【転記】戦後補償の問題 ~個人の請求について~ | 矯正知力〇.六

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メモ的ブログ

以下、mixiの猫王さんの日記より転記。

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『戦後補償の問題 ~個人の請求について~』

この問題について
解決済みという意見と、解決していないという意見がありますが
法や道理に即して、解説します


「何いってんだよ!
戦後補償については解決済みじゃないか!
朝鮮人と中国人は、いつまで日本にたかれば気がすむんだよ(怒)」

一方で、コミンテルンの手先にである日教組に支配された反日サヨクは
「国と国との関係がどうであれ
個人への補償まで放棄していない!」

お互い、主張が真っ向対立しています
これについて
アメーバ以下の知能のネトウヨには無理かもしれませんが
猫にも分かるように解説しましょう


◆補償は解決済み派の根拠

「日韓請求権並びに経済協力協定」や、「日中共同宣言」を根拠に挙げます
政府答弁も、それにもとづいて
解決済みだ、個人においても補償の請求権はないと言います


◆解決してないよ派の根拠

個人の補償、すなわちこれは「財産権」の問題だ
憲法でそれが保障されている以上
彼らの被った被害に応じて、補償すべきだ
これは、従軍慰安婦の未払いなんかで、顕著ですね

※1、「財産権」は、現憲法でいえば29条、明治憲法でいえば27条デス


ココで、いったん整理しましょう

◆要は二国間条約と憲法、どちらが優先されるのかということ

解決派は、二国間条約ならびに声明(条約にあらず)を根拠に主張し
してない派は、憲法を盾に自説の有効性を説く
この矛盾する二つの法律の、どちらが優先されるかが分かれば
どちらの主張が正しいかが、分かるのです


◆条約優先派の根拠

判例の論拠も、条約を盾に個人請求権を棄却しているものが多い
それだけじゃないけど、他のモノは後述します

①憲法98条では、憲法は国の最高法規とあるが
憲法に違反する条約に対する優位性を示す規定はない

②憲法81条が最高裁判所の違憲審査の対象として挙げているモノの中に
条約が含まれていない。

③憲法は、国際協調主義を基調としている



◆憲法優先派の論拠

①条約を結ぶ際、その手続き等は憲法に制約されるものである以上
条約が憲法に優先するというのは、論理として成り立たない

②憲法改正手続きは、国民投票も含めて慎重に手続きがふまれるのに対して
条約の締結や改正は、それより簡易な手続きによってなされる
後者が前者を上回ることは、国民主権原理に反している


◆条約優先論に対する、憲法派の反論

憲法を最高法規とする解釈に対して
上述した主張で、条約派が反論したものに対して
憲法派が反論したものです

①に対して

憲法と国際条約についての関係を記述していないとしても
そのことが、条約優位の理由には繋がらない

憲法はそもそも、基礎理念を訴えたものであり
具体的な規定は、法律によるところが大きい


②に対して

①への反論をふまえた上で
列挙された中に、条約がないというが
同時に「条例」は挙げておられず
それを理由に、「条例」が憲法より優先であることを意味するものではない

ここでは、法的なもの一般すべてが、違憲審査の対象と見做すことが妥当である


③に対して

これはうちの常連の読者さんだったら、笑われるのではないでしょうか

国際協調主義を掲げているといっても
これは言わば、「常識」をうたっているものです
法律は、そういう曖昧なものを論拠にしないことは
死刑問題で、何度も紹介しております

そういったものを論拠に法を定める場合は
どれだけそれが受け入れられているかなど
それなりの客観性が必要です

これも「憲法への優先」に、即座に繋がるわけじゃないことは
言うまでもありません


◆条約と憲法、どちらが優先するかを判断した判例

その唯一のものが、「砂川事件」の最高裁判決です
これは安保条約を扱ったものですが
そんな重要な問題は、違憲かどうかなんて
司法が判断することじゃないと
原告側が負けちゃうんです

地裁では、逆に違憲判決がでて、原告側の勝訴でした
それを受けて検察側は、高裁を飛び越えて最高裁に上告したのです

これだけを見ると、どちらが優先するか良くわかりませんよね
ところがね・・・

この地裁判決を覆した最高裁判決は、アメリカの陰謀なんです!
いや、本当なんですってば
コミンテルンや日教組などの、オカルトな陰謀論ではないのです
米国立公文書館で、それを裏付ける文書が発見されたんです

この裁判は、安保条約にもとづくアメリカ軍の日本駐留が
違憲かどうかが、争点の一つだったのです
そこで、地裁の意見判決でアメリカは大騒ぎして
日本の司法に介入したのです
これは、コメント欄に当時の新聞報道を紹介します

