『養生訓』 気から百病生ず(巻二47) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「『素問』に、「怒れば気が上がる。喜べば気が緩む。悲しめば気が消える。恐れれば気がめぐらない。寒ければ気が閉じる。暑ければ気がもれる。驚けば気が乱れる。労すれば気が減る。思い悩めば気が結ばれる。」と言われている。

 すべての病気はみな気から生じる。病気とは文字通り「気が病む」ことである。ゆえに、養生の道は気を調えることにある。調えるということは、気を和らげて平らかにすることである。

 ともかく気を養う道は、気を減らさないことと、気をふさがないことにある。気を和らげて平らかにすれば、この二つの憂いはなくなる。」


『素問(そもん)』というのは2000年前の中国の医学書です。皇帝である黄帝と医師との間の問答の形で表現されていて、『霊枢(れいすう)』と合わせて『黄帝内経(こうていだいけい)』と呼ばれます。東洋医学の基礎が詰まっています。


「東洋医学講座 No.6 「五行論」 その3」 の人体における五行分類表とも相応して、

・ 怒る → 気上る → 肝を傷つける

・ 喜ぶ → 気緩む → 心を傷つける

・ 思う → 気結ぶ → 脾を傷つける

・ 悲しむ → 気消ゆ → 肺を傷つける

・ 恐れる → 気めぐらず → 腎を傷つける

となります。


それに加えて、

・ 驚く → 気乱れる → 腎を傷つける

・ 寒い → 冷える → 気閉じる

・ 暑い → 発汗 → 気泄れる

・ 労する → 疲労 → 気減る


ただ、いずれも「行き過ぎた場合には」あるいは「からだが弱っているときには」という条件がつきます。なので、そうならないように気を和らげようということですね。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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