秋季近畿大会・準々決勝(天理対大阪桐蔭)を観戦に舞洲ベースボールスタジアムに足を運んだ。
今春センバツのベンチ入り選手も含まれる部内暴力事件で夏の甲子園予選の出場を辞退した天理。
昨秋と今春と近畿大会を制するなど近年は激戦の近畿地区で目覚ましい活躍を見せている。
奈良大会を3位で突破すると、近畿大会初戦は立命館(京都2位)を相手に3-1で快勝して準々決勝進出。
大阪桐蔭の注目は来年のドラフト上位候補、エース・藤浪晋太郎である。
197cmの長身から、最速148㌔のストレートを放つ豪腕から「ナニワのダルビッシュ」の異名を取る。
中学時代は大阪泉北ボーイズに所属、3年夏には日本代表に選出。大阪桐蔭では1年夏からベンチ入りを果たす。
昨秋は近畿大会の初戦で加古川北に敗れ、今夏の大阪大会・決勝戦は東大阪大柏原にサヨナラ負けを喫する。
あと一歩で甲子園出場を逃している逸材であるが、舞洲まで足を運んだ目的は藤浪の投球観戦である。
二回表、大阪桐蔭は、7番・笠松悠哉の左越え二塁打、8番・白水健太の左前安打で無死一三塁とチャンスを迎える。
9番・藤浪がフルスイングで放った打球が詰まりながらレフト前に落ちるテキサスヒットで先制点を挙げる。
さらに無死満塁で、2番・大西友哉の併殺打の間に一点を加えて、大阪桐蔭が2-0と序盤をリードする展開。
失点直後の二回裏、天理は1番・東原匡志の左前適時打で一点を返す。
藤浪は二回途中で爪を痛めてユニフォームの右側腰部で血を拭いながらの投球を強いられる。
治療後にマウンドに戻ると、ユニフォームには遠目にも視認できる血の跡が残り、驚きの歓声が上がった。
五回表、大阪桐蔭は二死走者なしから4番・田端良基、5番・小池裕也、6番・水谷友生也の三連打で一点を加える。
その裏、天理は東原の左翼線への二塁打、4番・吉村昴祐の中前安打で一点を返し懸命に追いすがる。
大阪桐蔭が3-2と天理をリードする展開で試合は後半戦へと突入していく。
六回裏、天理は二死走者なしから逆転に成功する。
8番・山本竜也に死球、9番・関屋亮に右前安打で一二塁。打順は先頭に戻り東原の中前安打で同点とする。
さらに2番・綿世優哉の右前適時打で3-2と大阪桐蔭からこの試合初めてリードを奪う。
序盤から粘り強く藤浪に食らい付き、離されなかった天理打線が勝ち越しに成功した。
七回表、大阪桐蔭は先頭の田端の右中間への二塁打、笠松の左越え適時二塁打で4-4と試合を振り出しに戻す。
「両校の意地と意地のぶつかり合い」という高校野球中継の常套句が、よく似合う白熱した試合展開。
七回裏、藤浪は二死一・二塁で山本に左中間を深々と破られる適時二塁打を浴びて二点を失う。
さらに関屋に左越え二点本塁打を浴びて、天理が8-4と大阪桐蔭から大きくリードを奪う。
山本・関屋には、いずれも甘く入った高めのストレートを痛打された。
序盤からエンジン全開だった藤浪の投球に目が慣れたのか、ストレートに差し込まれなくなっていた。
痛みに耐えながら投げ続けた藤浪にとって同点に追い付いた直後の失点は精神的に応えただろう。
大阪桐蔭は八回から藤浪に代えて澤田圭佑をリリーフに送るが、天理8-4大阪桐蔭のスコアのまま試合終了。
試合終了後、ベンチ前で藤浪が何度も天を仰ぎながら悔しい表情を浮かべていた姿が印象的である。
あと一歩で逃し続けている甲子園に懸ける想いの強さが伝わって来たような気がする。
「下町のダルビッシュ・吉本祥二」(弊ブログ・7月12日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10950926644.html
「東海大会準優勝・山商、初戦敗退。」(弊ブログ・10年7月19日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10594421642.html