おはようございます。
先週お届けした「はり治療の事故?」 、16日に続報が入りましたので、記事文を引用します。
「大阪府池田市の鍼灸(しんきゅう)院で昨年12月、肩こりのため、はり治療を受けた女性(当時54)が死亡した問題で、治療したのははり治療の専門学校に通う20代の男子学生だったことが府警への取材でわかった。学生は柔道整復師の免許を持っていたが、はり師免許は未取得だったという。
捜査1課によると、院長は「学生が無免許だと知っていたが、はり治療をしているとは知らなかった」と話している。同課は業務上過失致死と、無免許での治療を禁じたあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反の疑いがあるとみて、2人から事情を聴いている。
同課によると、女性は12月15日に治療を受けて体調が悪化し、16日に死亡した。死因は低酸素脳症。女性の肺に複数の傷があり、同課は背中に刺したはりが肺まで届いたとみている。女性は約半年前から複数回、この学生からはり治療を受けたという。」(「無免許の学生がはり治療 肺に傷つき死亡の女性 大阪」 )
柔道整復師の資格は持っているけれども、鍼灸師(はり師・きゅう師)のほうは、まだ鍼灸学校の生徒であって、資格は持っていなかったとのこと。柔道整復師というのは、接骨院(整骨院)を開業できる資格です。
柔道整復師も鍼灸師も国家資格ですから、それぞれ『柔道整復師法』 (公布:昭和45年4月14日法律第19号)と『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』 (昭和22年法律第217号公布の『あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法』から昭和45年法律第19号で改題)による規定があります。
これらの法律には『医師法』 や『薬剤師法』 、『保健師助産師看護師法』 などと同様に、その資格を持つための条件が細かく定められています。こうした法律は、有資格者を守るものでもありますが、患者さんに安全な医療を提供するためのものなんですね。これを忘れてはいけません。
それなのに、今回の事故では、その法律が守られなかった。事故を起こしてしまった青年は、鍼灸師の資格を取れなくなり、柔道整復師の資格も失うことになります。刑事事件ですから。おそらく院長も監督責任をとわれることでしょうね。
鍼灸接骨院には、資格を取るために学校に通いながら働く人たちがいます。臨床の現場を体感することは、学生にとっては貴重な経験ですから、それは決して悪いことではない。でも、治療院で鍼を持っちゃいけない。あくまでも、資格のある院長や鍼灸師・柔道整復師の補助に徹しなくては。
ただし、学生が鍼を持つことがあります。それは、鍼灸学校での臨床実習です。これは厚生労働省からの指導によって学校に課せられているもの。学校付属の治療院で経験豊富な教員の指導・監視のもとに行われ、患者さんには臨床実習であることの同意書にサインをいただくようになっています。
患者さんの立場から考えれば、資格をちゃんと持っていても、新米の治療は怖いですよね。ましてや学生の臨床実習では、なおさらですよね。でも、誰だって実践を積まなければ、うまくはならない。どんな名医だって、新米のときはあったんですから。
新米が敬遠されることは多い。新米だからこそ経験が必要。でも、敬遠されやすいから、経験を積みにくい。どの世界でも同じでしょうけれど、医療系ではとくにこのジレンマが大きいと感じます。
なので、臨床実習にご協力くださる方々、新米の患者になってくださる方々には感謝してもしきれませんね。まだへたくそであることを承知の上で、身を横たえてくださるんですもの。だから、学生も新米も、安全のうえに安全を重ねていかなければなりません。きちんとリスク管理して、事故を防がなければなりません。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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