ガダルカナル戦書籍一覧


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2012年 ガダルカナル島御慰霊行 目次
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丸山道4より続いております。

現地時間 06:50頃
明けて丸山道最初の朝であります。

雨こそ降っておりませんが曇天でありました。

昨晩ヘタリ込んで居る日本人二人を尻目に着々と天幕設営準備を進めるローカルスタッフ。
天幕設営予定地の下に葉を敷き詰めたところで声が掛かる。
「天幕の張り方を教えてくれ」
さもあらん、天幕は日本から送ったもので彼等は予行練習すらしていない筈だ。
K隊員が重い腰を上げてLED照明を駆使し取り扱い説明書を読みながら指導を開始。

然しおっちゃんは動けず。
ローカルの天幕設営が終わったところでK隊員
「テント張るの手伝って」

我々の天幕である。
流石に此れを断っては大人気ない。
重い足腰に「うりゃっ」と気合を入れて立ち上がり足を引き摺りながらの天幕設営。
降雨の中の天幕設営なれば天幕内にも雨は入りびしょ濡れの床に背嚢からブルーシートをエイと広げ何とか横になる事が出来たのであります。

結局、昨日は一食も取らず19:30には天幕の中気をつけ(疲れ過ぎて寝返りもうてず)の態勢で・・・
時は昭和五十一年、二師団総攻撃の尖兵中隊長であった勝股治郎氏が戦後初めてご遺骨収集の為偵察に丸山道へ踏み入れた夜、タンブハ・マタニカウ合流点で露営された時も蛍が飛び交い戦友の魂の如く思えたという。
嗚呼、奇遇なりや我もまた昨夜蛍を目にしている。
トンガに無理苦理引き摺られ辿り着いた此の地もまた御英霊の魂が眠っているやも知れず。

ついつい勝股氏の語り口調で氏の偵察之記を脳裏に浮かべながら浅い眠りに・・・


昨晩、蛍が舞っていた付近。

手前の石ころにヘタリ込み呆然と眺めていたのでありました。

ローカルスタッフは朝食の準備。

よくもまあ濡れた生木を使って火がおきるものだと感心しきり。

脇を見れば成程!!

スモールストリーム、グッドロケーションは偽りでは無いようです。

彼等の焚き火はみるみると大きく

煙もさほど出ておらず見事であります。

ガ島戦の陸兵記録を紐解くと生木で火を起せば煙が凄く米軍機に所在を知らせるようなものだとありますが、眼前の彼等の火起し術は目を見張るものがあります。

そうこうする内にスタッフの食事は出来上がり


我々も遅れてはならじとガソリンコンロで湯を沸かし・・・
ライトミールと味噌汁のK隊員


自分はインスタストカフェオレとライトミール、血圧の薬一錠。

ライトミール右に見えるゲジケジは無害との事。

天幕後方には直径一米はあると思われる大木古樹。

此の地を日本兵が通ったとすれば古樹はその状景を目の当たりにしている筈。
心は七十数年前へ・・・


さてさて此処は何処なりや・・・
日本兵の通った丸山道か?宿営地としては適地ではあるが・・・
作日は歩くばかりで戦争遺物の一つも発見出来ていない!!
身体は軋むも本日の目的地タボーへは早々に向かい探索したいし・・・

足腰は昨日一日の行軍で完全に許容範囲を超えて酷使の末、スローペースでボチボチと身体を誤魔化して進む術は断たれてしまった。
この壊れた足腰、無理して事故でも起せば誰も褒めてはくれないどころか非難轟々であろう。
※この時点で両足親指付け根付近にはマメの子分が出来て疼痛あり・K隊員も同じ症状。

やはり此処はセイフティー・ナンバーワン!!
K隊員に本日一日此処で休養し明日からの行軍に備えようではないかとタボー行断念を提案、快諾を得る。

早速、案内人のトンガとラファエルに
此の地にもう一泊し周辺を探索してみようと思う。
と伝えたところ・・・
それはグッドアイデアだ♪
と喜んでいる。

ところで此処は何処なのだ?
トンガ曰く
タンボー
ラファエル曰く
タボー

んっ???
タンボー??? タボー???

ひょっとして此処はタボーなのか???


何がスモールリバーグッドロケーションだよ、遠い訳だ。
此の他は、今日の正午までに辿り着く予定のタボーではないか。

※記載時間は現地時間
思えば目的地をガラナヒル近くの露営適地と伝えていた。
元よりタボーは遠隔地の為ガラナヒル手前の適地を想定していたのだか・・・
ガラナ近くの露営適地はタボーしか無かったのかも知れぬ。
それにしても一時間半が五時間半・・・
腹立たしい反面、半日得をした現実に複雑な思いが湧くタボーの朝でありました。

つづく


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