よく、病院に行った人から『保険がきかなくて高くついちゃった』とか『差額ベッド
で思わぬ出費がかさんだ』とか、お聞きになりません?
病院に行くと、保険が効くものと効かないものがあることはご存知ですね。
その一方で、通常なら3割負担のはずの治療費でも、場合によっては全額自己
負担になることがあります。
なぜそんなことになるのか!今日はそれを分かりやすく(?)ご説明しましょう。
といっても、私の文章力ではどうやっても分かりやすくは出来ないので、ちょっと
我慢して、気合いを入れてお読み頂ければ嬉しいです。
最初に結論を述べます。
『自由診療』 と一連で行う 『保険診療』 費用の扱いは、つぎの3つに分かれます。
(1)眼科のレーザー・臓器移植・美容整形等、保険対象外の自由診療の場合。
自由診療を少しでも受けると、それに関わる診察・投薬・手術など、全て
が自由診療扱いとなり、100%自己負担になります。(混合診療の禁止)
(2)歯科で、インプラント・高額な金歯など保険対象外の治療の場合。
歯科だけは、例外的に保険対象と対象外の『混合診療』が認められており、
自由診療分は自己負担で、保険診療との併用が可能です。
(3)先進医療の場合。
厚生労働大臣が特に定めた治療法で、現在92種類が認定されています。
この場合技術料は自己負担ですが、他の保険診療部分は、30%自己負担に
なります。
以下、具体的にご説明致します。
まず病院などで受ける医療行為の中には、保険が効くものと、効かないものがあり、
前者のことを 『保険診療』、後者のことを 『自由診療』 といいます。
医療行為とは、病気・ケガに対する診察・治療・手術・投薬・入院など、病院の
ドアを開けてから出てくるまでに、かかる全ての行為をいいます。
前者は成人の場合30%が自己負担、後者は100%自己負担が原則です。
俗にいう、保険が効けば3割負担、効かなければ全額負担ということです。
自由診療とは、文字通り健康保険を使わないで、自分の意思で自由に受診する
ものです。たとえば次のようなものがあります。
① 保険対象外の新薬
② 眼科のレーザー、歯科の金歯。ほぼ全ての美容整形、臓器移植など
③ いま話題の『先進医療』 など
(※ご注目!ここが最重要です!!)
ところが、『自由診療』と同時に行う『保険診療』の費用の扱いは、つぎの3つに
分かれており、うち(1)の混合診療の禁止にあたる場合は、保険診療であっても
100%自己負担になります。
厚労省では、いろいろな理由から自由診療と保険診療の混在を禁止しており、一緒
に行う場合は、全てが健康保険の対象から外れます。
これを『混合診療の禁止』といい、理解をややこしくしている一因です。
医療関係の方なら誰でも『混合診療の禁止』についてご存知ですが、われわれ一般
ピープルには、馴染みが薄いですね。
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実はこの『混合診療の禁止』の是非は、最高裁まで争われ、つい先月混合
診療には合理性がある、という判断が下されています。
これは、国側の勝訴なのですが、例のTPPが導入されればこの考え方も
覆るかも知れない、と今晩の報道ステーションでやっていましたね!
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ともあれ『混合診療の禁止』が原則であることを、最初に理解しておけば、以下
『保険診療』の費用負担の3つの取扱いは、とてもシンプルに映ると思います。
(下図もどうぞあわせてご覧ください)
(1) 『保険診療』なのに、100%自己負担になる場合。
保険の効かない『自由診療』を少しでも受けると、それに関わる治療・投薬・
入院など、病院に入ってから出るまでの、全ての治療行為が『自由診療』と同
じように100%自己負担になります。
たとえば、美容整形やレーザー治療は、保険が使えません。
この根拠が『(健康保険対象と対象外の)混合診療の禁止』ルールです。
まず、はじめに『混合診療の禁止』ありきなのです。
(2)歯科のインプラント・高額な金歯など保険対象外の治療費用。
歯科だけは例外的に保険対象と対象外の『混合診療』が認められています。保険
対象外の『自由診療分』は自己負担ですが、『保険診療』との併用が可能です。
つまり、インプラントや金歯以外の費用は、保険が効くわけです。
※保険が効く・効かないの話で、最初に歯医者を思い浮かべる人は、比較的多い
のではないでしょうか?ところが、この歯医者が、業界では例外なのです。
歯医者さんで『これは保険効かないけど、お勧めの治療法です・・・』なんて
言われたことありませんか?
(3)先進医療とそれに関わる治療。
先進医療とは、厚生労働大臣が特に定めた治療法です。
例えば、重粒子線・陽子線等の高度なガン治療法や、腹腔鏡や内視鏡による直腸
や動脈手術、膀胱直腸固定術などです。
H23年現在、92種類が認められています。
この場合先進医療そのものは自己負担ですが、ほかの投薬・手術・入院費等は保
険が使えて、自己負担は30%になります。
つまり、(2)の歯科と同じ扱いになるわけです)
※だから・・・保険会社のCFやパンフレットで、こんな表現が・・・!?
△△保険の先進医療特約があれば、○○○万円までの先進医療技術料が支払
われますので、安心です!
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(先進医療の一覧)
http://www.wam.go.jp/iryoappl/menu_control.do?init=y&scenario=b5
(医療費の自己負担のイメージ。クリックで拡大します)
今回ご紹介した『混合治療』とは別に、『高額療養費』という一見ややこしい
制度がありますが、これは“素晴らしい世界に誇れる”制度です!!
別の機会に触れることにしましょう。