「年老いてからは、自分の心の楽しみのほかには、万端、心に差しはさんではいけない。時にしたがって、みずから楽しむべきである。自分で楽しむというのは、世俗の楽しみではない。ただ、心に本来ある楽しみを楽しんで、胸中に何一つわずらいがなく、天地、四季、山川のよい景色、草木の繁栄をよろこび、楽しむがよい。」
「老いて日々を楽しむ」 では、楽しむための心構えを説かれていました。それに対して、「楽しく生きることは、楽して生きること」 なんてことを書きましたが、ここでは何を楽しみとするか?が述べられていますね。「心の楽しみを知る」 には、もうちょっと詳しく書かれています。
「世俗の楽しみには非ず」とおっしゃっていますが、これはどんなことを指していたんでしょう。お酒を飲むとか、ギャンブルとかですかね?「心にもとよりある楽しみ」を、天地・四季・山川・草木に結びつけていらっしゃいますから、自然と一体となって、自然を愛でる。言ってみれば、心を開放することかな。
『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』