<艶が~る、妄想小説>


私なりのバレンタイン話を考えましたクマでも、ボーイズトーク中心ににひひ

今回は、尊皇攘夷の志士(龍馬、高杉、枡屋、翔太)チーム編です暑い

そして、出来れば同時に、幕府、新撰組(慶喜、秋斉、土方、沖田)チーム編も書きたいと思っていますウフフ

あ、秋斉さんはどちらにも出てくるんですけど、一応、慶喜さんと同じチームってことでにこっ でも、どうなることやら涙

まずは、尊皇攘夷の志士チームの序章ってことで、書いてみましたあせる

尊皇攘夷の志士チームは、翔太くんの一人称で進めていきます(`・ω・´)

ヒロインの名前は、勝手ながら「春香」と名づけさせていただいてます涙

良かったら、読んでくださいませハート



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*ばれんていん* #1   +龍馬&翔太+



一月も半ばにさしかかった頃。


俺と龍馬さんは薩長同盟の件などで、相変わらずの忙しい日々を過ごしていた。どうやら、薩長両藩の話し合いは難航しているらしく、下関にいた俺達は今、京の小松帯刀さんの屋敷に来ていた。


「しかし…うまくいかんのう」


龍馬さんが溜息まじりに呟いた。

俺も少しだけど薩長同盟のことは知っている。


京を中心として絶大な影響力を持っていた薩摩藩と長州藩は、圧倒的な政治力や経済力を有していたけれど……薩摩藩が、公武合体の立場から幕府の開国路線を支持しつつ幕政改革を求めたのに対し、長州藩は急進的な破約攘夷論を奉じて反幕的姿勢を強めるなど、両者は容易に相いれない立場にあったのだ。

だから、龍馬さんは何とかして薩摩藩と長州藩とのいがみ合いを止めさせる為に必死になっていた。


「桂と西郷をどうやって説き伏せたらええものか…」
「……そうですね」


俺はそう答えると、龍馬さんは眉を顰(ひそ)めながらあれこれと考えている。


(……歴史的瞬間に居合わせることになった俺って……)


龍馬さんが真剣な顔で思案している中、俺は西郷さんと桂さんが来るのを心待ちにしていた。


それから、歴史上の偉人二人と、龍馬さんの話し合いは延々と続いた。特に、長州藩である桂さんはなかなか首を縦には振らず、龍馬さんは額に汗をかきながら必死に説得していた。


その結果、なんとか…その日のうちに、薩長同盟を盟約することができたのだった。



俺は桂さんと西郷さんを見送ると、龍馬さんにお茶を用意した。


「お疲れ様です、龍馬さん」
「……おう、すまんのう翔太。ありがとう」


龍馬さんは疲れきった表情でお茶を一口すすると、はぁーっと、また溜息をついた。


「なんとか、分かってもらえたようじゃ…。まだお互いの心境は複雑じゃろうがの」


その言葉通り、両藩共不信感だけは持ち続けているようだった。でも、薩長同盟が成立したことは龍馬さんにとって、とても大きな役得となり、俺達はまた一歩前進することが出来たのだった。


「のう、翔太」
「はい?」
「近いうちに、春香に会いにいかんか?」


龍馬さんは微笑みながら俺に尋ねてきた。


「そうですね、しばらく会っていませんでしたからね」
「決まりじゃ!今ある仕事を早う片付けて、会いに行くぜよ」


龍馬さんはいつもの笑顔に戻ると、書状を書きはじめる。俺も、龍馬さんの身の回りの整理や、他の件での取り次ぎなどに精を出した。


それから二日後。


ある程度の仕事が片付くと、俺達は島原へと足を運んだ。そして、いつものようにお座敷へ案内され、あいつの来るのを待っていた。


「こんなにゆったりするのは久しぶりですね」
「そうじゃな……ここ最近はずっと何かに追われていたからのう」


俺がお酌をすると、龍馬さんはグイッと飲み干した。


「かぁ~……喉に沁みるぜよ」
「いい飲みっぷりですね」
「こんなに美味い酒は久しぶりじゃからのう」


満面の笑顔の龍馬さんを見ていたその時、「お邪魔いたします」という声と共に、あいつが静々と部屋へ入ってきた。数ヶ月ぶりに会った彼女は、また女っぽくなったような気がした。


