マンション管理士事務所の導入(4)- 成功報酬型契約の失敗例 | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。


その3の続きです。
 
 管理士導入編  その1からその3はこちら:
 その1 http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11208700949.html
 その2 http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11211753510.html
 その3 http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11212473864.html

 
 
 知り合いの理事長・理事経験者にいろいろ聞いてみても、
成功報酬型の契約だけは絶対にやめておけという人がとても多い。
 
 実際に成功報酬でやって失敗した、関東の湾岸大規模タワーマンションでは:
 
(1)成功報酬型の、その筋では有名なコンサル会社が、数千万の削減を見積もって仕事を受注
(2)とくに住民から管理ぶりには、不満のでていなかった管理会社を強引にきって激安が売りの
     独立系に変更
(3)仕様が過剰ですなどの見積もりから、清掃業務の時間などまで大幅に削減
(4)成功報酬をしっかり1000万円単位で確保
(5)管理会社をいざ変えてみると、管理レベルが大幅に低下した。
   清掃時間などをケチりすぎで、解放廊下のお掃除もおいついていかない。
   一方で、むやみやたら高額の工事を薦められるようになった。
   (独立系は、管理の激安受注を、工事発注のノルマで取り返そうという傾向が強いですから)
(6)委託業務範囲で、いろいろもめる
   -- 激安でうけた管理会社が、受託して1年にしてもう完全に赤字ですから契約更新はお断りと。
        こちらからも管理会社との契約は1年更新である分、向こうも自社理由で契約更新は
       自由に断れます。
(7)もろもろの委託契約書に書いてない業務はやりませんといわれる。
    -- 高所作業(管球取り換え)は”管理人はしない”と契約書に明記されてることが多いですし、
       ゴミ置き場などのマナーの悪いゴミの整理に、管理組合や自治会の広報物の投函サービスや、
      月に1回を超えたり夜遅くにかかる理事会への臨席サービスも、明示的に契約書でやることが
   決まっていなければ拒否可能です。
(8)これじゃ、安いったって元より悪くなったじゃないかとコンサルに文句をいうと、いやそんなことは
   ないとかで すったもんだ、コンサルにもさくっと料金を取り逃げされる
   -- 再度見直すなら別料金とか言われて目が点になったらしい
(9)結果、数千万をとられただけで、現状には住民の非難ごうごう。 理事長が退任になって
   (まぁ一身上の都合とか、病気のためとか外見上はとりつくろいようはあります)、
   新しくコンサルタントと契約して、新しい管理会社探しに乗り出すことになった。
 
 .... 実際にあった失敗で(愚痴を1時間以上きかされた)、何千万ととられた上に完全にもとより悪くなっている例。
まぁ確かにひどい目にあってますがどうみても
”完全成功報酬型の契約をした管理組合が一番悪い”
ように私には思えます
  
 削減できれば一定割合を払い、できなければ1円も払わなくていいという管理費みなおしのためのコンサルタントとの契約は、”一見”管理組合にとってすごく魅力的に感じます。 
 
● 管理組合が全くリスクを負わないで収支改善に乗り出せる気がする
● 削減できた後で費用のメインパートを払う”後払い”契約にできる場合も多くて、
  手元資金を全くもたない管理組合でも、まずスタートできる
● 総会対策などでも、”もし削減できなければ1円もいりません”と議案書に
  書けますから、導入のためのコストに見合う具体的な効果があるのかという
 でてきがちな質問を防ぎやすい

などの大きなメリットがあるように見えるから、理事会側としては、あんまりよく
考えないで、その誘惑にはまりやすい。
 
 管理費の削減は、サービスレベルをキープするか、むしろ向上させながら、費用はカットしていくのでなければ意味がありません。『管理はサービス業』ですから例えばホテルなんかと同じで、至れりつくせりの一流ホテルと、泊まれればOKという日雇いの労働者の泊まるホテルを、1泊の宿泊コストだけで比較しても全く意味がない。
 実際に、管理に見直しをしていくと、ほかを大きく削ってでも、ある1点にはむしろかえって人手をかけないといけない部分が見えてくることも多く、例えばいろいろな理由から、うちのマンションでは、1人管理人を増員しています。
 
 成功報酬型のコンサルは、『管理組合のため』ではなくて、自分のコミッションにつながる『削減額の数字』に向かって仕事をしがちです。前回にも書きましたけど、もともとの管理がぼったくり水準であちこち切り代が大きいのであれば、削減は容易なんですから、より簡単な仕事に対して沢山報酬を要求するのはおかしい。
 本当は、管理の質と料金を見ながら、そのコストパフォーマンスを最上にするようにやっていってくれないと困るわけです。
 
 管理コストに関する本でも買ってきて研究すれば、素人レベルでも適正な管理費水準はある程度わかりますし、管理見直しを手掛けている会社なら、沢山の事例をもっているわけですから、削減可能額を算定できる部分が難しいわけではない。ぶっちゃけ素人でも可能な仕事で、実際に、簡易見積もりでは、もろもろの条件を打ち込んでいくと、はいいくらとパソコンが数字を教えてくれるようなものです。
 
 一方で大きな削減率を実現しようとする管理費見直しは、たいてい管理会社の変更の可能性も含めた検討を行っていくものですが、もしも管理会社を変える場合には、もっとも大事なのは、
● きっちりと現行実施されているサービスレベルやそこからの向上点を委託契約の
 中身に書き込んで、契約内に収めていく作業と
●管理会社が変わった後のケア

になります。 これは、実際に多数の事案を手掛けたプロでなければ難しい筈ですが、
削減額比例+後払いタイプは、たいてい後継の管理会社を選定して、削減額が決定した時点で逃げてしまいます。
 
コンサル料をかかった作業量に比例して請求してくる会社以外はやめたほうが吉なんじゃないかなぁと思うわけです。

次回その5では、うちのマンションの場合に戻りますね。

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