どーも。

左耳にタコがある、大五郎です(汗)

ここ、触られると・・・感じます(変態)




この『絵空事』は、前回のつづきです。

【絵空事】ソウシ・ソウアイ ①
【絵空事】ソウシ・ソウアイ ②

【絵空事】ソウシ・ソウアイ ③




※絵空事は、すべてフィクションです。

登場する人物、名称、建造物や出来事など

すべて大五郎の妄想です。作り話です。

ご了承ください。






▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 

泣き崩れた私を心配そうな表情で

覗き込んでいるユカリの両親。

 

私が『ユカリ』じゃないということは、

すぐにユカリの両親にバレてしまった。

バレたから、ということもあるけど、私は混乱していた。

まさか、ユカリの両親が、

耳が不自由な人たちだとは思っていなかったから。

 

知らなかった・・・。

 

知ろうとしてなかったから?

でも、知ろうと思っていても、ユカリはきちんと

私に話してくれていたか、どうか分からない。

ユカリは・・・私に対して怒っていたのかもしれないから。

 

ユカリは、私のことを「うらやましい」と言っていた。

それは、本音だったんだと思う。

親とケンカしたことも、弟とケンカしたことも、

私にとっては最悪な日常の出来事だけど、

ユカリにとって、それは

うらやましい日常だったのかもしれない。

 

それを・・・何も知らないとはいえ、

ユカリの気持ちも考えずに、私は

今までペラペラとユカリに話していたんだ・・・。

 

私って、バカだなぁ・・・。

 

 

 

そんなことを思いながら、私は、涙を拭った。

もう、バレているから黙っていることもせず、

「ごめんなさい」と言いながら、身振り手振りも使って、

ユカリの両親に謝った。

 

ユカリの両親は、すぐに紙とペンを持ってきて、

こう書いてくれた。

 

「あなたは、ユカリじゃないのね?

本物のユカリは、どこ?」

 

私は、手話が分からないから、

普通に声に出して伝えたら、

ちゃんとユカリの両親は理解してくれたようだった。

もしかして、私の声は、聞こえてるのかな?

声が出ないだけとか?

 

いや、今はそんなこと、どうでもいい!

私は、ユカリの両親に頭を下げて、

 

「ユカリを連れてきます!」

 

と伝えて、家を飛び出した。

 

 

 

 

 

スマホを取り出したら、時刻は18時すぎ。

わが家では、夕食の時間帯だ。

これは、ユカリのスマホだから、

自分のスマホへかけなきゃいけない。

とにかく、私は自分の家へ向かいながら、ユカリに電話した。
 

何回目かのコールで、ユカリが出てくれた。

 

「もしもし、ユカリ!?」

 

「・・・。」

 

でも、ユカリは返事をしてくれない。

 

「ユカリ・・・。」

 

・・・なんて言えばいいか、分からない。

謝ったほうがいいのかな?

でも、なんて謝ればいいんだろう?

いや、謝るのもおかしい気がする・・・。

 

そもそも・・・

 

なんで、話してくれなかったのよ。

私・・・友達じゃないの?

それとも、いつも私が喋りすぎてたから?

 

「・・・ごめんね。」

 

「えっ!?」

 

私が黙っている間に、ユカリのほうが謝ってきた。

 

「あ・・・。」

 

私とユカリの家の途中に、私たちの学校があって、

私は、学校の校門にユカリが立っているのを見つけた。

 

 

 

 

 

ユカリは一人で・・・泣いていた。

 

その姿を見ると、胸がキュっと苦しくなった。

私が泣かせたような気持ちになった。

私がユカリの前で立ち尽くしていたら、

 

「・・・口うるさくない親はどうだった?」

 

と、ユカリは言った。

 

「ユカリ・・・。」

 

私は今こそ謝ろうとしたけれど、

ユカリの言葉には、続きがあった。

 

「マリの家族は、本当に口うるさかったわ。

誰一人として、黙ってる人がいなかった。

テレビも、字幕放送じゃないし、

手話ニュースじゃなくてお笑い番組見てたし。」

 

私は、今までユカリの話を聞いてあげてなかった分、

今はユカリの話を全部聞いてあげようと思い、黙っていた。

 

「ごめんね、ウソついてて。

私の親は口うるさくないけど、ものすごく『手』がうるさいの。

相手の表情や口の動きを読み取って会話するから、

無表情でいたら、怒ってくるのよ。手で、必死に。」

 

「それは、ウチだって同じだよ!

