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※本業多忙ですっかり更新が滞ってしまいましたがボチボチ再開したいと思います。

 

矢野大隊長 1月25日 よりつづいております。

 

矢野大隊(臨時編成歩兵第二百三十大隊)

大隊長 矢野 桂二少佐 

昭和18年1月25日  午前九時頃

予想通りの猛烈な砲撃が開始され我第一線陣地に着弾、盛んに砂煙を立てている。

敵情視察したところ前方の草原は何れも敵兵で溢れ更に増強を加えつつある。

前方脇の密林内に降りて来る敵兵もあり矢野大隊長曰く

「雲霞の如きとはこんなのを言うのであろう」

と表現されている。

 

然しながら歴戦の大隊長はこの程度の攻勢であれば我が大隊には良い経験となると感じつつも、此の雲霞の如き敵兵が交代で波状攻撃をかけて来た場合果たして軍主力の集結を援護し得るか心配になる。

 

堪らず矢野大隊長、雲霞の敵兵を眺めながら煙草に火を着けている。

こんな時の煙草は案外気を落ち着けてくれ百害あって一利位はあるらしいと第一線指揮官の微妙に揺れ動く心中が感じられる。

尚敵状に気を配る矢野少佐、愈々大隊本部に着弾し始めた。

副官と軍医が鉄帽で掘ってくれた大隊長の壕は浅く横にならなければ身体が隠れない。

どうせ遮蔽しないのであればと壕の中央にどっしと胡坐をかく。

 

第一線・第三中隊長 「連絡に来ました」

矢野大隊長の許へ前進陣地の中隊長が現れた。

矢野大隊長 「何の用事か!! こんな時に中隊長が来るものではない!!}

第三中隊長 「第一線は砲弾が酷くとても居られません」

初陣にこの砲撃で驚いたのは無理が無いが此処は一喝が必要と考え

「お前は何を言っているのだ!! 弾が来るのは戦場の常、そんなことで第一線を離れるとは人に笑われるぞ!!  部下はどうした?早く第一線に戻って中隊を掌握し陣地を死守せよ!!」

丁度この頃、大隊本部にも着弾が激しくなる。

第三中隊長も大隊本部は安全との見込みが外れスゴスゴと第一線へ戻った。

 

砲撃が止み昼頃敵の捜索隊が腰溜射撃をしながら現れる。

第一線の第三中隊に今度は至近射撃をと願う矢野大隊長だったが陣前遠くから射撃し追い散らしてしまった。

其の後大した砲撃もなく不審に思った矢野大隊長は南方密林内へ監視を強めている。

正面攻撃もなく砲撃も無いという事は敵が接近している可能性がある。

右翼より包囲される危険を感じ予備隊より将校斥候を右翼密林内へ派遣している。

夕刻になると右翼と右翼後方より炊煙が見える。

この様な位置関係か・・・

敵は大部隊なので我が陣を迂回し密林内を進んでいるかもしれない。

将校斥候が帰着し報告を聞けば右翼方面二粁の範囲内に敵は見えないと言う。

 

水無川に続き再び包囲されては小部隊では太刀打ち出来ず撤退か抵抗継続か決心の時となる。

通信機材もなく適時報告出来ず軍の意図と反する事の無いよう考えた結果、此の侭では全滅も覚悟せねばならぬと陣地変換を決意。

夜行軍急進で第一線を目指したので後方の地形は不明、第二中隊を先遣隊として地形偵察も兼ね先行させる。

糧秣補給の為後方へ行った副官の説明で約一粁後方コブ山の線と指示する。

 

後刻主力を率いてコブ山の陣に到着したが思いの外ママラに近く対戦車の障害物も無い。

矢野少佐は不安に駆られるが更に後方へ変換する間もなく此の地を陣と覚悟し陣地構築を開始した。

1粁後方のコブ山だとすると・・・この山か???

2015年 矢野大隊コブ山陣地の位置捜索時の↓矢野大隊長手書きの要図

これがコブ山か・・・  と取り敢えず写したコブ山

位置は 黄ピンが撮影場所

嗚呼・・・全然違う (_ _。)

いや新たなコブ山候補が見つかったのだから良しとせねば・・・

 

つづく

 


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