学校で教えてくれなかったこと ~Work Smart | カリフォルニアの建築家日記

学校で教えてくれなかったこと ~Work Smart

【学校で教えてくれなかったこと】 Posted Reading Time Approx. 12mins

自分に暗示(自己催眠)をかける。→D流 自己催眠術を読む

こうすれば行動力を自由自在に使いこなせることができる。
世界中の成功者がもつ唯一の共通点。

「全ては想像から始まり実際に行動することで夢を現実に結びつけること」
だったね。 

つまり行動として自分を動かせることができれば、最初で一番重要な困難を突破したというわけ。


Hmmmmmmmmmmm。


「行動すれば必ず成功する。。でもただやるだけじゃダメだよなぁ。」

行動力を身につけても決まった時間内に達成するとは限らない。
誰だって時間をじっくり掛ければ必ず目的地に到達できる。
ある人は40年かかったり、ある人は5年で達成したり。
早ければ良いということではないけれど、ダラダラ長~い時間をかける必要は無いと思うナァ。

Doers の考えは「今やって長~く楽しむ」→関連記事を読む
そのために努力する。
そのために「努力の仕方」も一つ一つ検証する。


だから「常識は常識ではない」と考える。


Work HardではなくWork Smart :)

今回はそんなWork HardからWork Smartに変化するプロセスを紹介するね。

みんなの人生で何かのヒントになればいいなぁ。




【時間がない。。言い訳が聞かない】
~Freak (フリーク・変人/風変わりな)だからできたこと

USC (University of Southern California)時代
http://college.usc.edu/life-in-la/

アメリカの正規建築学部は5年制なんだよね。
一年生からデザインスタジオは始まり、一般教養と同時に勧められるプログラムはUSCでも「フリーク」(キチガイ?!)が集まる学部として知られている。
5年制といってもプログラムがカバーする内容は7年分あり、卒業時にはプロフェッショナル学位となる。 そのこともあり世界中から「Freak」(フリーク)が集まってくる。汗

しかし、膨大な内容を5年間に圧縮することは無理が生じる。現在カリキュラムを6年生にする延ばす検討が話題になっているのはそのため。また5年制プログラムの卒業生の殆どは大学院(2年制だが内容は5年制プログラムの4-5年と同様)に進まない理由もここにある。

「どこかでシワ寄せが。。」

あの言葉がピッタリだったな。 
短期間に学ぶ量は半端じゃなかったよ。
次々と建築理論を学んでは次の日にはデザインした作品を提出しなければならなかった。 でもそれだけでは終わらないだよね。
提出してから、自分でその内容を発表しなければならない。

つまり、学ぶことは前提に置き、自分なりにデザインを立ち上げ、図面、モデル、パース等を制作して他人にプレゼンしなくてはならない。

学ぶことに時間をかけている暇がないってわけだけど、実際は。。。 

しかもプレゼンには結果がついてくる。 
つまり教授が納得できない場合はパスできない。。
パスできないとやり直し、時間内にできないと落第。

いたってシンプル。

落第する言い訳はまだまだあった。


「英語ができないので、理解に時間がかかるんですが。。。」

「英語でなかなか説明ができないのですが。。」



そうすると決まって、

「英語ができないって? だったらあんた、なぜここに居るの?」
という具合だ。


入学時は90人程度、卒業時は30人弱。

入り口も狭ければ出口も狭~い建築フリーク学部。
好きで夢中にならなくっちゃ絶対に終了できないプログラム。
だから「フリーク部」と言われても当然だよネェ。




【もがきながら生き延びる】

「わぁ~。ここがUSCかぁ。」

そんな余韻に酔っていたのは入学説明日から授業が始まる1週間だけだった。
一般教養のクラスはイメージしていたものと似ていたが、
建築デザインスタジオのクラスは独走したスタイルを持っていた。


