのことが…」


なおも言いよどむ彼女を、私は心の中で応援する。


(……がんばれっ!)


「……ずっと前から…好きやったんよ」


彼女の告白に、彼は一瞬驚いた顔をし、目線を逸らしながら、「敵んな……」と、呟くと、花里ちゃんのほうを見ながら、「……あんさんから先に言われてしもうた」と、言った。


その嬉しい一言に、私達は顔を見合わせて喜ぶと、彼女は大事に抱えていたお菓子を彼に手渡した。


「これは?」
「昨晩、一生懸命作りました。気に入って貰えたら嬉しいんやけど…」


言いながら、彼女は風呂敷包みを解き、金華糖の入った箱を彼の前に差し出した。彼は、蓋を開けると、「これは、わての大好物なんどす」と、笑顔で言った。


私達は、彼が甘党だと言うことは耳にしたことがあったが、金華糖が大好物だったということは知らなかったので、彼の喜ぶ顔を見て私も心から嬉しく思った。


「初めてあんさんをお座敷で目にしてから……ずっと思いを寄せていました」
「……ほんまに?」
「ああ、うちんとこの店に顔を出すようになってから、いつこの思いを告げようか…そう、思っていたところやった」


二人は、お互いに今までの気持ちを伝え合うと、にこにこしながら一緒にお菓子を食べ始めた。


(……良かった。花里ちゃんの思いが彼に届いて)


本当に嬉しそうな彼女の笑顔を見ながら、私も心から二人を祝福した。


その後、彼はお菓子のお礼がしたいと、彼女の為に着物を新調する事にし、二人で反物を選び始めた。その仲睦まじい姿に、私は思わずあの人のことを思い浮かべる。


(……私がお菓子を渡したら、あの人はどんな顔をするかな?)


私がそんなふうに思っていると、彼女は私にそっと近づき、耳元ですまなさそうに呟いた。


「春香はん、ごめんな…時間とらせてもうて…」
「気にしないで、私は別に今日でなくてもいいんだから」


そう言うと、彼女は苦笑いをしながらまた彼の傍へ行くと、鏡の前でいろいろな布地を選び始めた。


そして、全てが終わった頃には、もうお座敷へ出る準備をしなければいけない頃合になっていたので、私達は、名残惜しげに呉服屋さんを後にすると、急いで置屋へと戻ったのだった。



置屋へ戻ると、私はいつものように自分の部屋で仕度をし始める。


(……あの人が会いに来てくれるまで待つしか無いかな…)


少しガックリと肩を落としていると、襖の向こうから花里ちゃんの声がした。


「春香はん、入ってもええか?」
「どうぞ!」


私が元気良く答えると、彼女はまた申し訳なさそうに部屋へ入ってきて、今日中に渡しに行けなくてごめんな…と、言った。


「本当に気にしないで…どのみち、今日中に渡せるとは思っていなかったし」
「ほんまに?」
「うん、もしかしたら…すぐには渡せないかもしれないから…」


私は笑顔でそう言うと、彼女と一緒に揚屋へと向かった。



そして、揚屋に辿りつき、玄関から上がろうとしたその時、秋斉さんがやってきて私に声をかけてきた。


「春香はん」
「はい、何でしょうか?」
「今夜は、色男達が会いに来てはります」
「へっ?」


私は意味が分からなくて、秋斉さんの顔を見ながら眉を顰めると、彼は苦笑しながら、「待ちきれんかったんやろうか」と、言った。


「とにかく、さっきから待ってるさかい、早う行きなはれ」
「は、はい…」


(……色男…たちって?)


私は考えながら、花里ちゃんとは別のお座敷へ向った。


そして、そこで私を待っていてくれたのは……。



<つづく>



この続きは、#3にて(≧∀≦)ノ


こっから先が本番です!(笑)

只今、書いている途中なので、また明日にでもUPしたいと思います!

いったい、誰がお菓子を貰えるのか…。


誰がお菓子を貰うのか??

次回は、主人公をかけた熱い?バトルを一発繰り広げようかと思うとります(笑)

「こんなふうに取り合いされたい!」みたいな…(⊃∀`* )


息子の体調もよくなりました!暖かいコメントに感謝です♪


今回も、読んで下さってありがとうでした!



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