どうなったの?MDGs~ゴール:5お母さん達をまもろう | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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こんにちは。広報インターンの今野です。

今回はミレニアム開発目標(MDGs)5番目のゴールについて、その進捗状況をご紹介します。日本にいるとなかなか意識することが難しい世界の「を、身近に感じていただけたらうれしいです。

ゴール1~4についてのブログもご覧下さい。
どうなったの?MDGs~ゴール1:貧困や飢餓をなくそう!~
どうなったの?MDGs~ゴール2:小学校に通えるようにしよう!~
どうなったの?MDGs
~ゴール:5 お母さん達をまもろう

さて、MDGsのゴール5のテーマは、「お母さんをまもろう」です。
女性にとって、妊娠出産には大きなリスクが付きまといます。先進国では医療の発達によってこのリスクを軽減させることができますが、途上国では産前産後を含めた出産のための医療サービスが整っていないところも多く、十分な治療を受けることができずに危険な状態で出産にのぞむお母さん達もいます。

【出産で亡くなるお母さんたちの人数】

このグラフは10万件の出産のうち妊婦が死亡してしまった件数を90年、00年、10年で区切り表したものです。赤い線は2015年までの改善目標です。(出典:The MDG Report 2012)

・日本を含む先進国における妊産婦死亡件数は10万件に対し16となっています。
 一方でサハラ以南アフリカでは10万件に対し500人が亡くなっています。


2010年の世界全体の妊産婦死亡件数は1990年に比べ47%減少して287,000件と一定の改善は見られました。

しかし、死亡件数
のうちの
56%はサハラ以南アフリカ
29%は南アジア
で発生しており、出産で命を落とす途上国のお母さん達の数は未だに高いままです。また途上国間においても死亡件数に格差が見られます。

ちなみに、先進国にも妊産婦死亡件数の削減目標は設定されています。出産にリスクが伴うことは全世界で共通しており、少しでも出産にまつわる悲劇をなくすために世界全体での取り組みが求められています。


【医師や助産師が立ち会った出産の件数】

 
この図は医師や助産師、ナースなど熟練医療従事者が立ち会った出産の割合を示しています。(出典:The MDG Report 2012)

医療従事者の下で適切な処置を受けながら出産した女性の割合は、

・途上国全体で、1990 年の55%から2012 年に65%へと改善しました。

・南アジアやサハラ以南アフリカでも医療従事者の立ち会い出産の割合が増加

・特に南アジアでは立ちあい出産の割合に大きな伸び

が見られました。

医療従事者が立ちあう事で、出産時にアクシデントが発生した場合にも対応することができるようになります。全体的に見ればまだまだ低い割合ではありますが、医療従事者の立ち会い出産の割合は増加しており、ゴール5の目標達成に向け、前進がみられています

【低年齢出産】

この図は各地域における出産1000件のうち、15~19歳の母親による低年齢出産件数を表しています。(出典:The MDG Report 2012)

低年齢での妊娠出産も、途上国では大きな問題となっています。早すぎる妊娠、出産は母子双方に危険が伴います。

・1990年から2000年にかけて、低年齢出産件数は各地で減少がみられたものの、2000年から2009年にかけては停滞気味になっています。


・ラテンアメリカ地域とカリブ海沿岸地域では2000年から2009年にかけて、前の10年間より大幅な減少を示しました。


・東南アジアでは残念ながら未成年の出産数が増加しています。


低年齢の妊娠出産が起こってしまう原因の1つとしてあげられるのが、妊娠出産に対する知識不足です。

途上国では適切な性教育の欠如によって正しい避妊や感染症予防に対する知識を得ることができず、避妊具などをうまく活用できない現状があります。このことが途上国での早期妊娠、出産の問題につながってしまうのです。

そして同時に周囲の意識改善も欠かせません。早期結婚・出産問題が存在する途上国の多くでは、女の子に教育を受けさせない強制的に結婚させられてしまうなどの慣習が根強く残っています。

こういった文化や習慣にかかわる問題を開発段階から抑制するために、関連法の整備や結婚年齢を遅らせるための取り組みが必要です。

【正しい避妊方法の広まり】

この図は、各地域で正しい避妊方法が広まり、使用されるようになった割合を示しています。(出典:The MDG Report 2012)

手軽で効果的な避妊方法の広まりは、女性に、出産における意思決定の裁量権をもたらしました。また予期しない妊娠や、短期間での妊娠出産の繰り返しを防ぐことで、母子の健康を守ることにもつながりました。

・1990年に比べ避妊具や正しい避妊方法の使用率は増加しましたが、以前にくらべ増加のスピードは鈍いものとなっています。

・サハラ以南アフリカとオセアニアを除く各地域では女性のうちの半分は避妊方法を活用できるようになりました。


今後の課題は、正しい避妊方法をさらに広めていくとともに、出産年齢をひきあげ、低年齢出産を減少させることです。


【最後に】
2015年までに目標を達成するには、まだまだやらなくてはならないことが沢山あります。


先進国に住む私たちにとって、世界の現状に目を向けることはなかなか難しいことです。それでも、「対岸の火事」ではなく自分の立場に置き換えて考えてみることから始めれば、現状を見返すひとつのきっかけになるかもしれません。

できることを一つひとつ積み重ねていくこと。これが、世界と交わした約束「MDGs」を達成することに繋がります。

【参考URL】
・国連 ミレニアム開発目標レポート 2012
http://www.un.org/millenniumgoals/pdf/MDG%20Report%202012.pdf