『養生訓』 生姜を片で数える理由(巻七42) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「生姜を片とするのは、生姜根には肢が多いからである。そのうちの一肢を縦に長く割って、大小に従って、三片あるいは四片にする。縦に割るのがよい。生姜は、医書にその重さを幾分と言わずに、幾片というのはなぜか、という問いがある。その答えは、次のとおりである。新たにほり出したものは、生で重く、ほり出してから日のたったものは、乾いて軽いので、その重さを幾分と定めにくい。それゆえに、幾分といわないで幾片というのである。」


『養生訓』では生姜がたびたび登場しています。このところ続いている第七巻の「用薬」シリーズでも、「生姜の量」「中国の医学書にある薬量」 で、確かに片で数えられていました。生でも乾いてからでも、たとえ重さは皮っても、1片は1片ということなんですね。現代では、生なら〇g、乾燥したものなら〇gと表記しますけど。


生姜の使い方については、↓以下のようなものがありました。

・ 「煎じ薬に加える四味」 のひとつ

・ 「補薬について」  … 棗の代わりに増やす

・ 「冬の遠出」  … 冬の寒さを防ぐ

・ 「食後の急死と過食」  … 食べ過ぎによる気滞を解消する

・ 「脾胃の弱い人の魚の食べ方」  … 大きな魚を食べるときに使う

・ 「茶の効用」  … 新茶の毒に当たったときに使う

・ 「調味料のこと」  … 食物の毒を制する調味料のひとつ


さて、ここで思い出したことがあります。「はじかみ」 を8~9月に食べると、翌春に眼病になるという話。去年の夏に、私、はじかみを食べましたけど、眼病にはなってません。迷信?いいえ、益軒先生のいう8~9月は、旧暦のことですよね。つまり、現代で言えば、9~10月。というわけで、旬の時季に食べれば、問題はないってことでしょう。


でも、生姜の性味は辛温。いくら旬のもので、美味しいからといって食べ過ぎると、体内に熱がこもる。冬の間はいいけれど、春になって、自然の陽気が強くなってきたときに、その熱が顔面に上昇すると、目に症状が出る。そんなふうに解釈することができます。ふだんから血圧が高めの方、体質的に熱をためやすいタイプの方は、気をつけたほうがいいですね。ただ、そういう方は、生姜をあまり好まないかもしれませんけど。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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