「くの字」ステップ | アマチュア野球をめぐる旅。

アマチュア野球をめぐる旅。

高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

東都大学リーグがにわかに盛り上がりを見せている。
理由は他でもない、今秋にドラフトを控える四年生に逸材が数多く在籍するからである。

立正大・南昌輝、中央大・澤村拓一、東洋大・乾真大などの好投手に加え、多士済々が居並ぶ。
東都リーグは平日開催な為、観戦するには一苦労を要するが神宮に足を運んでみてはいかがだろうか?

投球のトップ時または直後における「くの字」ステップについて東都の三投手を絡めて考察したい。

踏み出しの際、ステップする脚(右投手は左脚)の始動は大きく二つに分類する事が出来る。
①膝の関節を真っ直ぐに伸びた状態で使う ②膝の関節を「くの字」型に使う


アマチュア野球をめぐる旅。


左側が斎藤佑樹(早稲田大)、右側が大石達也(早稲田大)の投球フォームである。

斎藤の左脚が伸び切って踏み出しているのに対して、大石の左脚は「くの字」型になっている。
同じ右投手でも左脚の使い方が異なっている事は一目瞭然である。


アマチュア野球をめぐる旅。
中大の澤村の場合


「くの字」を形作るという、ひと手間の成否が投手としてのクオリティに大きく影響を及ぼす。
これは投手の優劣、将来性を判別する際に使用して欲しい。
それくらい投球フォームにおいて重要ポイントであり、高いセンスと努力を必要とする動作である。


アマチュア野球をめぐる旅。
亜大の東浜の場合


「くの字型」のステップでは踏み込む脚が外を回らない為、必要以上の回転運動を生み出さない。
つまり、体の開きを自然と抑制するという効果がある。

インコースへのストレートを安定制球する事の可能性を広げると言い換える事も出来る。

逆に言えばアウトコースにストレートが集中している投手は「くの字」を作れていない場合が多い。


アマチュア野球をめぐる旅。
東洋大・乾の場合(は左腕なので「逆くの字」)


投球フォームとその投手が投げ込むボールの関係は、数学の「計算式」と「解」の関係に似ている。
十分に理解していないと素晴らしいボールを単発的に投げられても継続する事は出来ない。

一球だけで評価するなら「いい投球フォーム」=「いいボール」とは限らない。
が、「いいボール」に安定供給というワードを足すならイコールで結べるのではないだろうか。

「いい投球フォーム」というのは『理に適った投球フォーム』で、自分の意思通りに安定制球を実現できる投球フォームである。