「翔太くん、龍馬さん!お久しぶりです」
「元気じゃったか?春香」
「はい、龍馬さんも、翔太くんも、元気で良かった」


彼女は、銚子を持ち龍馬さんにお酌をすると、俺の方にやってきて同じようにお酌をしようとした。


「翔太くんも、一杯どうぞ」
「いや、俺は……」


言いよどんでいると、龍馬さんがにこにこしながら言った。


「今夜は、ゆっくりしていけるき、翔太も飲むぜよ」
「……じゃ、少しだけ」


俺がそう言うと、彼女はゆっくりと酒を注いでくれた。そして、お猪口に口をつけると、一気に飲み干す。久しぶりの酒に俺は思わず喉を鳴らした。


「くぁーっ…」


俺が声を漏らすと、龍馬さんと春香はくすくすと笑った。


「いい飲みっぷりじゃ!春香、もっと注いでやって」


龍馬さんの楽しげな声に、俺は首を振った。

成人してから酒を嗜むようになったが、すぐに酔っ払ってしまうため、自粛するようにしているのだ。


「いや、もう十分」


俺は、お猪口に手で蓋をすると、彼女はまた笑いながら銚子をお盆の上に戻した。龍馬さんは少しつまらなさそうな顔をしていたけれど、俺は酒の代わりに食事に手をつける。


「翔太が酔っ払うと、面白いんじゃがのう」
「え、そうなんですか?」


龍馬さんの言葉に少し驚いた顔をする彼女を見て、俺は赤面した。


「ちょ、龍馬さん…」
「この間、江戸に行った時のことじゃが、初めて翔太が飲みすぎてのう、わしらに「乾杯しろー!」言うて、迫ってきたちや」
「ぬぅああ!龍馬さん、もういいですって!」


声を上げて笑う彼女の手前、俺が慌てて言うと、龍馬さんは尚も面白がって話し出す。


「その後、コクッと寝てしもうたかと思いきや、またスッと起きていきなり……」
「あああああ!その先はもうっ!」


俺はすぐに龍馬さんの口を手で塞ぎ、くすくすと笑い続ける彼女を見やった。


「翔太くん、何をやらかしたんですか?」
「いや、何でもない!」


龍馬さんは俺の手を取ると、「この先は、春香と二人だけになったら話してやるちや」と、言い、ニヤッと笑って酒を飲み干した。


「ふぅ……勘弁してくださいよ。龍馬さん」


隣で楽しそうに笑う二人を見て、俺は内心嬉しかった。ここ最近、ずっと忙しく動き回っていた龍馬さんや、遊女として頑張っている彼女の笑顔を見られたから…。


「翔太くん」


声を出して笑っていた彼女が、俺に近づきながら、「ちょっと待ってて…」と言うと、お座敷を後にした。


「ん?なんじゃ?」
「……さぁ…」


それからしばらくして、彼女は何かを持ってやってきた。お盆の上には、お餅のようなお菓子が乗っている。


「花里ちゃんと一緒に作ったの」


そう言って、お菓子を俺達の前に差し出した。


「おお~美味そうじゃのう」
「これは?」


俺が尋ねると、彼女は「もうすぐバレンタインでしょ?」と、笑顔で言った。


「ばれん…てい…ん?」
「あ、あの、私と翔太くんの故郷では、2月14日にバレンタインという楽しい行事があるんです…」


首をかしげる龍馬さんの横で、あたふたしながら彼女が言った。まだ眉を顰(ひそ)めながら考え込んでいる龍馬さんに、俺はバレンタインのことについて説明した。


「……と、いうことで、2月14日はバレンタインデーと言って、女の子が好きな人にお菓子などを作ったりして思いを伝える日なんですよ」
「そんな素敵な風習があるがか?そりゃ、ええのう」


龍馬さんは顔を輝かせながら言った。


(そうか…もうすぐバレンタインだったか…)


こちらの時代に来てから、自分の誕生日さえ忘れてしまうくらい忙しい日々を過ごしていたからなのか、バレンタインというもの自体をすっかり忘れていたのだった。


俺の説明を微笑みながら聞いていた彼女が、「二人にも喜んで貰えて良かった」と、言った。俺はある言葉が気になって心の中で反復する。


(……二人にも?)


