カマル・アリ・デルビッシュの石 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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カマル石1


とっぴ「やほほお!」
ひろじ「お、久しぶりだね」
あかね「また、とっぴがあっちへ行っちゃったの」
ひろじ「あっち?」
むんく「カマル・アリ・デルビッシュの石・・・」
ひろじ「ああ、インドの回教寺院にある、不思議な石の話?」
とっぴ「ぴんぽーん!」
あかね「なんかさあ、とっぴって、科学探究隊なんだか、不思議探究隊なんだかわかんない。興味の対象が広すぎるもん」
とっぴ「いや、ぼくは科学だと思ってるんだけど」
ろだん「実験すればいいさ。科学じゃないものは、すぐにわかる」
ひろじ「なんだか、今日はきな臭いね」
あかね「うーん・・・実験できそうでできないから、なんか、議論がかみ合わないの」
ひろじ「ちょっと待って。たしか、どこかにメモしたのがあったな・・・これだ・・・インドのシバプール村の回教寺院・・・スーフィ教の聖者カマル・アリ・デルビッシュゆかりの寺院に、55キログラムの花崗岩の丸石があって、寺院の芝生の上に置かれている・・・11人の参拝者がかがみ込んで、聖者の名を唱えて人差し指で石に触ると、石は2メートルの高さまで浮かび上がる」
とっぴ「そう! それだよ!」
あかね「だから、それが何? 宗教の話でしょ!」
とっぴ「重い石が、人差し指で持ち上がるんだよ。なんか、科学的な理由がありそうでしょ?」
あかね「だって、人数が11人より多くても少なくても石は浮かばず、聖者の名が唱えられないと浮かばないんでしょ。そのどこに、科学的な根拠があるの?」
とっぴ「あるかもしれないじゃん」
ひろじ「ええと・・・前にとっておいたメモによると・・・石の持ち上げ方を説明する案内人つきで、1日に6回の公開実験が、年中無休で行われている・・・ずいぶん昔のメモだから、今はどうなっているか知らないけどね」
とっぴ「ほら、ひろじさんも、興味持っているじゃん」
あかね「もう、すぐいい気になるんだから!」
ひろじ「(メモを見ながら)あ・・・41キログラムの石もあるんだ。こちらは9人用だって」
ろだん「うーん、なんか、お祈りするのがあやしいな。うそっぽいぜ」
あかね「石が浮かび上がるなんて、奇跡でしょ。奇跡って、1日に何回も起きるのかしら」
ひろじ「じゃあ、お祈りなしのを試してみようか」
とっぴ「え、なになに?」
ひろじ「とっぴくん、そこの椅子に座って」
とっぴ「こう?」
ひろじ「みんな、両手を組んで人差し指を出して」
ろだん「こうか?」
ひろじ「そうそう、とっぴくんの両側に二人ずつ並んで・・・」
あかね「一人足りないわ」
ひろじ「ぼくが入るから。両側の一人は脇の下に、もう一人は膝裏に人差し指をあてがう・・・・そう・・・」
ろだん「なんだか、おもしろいな」
ひろじ「かけ声に合わせて、人差し指に力を込めて、とっぴくんを持ち上げる!」
とっぴ「え? え?」
あかね「わあ、おもしろそう!」
ひろじ「じゃ、行くよ・・・3、2、1、ハイ!」

 

カマル石2


とっぴ「・・・!」
ろだん「持ち上がった!」
あかね「すごい!」
むんく「・・・」
ひろじ「じゃ、おろそう」
とっぴ「(どすん!)ふわっとした・・・」
あかね「どうなってるの。思ったより軽かったわ」
ろだん「待て待て・・・ちょっと計算してみよう・・・一人あたり・・・」
むんく「とっぴの体重がが60キログラム重なら、一人あたり15キログラム重」
あかね「猫か小型犬くらいの重さだな。そのくらいなら、持てるかな」
ひろじ「今度はかけ声無しで持ち上げてみよう」
とっぴ「え? かけ声無しでも、変わらないと思うけど・・・」
あかね「そうね。人数は同じだし・・・」
ろだん「おし、やってみようぜ」
むんく「ん・・・」
ろだん「うお」
あかね「うんっ」
とっぴ「みんな、なにやってるの? さっきは持ち上がったのに」
あかね「へんね」
ろだん「すげー、重いぞ」
むんく「ふうー」
ろだん「おい、むんく、休むなよ」
あかね「あ、そうか・・・とっぴ、力の受け方はどう?」
とっぴ「ええと、今は・・・あちこち、順番に力がかかってる。さっきは4か所全部いっぺんに力を受けたけど」
あかね「それよ。みんながばらばらに持ち上げると、手にかかる荷重がとっぴの体重の4分の1よりずいぶん大きくなるから、持ち上がらない。かけ声でみんなが一斉に力をかければ、1人あたり手にかかる荷重は体重の4分の1になる・・・」
ろだん「それだ! じゃ、カマル石の場合は・・・」
むんく「11人で55キロだから、1人あたり5キログラム重」
ろだん「そっか! 鉄アレイくらいの重さだな。それなら片手の人差し指でも持ち上がるかも」
むんく「今の実験は、片手あたり7.5キログラム重。カマル石の方が小さい」
あかね「みんなが一斉に持ち上げることができれば、今の実験より簡単に持ち上がるわけね。11人もいるから、全員が一斉に持ち上げるようにするのが難しいと思うけど」
とっぴ「ぼくの読んだ本には、かけ声を合わせるなんて書いてなかったよ」
むんく「お祈り・・・」
あかね「あ、それ!」
ろだん「お祈りするとき、聖者の名を唱えるんだったな。唱え終わった時に持ち上げるなら、それがかけ声のかわりになるぜ」
ひろじ「ぼくも、そのカマル石の浮遊を実際に見たわけじゃないから、断言はできないけど、文献を読んで判断する限りでは、みんなの推測通りだと思うな」
とっぴ「そうかあ」
あかね「残念だったわね、とっぴ。せっかくみつけてきた不思議ネタなのに
とっぴ「え? なんで? 実験面白かったし、いいんじゃない?」
あかね「あー、とっぴと話してると、いつも調子狂っちゃう」
ろだん「とっぴは好奇心だけで行動しているからな」
とっぴ「人数が11人より多くてもだめって、なぜだろう」
あかね「そんなの、本当かどうかあやしいわよ」
ろだん「55キロの石って、どのくらいの大きさかな」
むんく「石の密度は3くらい・・・人間の密度が1くらい・・・だから、とっぴの3分の1くらいの体積」
ろだん「それが丸くなってるなら・・・けっこう小さいぜ。11人が指を伸ばして周りから支えたら、隣の人とくっつくくらいになるんじゃないのか」
とっぴ「そっか・・・人数を増やすと、かえってやりにくくなるかも」
ひろじ「カマル石を持ち上げてる写真か映像を見られれば、そのへんもわかるだろうけどね。今回は本に載っていた紹介文から推測して議論しただけだから、これ以上考えるのは難しいかな。実物に当たるのが一番だから」
あかね「そうね、今日はこのくらいにしておきましょう。そうしないと、とっぴが質問し続けるから」
とっぴ「え、ぼく、そんなに質問ばかりしないよ」
あかね「もう!」

 

 
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