話しかけられて無表情でいたら、親に叩かれちゃうよ!

それって無視してるのと同じだもん!

ウチの親なら、口と手で制裁されちゃうよ!」

 

黙って聞いていようと決めていたのに、

私は、つい口を出してしまった・・・。

あぁ、私はダメなんだな。

黙っていることが出来ないんだ。

 

「・・・私は・・・そういう親がよかった・・・。」

 

「ユカリ!」

 

ユカリの言葉に、なんだかカチンときてしまって、

私は、怒りを込めて、叫んでしまった。

それでも、ユカリの中の『悲しみ』は止まらなかった。

涙といっしょに、今まで溜めていたユカリの『想い』が

あとから、あとから、こぼれてくる。

 

「いっそのこと、私も耳が聞こえない体で生まれてこればよかったのに。

どうして私だけ聞こえちゃうんだろ・・・。

まるで、私がお父さんとお母さんの耳を奪ってしまったみたいに

感じてしまうの・・・。

お父さんもお母さんも、そうじゃないって言うけど、

お父さんお母さんが私に気を使ってるように感じるの!

なんだか、お父さんとお母さんの子供じゃないみたいに感じるの!

私だけ聞こえるなんて、おかしいもん!

そしたら、もう、怖くて!・・・怖くて・・・!」

 

いろんな憶測と、恐怖と、感情が入り混じって、

ユカリの言葉がたくさん溢れてくる。

私には、想像もできないほど、

ユカリは、これらの『想い』をずっと押し込めてきたんだと思う。

 

「・・・そんなときに、マリに出会って・・・

私と同じ歳で、同じ顔してるのに、私とはまったく違う人生を歩んでいて、

私が欲しかった家族の愛情を、私が望んでも手に入らない幸せを、

不平不満を言いながら、一身に受けているマリが、

心底、うらやましくて・・・!悔しくて・・・!・・・いつもムカついてた!」

 

涙目のまま、怒りを私に向けてくるユカリ。

怖かったけど、私は目をそらしちゃいけないと思い、

まっすぐユカリの目を見ていた。

 

「私だって・・・私だって・・・!

お父さんとお母さんの声が聞きたいの!

お父さんとお母さんに私の名前を呼んでほしいの!

お父さんとお母さんの笑い声が聞きたいの!

お父さんとお母さんに、愛されたいの!

だって・・・だって・・・私のお父さんとお母さんなんだもん!

お父さんとお母さんが大好きなんだもん!」

 

「ユカリ・・・。」

 

泣き叫ぶユカリ。私も泣けてきた。

ユカリの心の奥から吐き出されている本音が、

私の心にぶつかって・・・

私の心の奥にある本音が揺さぶられてる感覚だった。

 

そうだね・・・ユカリ・・・私にも分かるよ。

私も、口うるさいお父さんとお母さんが大好き。

いつも毛嫌いしてるけど、本当は、ものすごくありがたくて、

声が聞けなくなったら、絶対イヤだと思う。

 

ユカリは、怖かったんだね。

本当に、愛されてるかどうか分からなくなっちゃったんだ。

私も、そうだ。

当たり前すぎて、愛されてるかどうか、

試すことすら忘れてしまうほどに分からなくなっていた。

 

「今日だけは、自分が望む人生を味わいたかったの!

だって、今日は・・・!」

 

「お誕生日おめでとう!ユカリ!」

 

私は、ユカリの言葉を遮って、お祝いの言葉を叫んだ。

これだけは、どうしても・・・

ユカリの口から今日がなんの日か聞く前に、言いたかったんだ。

 

「え・・・なんで・・・それを?」

 

ビックリしてるユカリ。

でも、私が、なんで知っているかを言おうとしたとき、

私の後ろから、ユカリへと近づいていく影があった。

 

ユカリのお父さんとお母さんだった。

 

いつの間にか、私のあとを追ってきていたようだった。

そして、気づくと、私の後ろには、私の家族もいた。

 

 

 

 

 

 

 

つづく・・・。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
 

 

 


 

※大五郎のブログは、許可なく、

シェアしていただいても、リンクを貼っていただいても、

リブログしていただいても、OKです!
笑顔が広がればいいなと思っています。よろしくです(´▽`)

人気ブログランキングへ
"応援クリック!"

「かなり話が続いてしまったね。」と「ことりーず」。

これでも、かなり話を省略しちゃってるよ(汗)

もっと人物の情景を書き込みたかったけど省いてるから、

かなり急展開に感じる( ̄ー ̄;

---- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- -----