日本の司法は、これ以外にも
ときおりおかしな介入をうけることがあるのです

最高裁判決が八百長だった以上
地裁の安保条約にもとづくアメリカ軍の日本駐留は違憲とする判決
要は、この日記の話題で捉えると
国際条約に対して、憲法に沿うかどうかを司法が判断することは
客観性があると言えます
これしか判例がない以上、十分とは言えませんけどね


◆優先論のまとめ

以上、みてきたように
憲法が優先されると見るほうが、妥当なのです


◆判例にもとづく解決済み諭

判例の多くは、条約にもとづいて
原告の請求を認めていないだけです
だから、判決そもそもが間違いです
以上

これではあまりにもなので、補足を

まず、諸判決は
憲法が条約より優先されることを前提として進められております
要は、憲法優先であることを追認しているわけです

そして最近の一連の裁判は、財産権の請求権を、実は認めております
このことは同時に
「戦時中のことを、現憲法は想定して作られていない」
「明治憲法下の『国家無答責の法理』を持ち出して、財産は無効だ」
そういう屁理屈を、退けております


◆んじゃ、なんで裁判で負けんだYO!

それがビックリ仰天なんでさー
(所用でPCの前の言ったりきたりで、面倒くさくなってきてる)

最近の戦後補償を求める裁判では
司法は、補償の対象になるような事実は
どれも概ね認めています
強制連行の有無とかね


そして、広島の西松建設の強制連行・強制労働に対する補償を求めた
広島高裁の裁判では
それらの事実を認めた上で
個人の賠償請求権を国家は放棄することができないと明快に否定しました

ここまでも、大雑把ではあるけれど
概ね最近のどの裁判でも、ここまでは認められております

んじゃ、なんで負けるんの?
個人請求が認められないのってことなんですけどね
二つ、トンデモな理由があるんですね


〇理由その一

個人請求権(財産権とか)は認めるけど
それを法律上もとめる権能は認められない

何いってるか、分からないだろ?
俺も、なに言ってるのか良くわらかないんだ
正確にいうと、俺じゃなくて裁判所の判事な!

分かりやすくう言うと
レイ子さんが、「住居の自由」を侵害されたとして
裁判に訴えたとするわな

判決は、レイ子さんに「住居の自由」があることは認めるよ
侵害されていることも認めるよ
でも、それを裁判で訴えることは認めないYO!

分かりやすい説明だけど、それでも何いってるのか
分からないだろ?
俺も分からん

権利はさ、その精神と行為は、分離できないんだよ
もう具体的な何かの権利となった時点で、素数なわけ
これ以上、因数分解できないわけだ

こりゃ~裁判所の、苦し紛れの言い訳なんだな
確か、原爆被害に関する訴訟なんかでも
同じ屁理屈が使われていたと思う

ところで、これは何の裁判だったか、ちょっとド忘れした
申し訳ない
思い出してから書け?
そう自分でも思うけど、堪忍してくれ
要は、「戦後補償に関する個人請求権があるのかないのか」
その概略さえ分かればいいんだから


〇理由その二

もうおせーんだよ!
時効(正確には「除斥期間」)なんだYO!ってこと

憲法が条約に優先するのは当然として
事実関係は認めるよ
請求権も認めるよ
でも、排斥期間で、請求自体は認めないよん
そいうこと

実際、戦後補償に関する裁判でも
最近は、これのオンパレードだ

「排斥期間」は民法にも規定があってさ
一見、根拠があるように思える

だーけーどー

この「排斥期間」ってさ
超大雑把にいうと
アパートなんかに、どんだけ住んでられるかってことや
金を貸したほうが、借りた側が金を返すことに抵抗するような行為を禁じる
そういう期限に対していってるモノです

それを、戦後補償みたいな問題に適用していいのかという疑問があって
実際に判決(2002年福岡地裁)でも
要約すると、以下のように言っている
「本件強制連行及び強制労働の事情を考慮すると
民法の排斥期間を適用して、その責任を免れさせることは
正義、衡平の理念に著しく反する」と言ってます

じん肺訴訟などの公害訴訟なんかでも
この「排斥期間」を理由にして
請求を退けられてきたんだけど
最近の判決は、それをあらためる傾向にあります

まだまだ、個人請求まで認めることについては
おかしな判決が多いですけど

2001年の強制連行一次訴訟(劉連仁訴訟)一審判決
2002年の強制連行福岡訴訟一審判決
2004年の強制連行新潟訴訟判決

これらのように、近年では
原告の被害を認定し、国ないし企業の賠償責任を認める判決が出されています

日本と同じような立場のドイツでも
2000年には「記憶・責任・未来」基金を設立させ、
国と企業が折半する形で出資し、被害者に対する賠償に着手してるんだな


あと、これは知らんかったけど
最近の国際社会の認識としては

「重大な国際人権法・国際人道法違反(奴隷制・強制労働・ジェノサイド・拷問など)の場合、国家は被害者の賠償請求権を自由に処分できない」(五十嵐正博『世界』2007年4月号、岩波書店、64-72ページ)

だそうだ


◆まとめ

・「戦後補償問題は解決済み」じゃないよ!