スタジオは月、水、金。13時から18時までのコース。

初めての授業ということでスタジオに集まった生徒も緊張した表情だった。
ジーパンに白いシャツを着たちょっとインテリなクリス教授が入ってきた。



「諸君、入学おめでとうという言葉はもう両親から聞いたと思うので本題に移ろう」


「まずこの本とこの本を明日までに読むこと。 この授業はデザインのクラスだから“読書の授業”で終らないように。」



「ははは。。。」
緊張がほどかれる内容でみんなにも笑顔が戻った。。



「それから。。学んだ内容をここの国のこの場所に建てると想定してデザインを起こしてください。。水曜日にこのスタジオで君たちの素晴らしいプレゼンを期待しているよ。」


「そうそう、図面の描き方がわからない人は来年またチャレンジしてくれたまえ。。」




そう言うと彼はスタジオを去ってしまうじゃないか。。。


「。。。。。。 汗」


「ご存知だとは思いますが、ここの建築学部はドラフティング(製図を描く作業)の授業はありません。だからみんなで助け合って学ぶこと」

教授助手のニックはそう言うと課題に必要な購入すべき本の番号を教えてくれる。



大学内のブックストアーに行ってみると驚き。
もう既に他のスタジオの生徒(各スタジオは10-15人と分けられている)が殺到していた。


「なんだこれは。。」


自分の番まで来る頃にはあと5冊も残っていなかったかな。

「まだ後ろには沢山待ってる人がいるのに。。」

そんなことを思いながら購入した2冊の本。。っといっても辞典のような厚さだった。


内容を恐れ恐れ見てみると予感が的中。


「全くわからない。。。」


建築空間学や理論、宗教、その国が抱えている社会的問題、モラル表現。。

何から何までわからない。。
辞書にも乗ってない文字まで当たり前のように書いてある。

スタジオで知り合ったディーバに聞いてみる。

「私だってわからないわよ。  ほら。」

そう言うと彼女も英字辞典を必死に使っているじゃないか。。

「これはまずいことになった。。ローカルでも難しいのに、このままじゃ。。」

あの時から時間との戦いが始まった。




最初に自分が取った行動は「時間との戦い」




【時間との戦い】~Work Hardの時代

1日に与えられた時間は24時間。

朝の授業からスタジオまで、つまり日中は授業に出ているわけか。。
食べる時間、シャワーを浴びる時間、トイレの時間まで計算するはめに。。

削ることは削り、残ったものは「寝る時間」。


最初は徹夜状態で勝負する。 ←レベル1:とりあえず始める。。


日本で言う「気合い・根性」のみで戦った。

徹夜で徹底的に文字を調べまくり、読み続ける。
調べ方も半端じゃない。
読みながら調べるのではなく、まず全てわからない文字を調べる。


「作業分担」することで読む時間を縮小した。→関連記事を読む(作成中)
↑レベル2:Batchingの力を体感する


必死の努力でなんとか読み終わるが、スタジオ当日の午前5時になっている。
これからデザイン、模型を造るが朝の授業まで3時間しかない。
当然、デザインなんてわからないし、何を造っていいのかわからない。


なんとか形にはなったものの、アイデアもコンセプトもない。
アイデアなんてないから、当然デザインに理由がない。。
唯一あるなら「制限時間内に仕上げるためのデザイン」といったぐらいだった。


プレゼンはそんな強制的に出来上がったデザインが生むシンプルな形が功を生かし、説明しなくてもわかりやすいデザインだと評論された。 


こうやって、なんとか「Pass」していった。


スタジオは日に日に厳しくなってゆく。
読む量が半端ではなかった。 辞典みたいな本は満更。
図解がほとんどない。。600ページの本は普通、
時には3-5冊の本を3日で読まなくてはならない。