俺が考え込んでいると、龍馬さんが先に口を開いた。


「わしら以外にも、春香の作ったお菓子を食べたやつがいるがか?」
「え?あ…はい…」


龍馬さんの問いかけに、彼女は、「秋斉さんとか、慶喜さんとか、高杉さん、枡屋さん、新撰組の皆さんも食べたいって言うから…」と、答えた。


「わしらより先に藍屋さんたちが…春香の作ったお菓子を食べよったがか…」
「りょ、龍馬さん……別に順番は関係ないですから…」


俺は、眉間に皺を寄せながら不貞腐れる龍馬さんを横目に苦笑した。


「あ、あの……でもね、これはまだ試作品なの」


頬を赤く染めながら、彼女は事の経緯(いきさつ)を話してくれた。

先日、新造仲間の女の子達にバレンタインの話をしたら、ものすごく盛り上がったらしく、その為のお菓子を作ることになったらしい。


「そ、そうだったんだ…」


(……ってことは、バレンタイン当日は誰かにプレゼントするってことなのか?)


「だから…暇さえあればいろんなお菓子を作って、練習してるんだ」


にこにこしながら言う彼女に、俺は笑顔を引きつらせる。それって、やっぱり…本命にあげたいからなんだろうな…なんて思いながら……。


「まだ下手だけど……良かったら…」
「春香が作ったお菓子、いただくぜよ」


龍馬さんはにこにこしながら手に取ると、口に頬張った。俺も、同じように口に頬張ると、彼女はそんな俺達を交互に見ながら、「どうですか?」と、尋ねてきた。


「美味いぜよ、春香」
「本当ですか?」
「おう、下手だなんてとんでもないちや」


龍馬さんが満面の笑顔で言うのを聞いて、彼女はホッと胸を撫で下ろした。


「……よかった…」
「俺も好きだな…こういうの」
「本当に?」
「ああ、さっぱりしていて…でも、ほんのり甘くて」


俺も、感想を伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。それから、彼女の言葉が気になりつつも、俺達は今までのことを報告しあったり、他愛もない話で盛り上がったり、彼女の舞を観たりして楽しい一夜を過ごしたのだった。



そして、帰り道。


大門を潜り抜けると、龍馬さんが俺に話しかけてきた。


「しかし、ばれんていんとは…素敵な行事じゃ」
「そ、そうですか?」
「春香も誰かに思いを告げるつもりなのかのう?」
「さぁ……」


それは、龍馬さん以上に気になっている。

あいつはさっき、藍屋さんや一橋さん、高杉さんや枡屋さん、そして、新撰組のやつらにも食べてもらったと言っていた。そして、龍馬さんも含めて、この中に好きな人がいるってことなのか?


「翔太…」
「はい?」
「ばれんていんのお菓子を食べられるのは、わしかおまんの、どちらかかもしれんぜよ」


ニカッと笑う龍馬さんを見て、俺は苦笑しながら言い返す。


「龍馬さん……ばれんていんじゃなくて、バレンタインですって…」
「ほうじゃったか?」


声を出して笑う龍馬さんに少し呆れながら、俺は夜空を見上げる。すると、その瞬間、星が流れた。


「あっ!龍馬さん、流れ星がっ」
「どこじゃ?」


流れ星は一瞬にして消えてしまったため、龍馬さんは見逃してしまったみたいだった。


「翔太だけずるいぜよ……」
「……き、きっとまた見られますよ」


屋敷までの道のり、俺達は上を向いて歩いた。


流れ星を見ることが出来て、喜んでいたのもつかの間。


この時の俺はまだ知らなかった。

これからあいつをかけた、熱いバトルが待ち受けている事を…。



<つづく>



読んで下さってありがとうございました!

( *´艸`)


今後、どうなるのか…。

尊皇攘夷の志士チームでは今後…

慶喜さん、秋斉さん、枡屋さん、高杉さんも加わって、一波乱起こすつもりです(汗)