・学説なんかも、概ねココに書いてある通りだよ!

・裁判所は、オカルトな判決だすな!

・判例にも、根拠が乏しいよ!

これには、元裁判官だった人の言葉を紹介しとこう

「法律の問題が争点となっている事件では、裁判官はその点に対する判断も理由欄に示さなければなりません。そのために裁判官は法律学者の書いた法律書を読み、勉強に励むのです」

以上、『狂った裁判官』 井上薫 幻冬舎新書 P.122より引用


請求が認められるかとうかの問題は
どっちにしたって、愛国主義者さんがいう
「戦後補償問題は解決済み」という主張とは関係ないんだけどさ


追加しとこう

『日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約』では
終戦後に死亡した者の遺族、傷痍軍人、被爆者、在日コリアンや在サハリン等の在外コリアン、元慰安婦らは補償対象から除外されてるね


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>上記の方々を保証対象外としたのは、日本、韓国どちらの政府なんですか?御存じでしたら教えてください。

>私が調べた限りでは、最初日本は、韓国側からの証拠資料提出を条件に個別補償をすると申し出たが、向こうが個別補償の割り振りは、韓国政府自身がするので日本は韓国政府に補償金を一括して支払って欲しいと言われて、そうなったはずです。

>その際日本が、上記の方達を最初から補償対象外として補償金を支払ったのか、それとも日本側からは特に補償対象者を規定せず、補償の受給条件など詳細は、韓国政府に任せるといったかたちで一括して補償金を支払ったのか、どちらなのかがわかりませんでした。後者であれば除外したのは韓国政府自身となります。


>私が言っているのは、当初日本側から個別補償をすると申し出ていたことを考えれば、韓国政府側からの一括払いして欲しい要望がなければ、国家単位の戦後賠償とは別に、個人単位の戦後補償も為されるような内容になっていたのではないかということです。

>はっきり言ってしまえば、韓国政府が個人単位の戦後補償分の費用を、自国民には知らせずに、戦後賠償分に組み込みネコババし、一方、日本側とは「両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」といった内容で、アナタの指摘からすれば、本来、国民の間の請求権=個人請求権の問題は国家間の合意では解決しようがないのに、勝手に合意したと言ってだまくらかした。

>日本政府側も、ちょこちょこ個人単位で言ってこられるより楽だろうと安易に騙されたのかもしれないが、私は当時の韓国政府側のやり方も事態を複雑化させているように思う。

>元慰安婦各個人の裏付けがきちんと取れているなら、確かにその個人の請求権はあるのかもしれない。しかし、当時とは政権が違うとはいえ、韓国政府としてはそうした経緯を継承し、事態の複雑化に加担していた側にいるわけだから、もう少しマトモな交渉の仕方があるように思うということです。


区別がついてないですね
戦後賠償と戦後補償は違うし
個人の財産権の話は、条約の中で話し合った事とは異なります

だから日本の裁判でも、この日記で書いたとおり
従軍慰安婦問題の事実を認め
財産請求権も認めているわけです


何度も申し上げますが
賠償と補償は異なります

外交保護権として、個人に被害を与えることを通じて
国家の主権が侵害された
そういう意味での個人補償を、外交保護権といって
それを条約や協定で解決しただけであって

個人が、自分の補償を請求する権利は
なんら、条約や協定では定められておりません
関係のない話です

ごくごく当たり前の話ですが
後者は、経済的自由権である財産権であり
それは、条約において破棄できるというような性質のものではありません

だから、「個人の請求権」については
日本政府も、認めているのです


詳しくは、ここに書いてあるから、よく読んでね
「日韓協定によって解決済み」論に対する 山本弁護士の反論

一部分だけ抜粋すると

1992年2月26日衆議院外務委員会 
「柳井政府委員 …それで、しからばその個人のいわゆる請求権というものをどう処理したかということになりますが、この協定におきましてはいわゆる外交保護権を放棄したということでございまして、韓国の方々について申し上げれば、韓国の方々が我が国に対して個人としてそのような請求を提起するということまでは妨げていない。しかし、日韓両国間で外交的にこれを取り上げるということは、外交保護権を放棄しておりますからそれはできない、こういうことでございます。
…その国内法によって消滅させていない請求権はしからば何かということになりますが、これはその個人が請求を提起する権利と言ってもいいと思いますが、日本の国内裁判所に韓国の関係者の方々が訴えて出るというようなことまでは妨げていないということでございます。



