解禁の日のワイン会 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

本日は11月の第3木曜日で、ボージョレ・ヌーボーの解禁日である。
一昨年から、家内の師匠であるUTAさんとその弟子たち(家内を含め4人)を
集めてのワイン会を行ってきたが、今年も開催する運びになった。

昨年は、Alcoholic Armadilloさんからコサール、パカレなどのビオ・ヌーボーを
大量(といっても1ケースくらい)に買い付けてこの会で開けたり、地元医師会の
懇親会に持ち込んで開けたりした。

それでよく分かったのだが、こんなもの1人で1本開けることは到底できない、
というか苦痛である。
そんなに何本も開けなくても分かるだろう、と言うとそれまでだが、
わたしは知らないものは語らないことにしているのだ(大げさ)。

昨年の経験だけをもって多くを語れるとは思っていないが、
基本的に自分は若い赤ワインは好きではなく、ガメイは嫌いであるなどの理由から、
今年はヌーボーは1本も購入しなかった。

当たり前だがわたしはヌーボー騒ぎの否定派である。
お祭りとして乗るのはいいとしても、ガメイの新酒を飲むことで肝臓を浪費する
ことはできないし、遠い国の一地方のお祭りに付き合う理由もない。

昨年Alcoholic Armadilloさんから購入したヌーボーは、さすがせんむの
お眼鏡にかなったものだけあって、質の高い新酒が揃っていたが、
世間で見かけるヌーボーの多くは、現地ではせいぜい500円程度だろう。

500円のワインを1000円かけて空輸し、かつてはデパートなどで
5000円で売っていたのだから、この商売を考えついた奴はエライ。
今でもヌーボーの輸出の25%は日本向けだそうだが、この数字の大きさは、
日本人がワインを分かっていない、ということのバロメーターとして使えそうである。

さて、一通り悪態をついたとはいえ、今日は恒例のワイン会となった。
写真のウサギがすべて同じなのは、じっとしているうちにまとめ撮りしたためで、
単なる手抜きである。


マーク・エブラール ブリュット・ロゼ NV
購入日    2007年10月
開栓日    2007年11月15日
購入先    ウメムラ
インポーター ?
購入価格   3780円

まずは女性たちの受けを狙って、眼に生えるロゼ・シャンパーニュで乾杯。
先月購入した新しいロットで、妙に若々しい。
ネガティブに言えば深みが乏しいが、良く言えば新鮮ではある。
あと1~2年したらもっと美味しくなるような気がするのだが。


Louis Tete ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー 2007
開栓日    2007年11月15日
購入先    阪急百貨店(の包み紙に入ってきた)
インポーター 稲葉
購入価格   ?

ヌーボーは1本も買っていないはずだったが、今日になって某所から1本いただいた。
そういえば同じところから昨年も頂戴し、開栓したなあ。

ダークチェリーやイチゴの香りがぷんぷんと立ち上がり、
早開けで美味しいように造られている。
普通に言えば、これはまあ美味しいワインだろうし、ヌーボーとしては非常に
良くできている。


ドメーヌ・パラン コルトン・レ・ルナルド 1997
開栓日    2007年11月15日
購入先    神戸D丸百貨店(の包み紙に入ってUTAさんちに届いた)
インポーター JSRトレーディング
購入価格   百貨店ではおそらく1万円以上

これはUTAさんがしばらく前に持参され、うちのセラーで寝ていたもの。
UTAさんが知り合いからもらわれたワインである。

キャップシールを剥がすと、コルクの最上部に液漏れのあとが明らかで、
開栓してコルクを確認すると、側面に最上部に至る漏れ跡がある。

液面は高かったので漏れやすかったのだろうが、まともな温度環境になかった
ワインではないかとの懸念通り、臨終香が・・
はい、さようなら。

このワイン、UTAさんちに着いて以降はずっと温度管理はできているから
あえて苦言を申し上げる。
神戸D丸百貨店さん、こんなワインを売っちゃあいかんでしょ。
ワインは届け先まで良い状態で行かなければならない、ということ知ってます?


ヴァンサン・ジラルダン シャンボール・ミュジニー レ・ザムルース 2000
購入日    2006年4月
開栓日    2007年11月15日
購入先    いなげや
インポーター フィラディス
購入価格   9500円

気を取り直して期待の1本を開栓。
昨年8月友人たちと1本目を開栓して大当たりだったワインである。
これは昨年飲んだ300本くらいのワインの中でも片手に入るものだった。

ところが、これまた土俵際寄り切りの負け。
同時に購入したものだが、昨年の1本とは似ても似つかぬダメワイン。
異臭がするわけではなく、これをブショネとするかどうか?
しかし果実香はせず、先のコルトンほどではないが毛羽だった赤い液体だった。

UTAさんが生と死を考えつつ旅して来られた上海から、怨霊でも連れてきたかと
笑えない冗談が飛び交う。


ミシェル・ギィヤール ジュブレ・シャンベルタン 1級畑 コルボー 2002
購入日    2005年2月
開栓日    2007年11月15日
購入先    まるどら
インポーター サンリバティー
購入価格   5480円/4980円

半分やけくそで、まず状態は間違いないワインとしてこれを選んだ。
これまで2~3本開けていて、熟成過程にあると思われたが、独特のワインではある。
何人かが「ツナ缶を開けたときの香りがする」と言うがその通りで、
鰹香がする一風変わったピノ・ノワールである。

後味は長く続き魅力的。
しかしブドウを感じさせないこのおかしな香りは何だろう。
畑そのものに由来するものである、としか言いようがない。

状態は万全でようやく飲み頃になったと判断されるが、このギィヤールという造り手、
ものすごく個性的だ。
熟成前に若開けした際には荒削りだが魅力を感じたのだが、今の時点での
この独特な香りにはちょっとついて行けない。
たいへん奇妙なワイン、というか畑というか、造り手というか・・・


ドメーヌ・ロベール・グロフィエ ブルゴーニュ・ルージュ 2003
購入日    2007年2月
開栓日    2007年11月15日
購入先    湘南ワインセラー
インポーター 八田
購入価格   3680円

ワイン会は楽しく時間が過ぎ行くが、もうハズレと個性派は勘弁してくれ、
との思いを込めて超安全パイのワインを選ぶ。
すでに今春開栓済みのグロフィエのACブルゴーニュである。

あ~、別に陶酔を誘うグラン・クルでなくても、これでええわ、と思わせる。
横で家内が
「いつも自宅で開けて、美味しいが個性が無くて面白くないと言っている味やね」
などと分かった風なことを言う。

はい、そ~ですよ。
クルマはアルファ・ロメオ(前に乗っていた)でなくてもトヨタ(今乗っている)でいいんです。
(トヨタといってもセルシオやクラウンじゃなく、安物なのだ)
日本のお父さん、がんばろうでいいんです。
それにしても、コルトンとザムルース、2本続けて外れるなよな。

ハズレワインと個性派ワインに振り回されつつ、わたしと女性5人での
楽しい時間はあっという間に過ぎていったのであった。