武士道エイティーン

誉田哲也 文藝春秋 2009年7月

武士道エイティーン/誉田 哲也
¥1,550
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高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。

武士道シックスティーン  武士道セブンティーン の続編。

東松高校の磯山香織と福岡南の甲本早苗が、全国大会でいよいよ対決の日を迎える・・・・

<思ったまま、好きなように、取られても言い方感じたまま打ち込みたい>
二人の試合は勝ち負けよりも、楽しんで試合をしているのが感じられてとてもいい試合だった。二人とも成長していた。やっと戦えたのだとしみじみと思った。



これらの間に挿入されてる人物にまつわるエピソードが興味深い。

早苗の
姉西荻緑子は、自由気ままな印象であったが、仕事や恋人岡巧のことで、こんなに悩んでいたとは!
留守番メッセージを何度も聞く緑子はとてもいじらしい。

桐谷道場には、歴史的背景がある。兄隆明が、すべてを引き受けていたとは!

とても恐ろしいことだが、
隆明の行いには感服する

いつも酒臭い福岡南の吉野先生。決戦の話は本当だったとは!
吉野先生にも青春があり、壮絶な物語があった。この話を聞いて、店に酒を飲みに行く理由がわかった。

香織先輩にぴったりくっついていた田原美緒なのに、最近よそよそしい。平正眼にかまえるようになった田原は、こんなふうに悩んでいたとは!
香織先輩のことがすきなのに、一人で悩んでいたのは苦しかっただろうな。

香織と早苗、二人の話がメインだが、周りの人たちのことも掘り下げて書かれているので、いろいろな見方が変わった。「剣道」とは、「武士道」とは何かを教えてくれる。そして、剣道をこよなく愛す人たちがさわやかで、まぶしかった。
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