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参照
【転記】「日韓協定によって解決済み」論に対する 山本弁護士の反論

【転記】戦争補償の決定版


【転記】+慰安婦問題 日本側の公文書だけを見ても強制の事実は覆らない+


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>国家って道徳的存在ではないし
そうであってはイケナイので
基本的に謝罪というような倫理的行動はとれないんですな

これは主観であって、根拠がありません

保証や補償は、個人であろうが、集団犯罪であろうが
それが国家であろが、規模が違うだけで変わりありません

被害は、保証し保証する
そういうルールがなければ、やりたい放題で
社会が存続できません

そして今の時代、多くの国は経済でもって共依存の関係にあり
相手なしでは、生きていけません
日本の大きな百貨店や家電量販店を含む流通業界は
外国人客の存在抜きでは、存続できません

ゆえに、政治的(政治は経済関係の調整が主)にも
国際協調の道を歩まないと
恐慌が起こって世界が滅びます

あと、もっと小難しいことをいうと
人権は、資本主義経済の必要条件なので
人権侵害(経済的人権)に対する保証、補償をしなければ
今の社会を根底から危機に陥れることになるので

補償・保証という仕組みが欠かせない
のです

国家間の問題に、倫理など基本的に関係ないですし
私は一切、倫理について語っておりませんし

「あやまっちゃいけない」
なんてのは、何の根拠もない事で
現実世界、社会の構造・原理を無視した話しです


民主国家の謝罪は
議会決議というかたちで行います
日本だと、国会決議です
それは、議会が主権者の意見を代弁する機関だからです

アメリカなどは、過去の戦争について
何度も謝罪の決議を行って
正式に国会として謝罪しております

想像や思い込みだけで物事を判断するのが
いちばん良くないし


これはなかなか難しいと
本心では思いますが
中学の社会科の教科書をよく読むと
国会の謝罪、国会決議の論理は記載されております

以前、私が書いている事は
小難しい理論をたまに書くけど
それ以外はみんな義務教育の教科書に載っていると、私がコメントしたのを見て

ホントかよと思って義務教育の教科書を読んだら
本当に書いてあった(直接的な記述でなくても
類推できる)
と仰って、私の正しさを理解されてました


最後に、私は社会を変えようとしているので
どんなに丁寧に解説しても、分かる人と分からない人が
どうしても出てきます
なので、最大公約数的効果を得ようと
不特定多数を相手にしておりますので

誰か特定個人が、分かるまでお相手することもしません
きりがないですから

なので、ほぼ全てのみなさんの疑問に答えるよう
最初に全て書いてあるのです
そこから外れる質問のほとんどは
質問者の主観でしかなく、基礎的な、義務教育で十分分かる範囲のことを
理解されておられない場合です

人は信じたいことを、信じたいようにしか、信じようとしない
そういう傾向にありますが
人間の知性は、当然そこを超えることが出来ますが
信じたいことに固執されると、宗教と同じなので
対話は成立しなくなるのです

とにかく、よくお考えになって下さい



「社会秩序を失う」
というのも、説明しとこう

社会(世界でも国家でも学校でも地域でも家庭でも)は
どうしても関係を続けていかなければ
その社会が破綻する危険性がある
そういう社会関係がある

だから、それを乱さないように
関係を保たなければならない

現実の世界に目を向けると
日本、中国、アメリカは、経済的に共依存の関係になり
互いが、互いの存在を必要とし
相手を失えば、生きていく事ができません

なので、日中米は戦争なんて出来ず
多少のいざこざはありつつも
仲良くしていかねばならないのです

日韓の関係も、かなり依存しあっておりますが
日韓が戦争すれば、同時にアメリカや中国にも
経済混乱は波及するので
やっぱり戦争は出来ません

悪い事すればあやまれっていうのは、幼稚園だか小学校だかでも習うというのは
そういうのを、小難しく書いても理解できない人のために
平易(やさしく)に書いたのです


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【転記】経済相互依存
【転記】集団的自衛権・自衛隊合憲論を斬る~法治主義とは