健在・・エヴリのムニエ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
エグリ・ウーリエ ヴィーニュ・ド・ブリニー NV
購入日    2010年9月
開栓日    2013年9月
購入先    かわばた
インポーター 空
購入価格   6000円

相変わらず忙しく執筆中である。
昨晩は、新規に発売された薬剤の記念講演会で、名誉なことに座長をさせて頂く機会もあった。
大阪市大の先輩と2人で一般演題の座長を務めたが、まあそれなりにこなせたのではないか。

120人くらいの参加者があったそうだが、メーカーに大きな力が入っている。
いつも名講演をされる福島医大の名誉教授がメインの演者だったが、
懇親会で話していると、とても気さくな人であると分かった。

この大先生はわたしや同世代の東大教授より大分上だから、これまで遠慮して
親しげに話したことはなかった。
そういえば2007年の新薬発売記念講演会でも、メインの演者をされていたが、
この時には現東大教授が教授に就任前に座長をされ、わたしも15分だけしゃべらしてもらった。

あの頃はまだ今ほど目立つことも無かったし、診療所もまだまだ昇り調子で、
先がある気がしていたなあ。


さて、まだこんな1本が残っていた。
樽使いの名手、エグリ・ヴーリエのピノ・ムニエ単品種によるシャンパーニュである。
購入したのは3年前、前に開けたのは2年前である。
以前このように書いている。

 香りは柑橘系で、口に入れて後半、液体が去ったあとちらりと感じられる、脱力感、
 あっさりと去ったが故の寂寥感がある。
 泡が舌を刺激したあと、果実の軽い苦味があるところなど、いかにもムニエらしいと思う。

いかにもムニエの特徴そのものを書いていると今も思うが、
弱いブドウやダメな造り手なら、2年経過した現在では、目も当てられないことに
なっていそうだ。
兎にも角にも、ムニエは長熟には向かないのは周知の通りである。

ところが今も生きている、いや熟成感を増していた。
2日目になっても落ちないし、ムニエが老けた際のエグ味、渋みが感じられない。

前の1本では、
「泡が飛び、温度が上がったのちの最後の1杯は、力の抜けた頼りなげな白ワインでしかなかった。
 ムニエ単独では、スチルワインとしては成立し得ない。
 それがはっきりと分かった一瞬であった」

と書いて結んでいるが、ちょっとそれは撤回しないといけないかも知れない。
シャンパーニュを飲む慣れない向きには、ブラン・ド・ブランのちょっと細身なのと
区別が付かないのではないか。

そのくらい、このシャンパーニュのブドウは良い畑で栽培されているということだろう。
プレヴォーのムニエと比しても、繊細さでは負けているかも知れないが、
質の点では十分向こうを張れるものであると再認識できた。