第3話『覚 醒(後編)』
第3話 『覚 醒 (後編)』
『片桐博士!?』
二人は驚きながら振り返った。
『私の研究では、ソウル覚醒に一番効果的なのは
死に直面させる事だ。』
『リュウ。すまないがソウルを発動してくれ。』
『そんな...博士!?』
と困惑するメグミ。
『メグミ君、わかっているだろう。
ここで、適正者として覚醒しなければ
彼は私達に殺されるしかないんだ。』
『恨むなよ。メグミ。』
そう言うと、リュウはソウルを発動させた。
また、世界が灰色になった。
息が苦しい。目の前が急に暗くなる...
―――真っ暗な世界を、僕は独り歩いていた。
どこまでも黒く、そして静かな世界。
僕の歩いてる道だけが、ぼんやりと白く光っている。
『どこなんだ。ここは?』
重い足を引きずりながら歩いていると
はるか遠くに、小さな光が見えた。
―――何だろう?あれは。
少しずつ、その光に近付いていくと
光の粒が集まってきて大きくなり、やがて...弾けた。
気が付いたら、コクピット中央部の
パネルに埋め込まれた '金属体’が紅く輝き出していた。
その輝きに呼応するかのように
『これは!?』
『適正者として、完全に覚醒したみたいだね。』
『マサキ!!俺の声が聞こえるなら
もう一度、左右のレバーを引いてみろ!!』
とリュウが叫ぶ。
言われた通り、左右のレバーを引いてみると
静かに...だが力強く
そのブラッド・フレームは立ち上がった。
『シミュレーターによる訓練もなしに
この‘烈火’を動かせるとは
素晴らしい‘パイロット適正’じゃないか。
良い人材を見つけてくれたよ。リュウ君。メグミ君。』
片桐博士がそう言っているのが
遠くで聞こえた気がした。
―――全身の力が抜けていく。
僕は、そのまま意識を失った...
(第4話 『ソウルエッジ』
に続く)
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