エジソンとアインシュタインその2 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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アインシュタインとエジソン


とっぴ「やほお♡」
ひろじ「やあ、みんなおそろいだね。おや、ろだんくん、手に持っているのは電球?」
ろだん「そう、白熱電球。エジソンが発明したんだろ。手に入れるの、意外に苦労したぜ。電気屋に行ったら、売ってるのLED電球ばっかでさ」
ひろじ「白熱電球は消費電力が大きいからね。最近は蛍光球か、LED球の方が普通に使われるようになった。そのうち、白熱電球なんか見たこともないって人ばかりになるだろうね」
ろだん「エジソンの発明は1300もあるって聞いたけど、今も残っているのは電球くらいかな?」
ひろじ「エジソンのドラム式蓄音機は後発のレコード式蓄音機に座を奪われ、それもラジオの台頭で廃れた。後に登場するテープレコーダーは磁気録音方式だから、エジソンの後継機とはいえないしね。録音機も今はICレコーダーやビデオに取って代わられた。技術の進歩はすごいね」
 
 
あかね「電話は? ・・・あれは、ベルだったかしら」
ひろじ「うん、最初にベルが発明したけど、性能が悪かった。エジソンがもっと性能の高い電話を開発したんだ。両者は競争の結果、共同で電話機を作るようになったんだって。白熱電球も、イギリスのスワンの方が早く開発していた。エジソンはスワンの白熱電球がエジソンの特許を侵害していると文句をいって、結局こちらもスワンとエジソンで合同の会社を作ることになった。エジソンは、経営者としての強さも持ち合わせていたんだね。エジソンは必然的に電力会社を作ることになる」
ろだん「電力会社も? それはすごいな」
ひろじ「でも、エジソンは直流にこだわったから、電力会社は失敗した。このへんの事情は、学校の物理の授業で習うんじゃないかな」
あかね「直流では、電線でのエネルギー損失を減らすことができなかったんでしょ。交流なら変圧器で電線の電流を減らすことができるから」
ひろじ「そう。交流の場合は他にもエネルギーロスを防ぐ方法があるので、経済性を考えると直流に勝ち目はなかった。エジソンはテスラの交流に対抗しようとしていろいろなデモンストレーションもやってる。眉をひそめるようなやり方でね。これは有名な話だから、今日はやめておこうか」
 
 
とっぴ「ぼく、知らないよ。もったいぶらないで教えてよ」
ひろじ「交流は直流より危険だと、宣伝しようとした。交流で感電させる動物実験を繰り返し、エジソンの発明会社のあったメンロパーク周辺では、犬猫を見かけることがなくなったとまでいわれている。他にももっとひどい話があるけど、こちらは本当にやめておこう」
むんく「・・・電気椅子・・・」
ひろじ「・・・おっとと、発明といえば、アインシュタインも深い関わりがあったっけ」
とっぴ「アインシュタインが発明?」
ひろじ「アインシュタインはなかなか正規の仕事に就くことができず、人づてで特許庁で働くことになった。発明家のもちこんだものが特許申請を通るようにいろいろアドバイスをする仕事なんだけど、アインシュタインは楽しんでやったそうだよ。この仕事が彼の物理現象を素早く見抜く能力を高めるのに大いに役だったともいわれている」
とっぴ「へええ」
ひろじ「もっと後で、アインシュタインはレオ・シラードといっしょに冷蔵庫の新案特許もものにしているよ。もっとも、現在使われている冷蔵庫の仕組みとは違うけどね」
ろだん「アインシュタインって、そういうの興味ないのかと思ってた」
ひろじ「エジソンにとって発明は生業だったけど、アインシュタインにとってはちょっとした息抜きだったんだろう。エジソンはお金にならない発明は発明じゃないと考えていたし、発明のアイディアができると、完成より早く宣伝して投資してもらうなど、経営手腕も優れていた。押しの強い性格で、対外関係は万事控えめだったアインシュタインとは好対照だね」
あかね「エジソンは発明ばかりで、科学の研究はやらなかったの」
ひろじ「発明に関わる中で、科学実験に関わらざるを得ないからね。結構論文も書いているけど、科学に貢献した論文は少ない。中には科学者の失笑を買った論文もある。【エーテル力】の論文とかね」
あかね「何、それ?」
ひろじ「どうも電磁誘導で出る火花を電気でも磁気でもない新しい現象だと思って発表したようだね。この論文の失敗は、エジソンにとっては痛かった。プライドの高い人物だったからね」
ろだん「でも、科学に失敗はつきものだろ?」
ひろじ「そうだね。エジソンもめげずに研究は続けた。熱された電球から電子が飛び出してくることを示した【エジソン効果】の論文は、彼が唯一科学界に貢献した論文だといわれている。来るべき真空管時代につながる論文だった。残念ながら、エジソン自身はその重要性に気づかず、真空管を発明することはできなかったけど」
あかね「わたし、ちょっと気になることがあるんだけど。ニュートンが神の実在を証明しようとしていたって話があったわよね。エジソンとアインシュタインは、どうだったのかしら」
とっぴ「あ、ぼくもそれ聞きたかった」
ひろじ「アインシュタインは相対性理論が世界的に有名になったせいで、宗教と科学の関係を何度も問われている。そのたびに、決まっていうのが、相対性理論は科学の理論なので、宗教上の問題とはまったく関係ない、という答」
あかね「でも、自分がどう考えているかという答じゃないと思うな」
ひろじ「対外的にはそれについてはいわないけど、親しい人たちとのやりとりの中では、いわゆる人格神については否定的だったんだって。そもそも、アインシュタインは若い頃にユダヤ教からは離れているからね。オーストリアの大学で仕事につくとき、信仰する宗教の名前をかかないと採用されないので、やむをえずユダヤ教と書いたことはあったみたいだけど」
 
 
とっぴ「エジソンは?」
ひろじ「当時、マダム・ブラヴァツキーという霊媒が人気で、エジソンは神智学会に入っていた。ブラヴァツキーのトリックが心霊研究教会のホジスンに見破られてからは、自分は神智学会には無関係だと言い張ったそうだよ。その反動か、晩年はそういった問いかけがあるたびに【死後の世界はあり得ない】と言い続けていた」
ろだん「神智学って・・・何?」
ひろじ「スウェーデンボルグが自分の見た幻想をもとに始めた新しい宗教。欧米ではかなり知られているよ。ああ、そうだ、あのヘレン・ケラーも信仰していた。彼女の【わたしの宗教】という本にそのへんの事情が詳しく書かれている」
あかね「なんだか、不思議な感じね。科学と宗教がいろいろ絡みあっていて・・・」
ひろじ「宗教に淡泊な日本人にはなかなか理解しがたいことだね。ぼくも正直なところ、欧米の人たちの宗教に関わる苦悩や拘りはよくわからないよ。でも、そこに欧米で科学が発展してきた秘密が隠されているような気もするよ」
とっぴ「心霊研究教会のことも気になるなあ・・・」
ひろじ「それは・・・話すと長くなるから、またにしよう」
とっぴ「約束だよ。また来るからね」
ひろじ「・・・そんなに、急がずに、ね」

 
 

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