ナニワのダルビッシュこと大阪桐蔭・藤浪晋太郎 | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

来年のドラフト上位候補と評価される大阪桐蔭・藤浪晋太郎が近畿大会・準々決勝(天理)に登板。
身長196cm、体重86kgと本家ダルビッシュと比べても遜色の無いサイズの「ナニワのダルビッシュ」。

最速148㌔を記録するストレート、落差のあるカーブ、鋭く曲がるスライダーの切れ味に非凡な才能を感じる。
また昨年オフから今年の夏にかけてフォーク修得に取り組むなど器用な側面も持ち合わせる。


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藤浪は、北海道日本ハム・ダルビッシュ有と同様にノーワインドアップから投球動作を開始する。
理想の投球フォームに「ダルビッシュ」の名前を挙げていることから大きく影響されていると推察する。

なお、右腰部が血痕で汚れているのは捕手との交錯で指の裂傷で出血。その血を拭った跡である。
治療後の投球練習は「怪我は関係ない」と言わんばかりの全力投球を披露すると驚嘆の歓声が上がった。
藤浪の試合に対する集中力の高さと気持ちの強さを垣間見たような気がした。


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試合開始直前、藤浪がマウンドに上がり間もなく投球練習を始めるとストレートの迫力に驚いた。
球速は140㌔台中盤、2メートル近い恵まれた体躯を活かしながら豪快に右腕を振り下ろす。
キャッチャーミットに吸い込まれるボールの軌道が、超高校級の逸材であることを雄弁に物語っている。
規格外のスケールで踏み出すステップと長いリーチを活かして獰猛に右腕を振り抜く様は超ド迫力。


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藤浪の投球フォームで非常に気になる点は踏み込む側の左脚が伸び切った状態で回転することである。
弊ブログでは何度か取り上げて来たが、これは重心を直線的に移動する上で大きな弊害になる。

左脚が伸び切った状態では重心が遠心力に引っ張られてフィニッシュで外側に振られてしまう。
アウトコースへは力を乗せて投じることが可能だが、インコースへの制球を難しくさせてしまうのだ。


「「くの字」ステップ」(弊ブログ・10年4月23日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10514971491.html

「教科書にして欲しい東浜の投球フォーム」(弊ブログ・10年4月16日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10509210778.html


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ステップする脚が伸び切った投手に見られがちな悪癖であるが、藤浪も例に漏れずカカトから踏み込んでいる。
拇指球から着地することで重心をホームベース、打者に向けて直線的に伝導することが出来る。
恵まれた体格を活かして発動させたパワーをロス無く伝えることで、今以上に球威を上げることは十分可能である。


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リリースの直前の藤浪の投球フォームには、センスの高さと基本に忠実な細部が詰め込まれている。
前述した課題を投球フォームのトップで帳尻を合わせるように解決している。

①トップでは、ボールを握った右手が耳と後頭部を結んだ線の中間点に配置されている。
②利き腕の肘の角度は90度に立っている。
③グラブを持つ左手は左脇に抱え込むように引き込んでいる。
外側に流れそうな重心をグラブを持つ左手を通じて、引き止めてパワーロスを抑えている。
④トップでは、ステップする側の左膝の角度は直角に立っている


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フィニッシュでは右手が体に巻き付くように振り切られ、背中越しに見えるまで回り込んでいる。
これはリーチの長さだけではなく上半身の柔軟性と後背筋の強さが無ければできない芸当である。

粗削りというほど投球フォームに課題は無いが、野性味の溢れるストレートは高校生離れしている。
テレビ画面などを通さずに球場で藤浪のストレートを是非観て欲しい。