アービタックス療法5クール目の2日目。体調はぼちぼち。元気はないです。昨日のステロイドでごまかしている感じ。

胃痛は今日はそれほど感じません。腰痛も昨日よりはマシ。食欲はないけど食べれば普通に食べられます。味覚障害も少し良くなってます。嚥下時の食道の痛みも、だんだん良くなって来た気がします。

手足の肉芽やあかぎれは少しだけ悪化。看護師さんによれば、乾燥させた方が良いそう。痛いからと言って、ビシッとテープを貼っちゃダメよと言われました。

最近は化学療法中に、看護師さんが手足のケアをしながら、テーピングなどのアドバイスをしてくれます。とてもありがたいです。

さて、表題の件。日経メディカルOnlineからASCO GI 2017で報告されたことの先生方の座談会記事。

BRAF変異陽性の治療、HER2をターゲットとした治療、ラムシルマブ、アフリベルセプト、パニツムマブvsセツキシマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブに関する話題が上がっていました。現在の最新の治療動向に関する、とてもよいまとめ記事になっていると思います。

◆ASCO GI 2017・大腸癌
Precision Medicineに向けBRAF、HER2を標的とする治療の開発が大腸癌で進行
(2017年3月21日、日経メディカルOnline)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/201703/550610.html

以下にメモします。

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<BRAF変異陽性大腸癌の治療>

イリノテカン+抗EGFR抗体±BRAF阻害薬(SWOG1406試験)では、良好な結果が出ているようです。BRAF変異陽性の場合、ほとんどの治療が効きません。

今年からBRAFとMSIの検査が保険収載されるようですが、一次治療の成果が出ない場合は、4月から始まるSCRUM-Japanに参加されることをお勧めします。

(ご参考)
◆【朗報】BRAF、MSI、両検査承認へ!! 
(2016年7月17日のエントリー)
http://ameblo.jp/harumochi555/entry-12181513951.html

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<HER2をターゲットとした治療>

MyPathway試験(HER2の高発現または活性型遺伝子変異を認めた患者に対する、トラスツズマブ+ペルツズマブ療法)について。こちらも良好な結果が出ています。ただし、KRAS野生型限定、かつ、HER2の高発現が条件です。

HER2については、抗EGFR抗体投与後に増幅する可能性があるそうです。記事でも触れていましたが、検査がリキッドバイオプシーで行われるようになるといいんですけどね。生検はやはり少し怖いです。

2017年7月から、HER2陽性かつRAS遺伝子野生型の大腸癌を対象に、TRIUMPH試験が始まるとのこと。レジメンはMyPathway試験と同じトラスツズマブ+ペルツズマブだそうです。

(ご参考)
◆HER2をターゲットとした大腸がんの化学療法
(2017年2月20日のエントリー)
http://ameblo.jp/harumochi555/entry-12249683770.html

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<ラムシルマブ>

RAISE試験の解析によると、ラムシルマブの効果は原発巣の左右差がなかったとのこと。逆に言えば、左右双方に有効ということ。記事によればバイオマーカーの解析が進んでいるそう。いまひとつはっきりしないアバスチンとの使い分けが明らかになってくるかも知れませんね。

(ご参考)
◆大腸がん「左右の差」 
(2016年9月2日のエントリー)
http://ameblo.jp/harumochi555/entry-12196091730.html

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<アフリベルセプト>

アフリベルセプトは、VELOUR試験(海外、第III相試験)でしっかりとした結果が出ていて、欧米ではすでに承認されているとのこと。ただし、Grade3以上の好中球減少は61.3%、高血圧は27.4%、下痢は19.4%となり、他の血管新生阻害薬より毒性が高いようです。

日本でもまもなく承認が見込まれているそう。ラムシルマブでさえベバシズマブとの使い分けの決着がでていないイメージですが、ま、患者としては選択肢が増えるのは大歓迎です。こちらもバイオマーカーの解析が進むことを期待します。

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<パニツムマブvsセツキシマブ>

WJOG6510G試験の結果。3次治療における比較です。

●PFS中央値:イリノテカン+セツキシマブ群(セツキシマブ群)の4.27カ月に対し、イリノテカン+パニツムマブ群(パニツムマブ群)は5.42カ月
●OS中央値:それぞれ11.53カ月、14.85カ月
●奏効率:両群で差はなし
●Grade3以上の皮膚毒性:セツキシマブ群5.2%、パニツムマブ群13.3%
●低マグネシウム血症:それぞれ6.9%と16.7%でした。

パニツムマブはセツキシマブに対して「よく効く」のですが、皮膚障害などが酷いんですよね。選択は悩ましいところです。僕は先生の勧めるがままにセツキシマブを選択しましたが、これより酷い皮膚障害は嫌なので、結果的にはよかったかも知れません。ま、神のみぞ知る。

記事によると海外の第III相試験、ASPECCT試験では、全体の解析では2剤で同様の結果だったそう。ただし、サブグループ解析では、前治療歴にベバシズマブがある集団で、パニツムマブの結果が若干良好だったそう。

以前のエントリーでも書きましたが、抗EGFR抗体薬の投与前にベバシズマブを半年休め・・という話もあるくらいで、ベバシズマブ後の抗EGFR抗体薬は、しっかりした検討が必要なようです。でも、6カ月空けるって、ほとんどの場合、現実的ではないですよね。多分。

◆ベバシズマブ投与後は、6カ月空けて抗EGFR抗体薬を。
(2014年7月21日のエントリー)
http://ameblo.jp/harumochi555/entry-11897681292.html

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<ニボルマブ、ペンブロリズマブ>

ニボルマブの有効性、安全性を検討したChechMate142試験のアップデート解析の話題。「PD-L1の発現、BRAF遺伝子変異、リンチ症候群の有無に関わらず、MSI-highの大腸癌に対してニボルマブは有効だと考えられる」そうです。PFS中央値は9.6カ月、OSは中央値に未到達。素晴らしいですね。

実臨床におけるペムブロリズマブのデータの報告も記載されていました。PFS中央値は19カ月、12カ月時の無増悪生存率は64%、OS中央値には未到達という、こちらも素晴らしい結果です。BRAF遺伝子変異例でも有効性が示されたというのは朗報ですね。

ちなみに、記事の最後にあったのですが、下記、ちょっと興味深いです。

昨年11月24日のMerckのプレスリリースに「FDAがペムブロリズマブをMSI-highの腫瘍に対し優先審査対象に指定した」とあったそうです。実現すれば、臓器横断的に承認される初めてのケースになるとのこと。今後、薬剤のターゲットが「遺伝子変異」になると、こうしたケースが増えていくんでしょうね。


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