あん | 花鳥風月文々草紙

花鳥風月文々草紙

独身女と愛しの文鳥との平和でのほほんとした日々と、料理や好きな手芸や音楽と言った趣味のブログです。

予告編観た時からどうしても観たくて・・

原作も読んでしまいましてねにひひ

地味だけど、深くて悲しいお話でした。


どら焼き屋の雇われ店長千太郎。この店の常連ワカナ。

ある日、バイト募集の張り紙を見て吉井徳江と言う老女が

訪ねてくる。一旦は断った千太郎だったが、

彼女が持ってきた粒あんのあまりの美味しさに驚いて

あん作りをやってもらう事に。

徳江の作るあんの美味しさに店は大繁盛するが、

心無い噂が広がっていき、三人の運命が大きく

変わっていく・・






 


 徳江はハンセン病で、全てを、名前さえ奪われて

 少女の頃から世間から隔絶されて生きてきました。

 そんな彼女が言います。


 「私達はこの世を見るため聞くために生まれてきた。

 この世はただそれだけを望んできた。

 だから何かになれなくても、私達には生きる意味がある」


 千太郎も悲しい過去があります。

 罪を犯して塀の中に入らなくてはならず、

 その間にたった一人の肉親である母を失ってしまいます。

 徳江は母と同じくらいの年で、つい母親と重ねて

 観てしまって・・

 徳江も子供を失った過去があって、

 それが千太郎と同じ年くらいで、お互いにそんな思いを

 抱き合います。





徳江が煮るあんは美しく、千太郎と共に小豆を煮る様子は

ドキュメンタリーのような映像でした。

女性監督ならではのきめ細かい映像で、

二人のやり取りが実に自然でね。


世間から離れて来たからか、

徳江はまるで少女のように無邪気で、実に可愛らしい。


原作だと、ワカナが白いブラウスを持ってくるんです。

ハンセン病がわかって家を出る前の晩に母が徹夜で

縫ってくれたブラウス。

療養所に着いた時そのブラウスまで取り上げられ、

泣いた徳江。

そのブラウスを取り返したと彼女の友人が言います。

映画だとその場面が無くて、それだけが残念でした。


先の言葉は、全てを奪われた徳江の心の叫びなのかも。

長い間苦しみ抜いて、やっとたどり着いた言葉。


鍋の中の小豆に「頑張るのよ~」と語りかける徳江。

小豆が見て来た風景を思えと言う徳江。

閉じ込められ、見る事を許されなかった彼女の

ささやかな夢だったんだろうか。


店をやめ、満開の桜の下で屋台でどら焼きを売る

千太郎の「美味しいどら焼きいかがですか~」

の声は希望に満ちていて良かったなぁニコニコ


この作品を観た後、どら焼きがつい目に入るんですにひひ

千太郎のどら焼きはどんなだろう・・って。




毛皮反対の絵本です、読んで下さい
http://moru.art-studio.cc/art/book.htm






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