「このままでは読むだけで精一杯。 読書の授業で終わってしまう。。。。」


読むだけではない。。 読んだ内容を覚えなくてはならなかった。

必死になって読んでも頭に入ってこない。。。

だからまた時間がかかる。  でも締め切りは待ってくれない。。



「気合い・根性だけでは生き残れない。。。」
野性的に思ったんだ。。。



「何かを大きく変えなければ。。」



人は54時間ほど起き続けると人ではなくなってしまう。
自覚症状になったり、指が震えてきたり。

体温もどんどん低下していく。

集中力が切れると直ぐ気を失ってしまう。

そんな状態で学ぶことなんて考えてみてもおかしい。

確かに奇妙な創造を沢山したけれど。。


「何かがおかしい。。 」
 

「いや。絶対におかしい。  このプログラムは。。」


カリキュラムに問題があると不平を言い始め、
生徒達が集まり学長へ抗議する運動も度々あったんだ。

問題をシェアする仲間が増えると団結力が増す。
時間が限られ入るのに、また自分たちでもっと時間がかかる事をする。


当時Dean(学長)であったボブは決まって、
「だったら来年また戻りなさい。」っと笑顔で返答する。。。


「。。。そうくるか。。苦悩」


今となって考えるとあの時期は「Filtering」(フィルターリング)といって
“ザルさらい”と同じ効果があったんだよね。


「ただ興味があるから」だけじゃ十分じゃない。
中途半端で世間に出したら、後で後悔するから。。。


現実、最初の三ヶ月で学部から去った生徒は20人以上いたよ。
一生懸命入学してきたのに3ヶ月でチェンジというわけだ。 



「ザルさらい」にはとても効率がよく効果も高いプロセスだよね。。 



とにかく、みんな試行錯誤しながら独自にサバイバル方法を見つけていった。


最初から頭が効き、課題をこなす者
お世辞を使いながらクラスをパスしていく者
努力努力でなんとか生命をつなげる者
人のデザインを盗んで課題をパスすることを試みた者も沢山発生した。
ドラッグを使って「起きつづける者」。。。もいた。 

とにかく、みんな必死だったなぁ。
火事場の馬鹿力じゃないけど、早すぎて不平を言っている暇がないというか。。



【やどかり族】~スタジオ2年生 Arch201

凄いよね人間って。 それでもパターンを見つけて生き延びる。
1日平均睡眠時間3時間、当然週末無し、一週間に読む本、平均4.6冊(+/ー450ページ・冊)、一般教養のクラス(英語、歴史、人文学など)を入れると膨大な量になる。 ただ読むだけではなくて、理解して記憶していく。

デザイン時間(歩く時、授業中、食事中、トイレ?睡眠中。。)、
モデル制作時間(最低24時間、ファイナル120時間)、図面作成/プレゼン準備、etc.
足し算をしてみると、どうしても1日24時間では足りない。。


節約できる時間はとことん取り除く。
その結果。。。一年後にはスタジオに住み着いていた。
↑レベル3:一生懸命(Work Hardの限界を体験する)

自分だけではなかった。 「スタジオ族」と呼ばれた変人の集まりは、与えられたセクションを改造して寝床を造り、食事もそこで済ませる。夜はガンガンに音楽を掛けまくり、深夜にみんなで校内をマラソンしたり、隠れてスタジオ内にショットバーを段ボールで造ったり。。 ちょっとしたパーティーを連夜続けることで睡眠に落ちることをお互い避け合っていた。 翌年スタジオが変わるとまた、自分にあった宿(やど)を造る。 毎年ちょっとした名物にもなっていった.

スタジオのクラスに着いていくことで精一杯の自分にとって、一般教養のクラスはどうしても時間が回らない。

建築内容も理論や専門知識が要求され「時間」+「記憶力」+「応用力」が試される。


物理的弱さはなんとかこの“やどかり族”でカバーしていたが、
内面的弱さ、そして決定的な能力に限界があった。


「だってそうだよな。ここまで来れたのも凄かったしな。」


眠い、辛い、おまけに言葉の壁、さらに覚えが悪い、だからもっと辛い。。

当時自分ができる限界だったよ。。


「もうだめだ。。絶対にもたない。 こんなんじゃ保つわけがない。。」


「頑張ってるけど、覚えられないんだよ。。 
  真剣に覚えようとしてるのに覚えられない。。」


とても悔しかった。 内心では既に負けていた自分を認めたくなかった。

でも強がりも続かない。。。


Game Over。。。」 
レベル4:一度諦める。。。


USCでは当時3年生のトップ5と4年生のトップ5(計10名)が特別学生として選ばれ、ヨーロッパ・イタリアに交換留学できるプログラムを始めたばかりだった。 入学時このプログラムの存在を知り、当時の夢であったヨーロッパ留学。 2年生後学期に申し込みはしたもの、当然トップ5は雲の上。 それどころか卒業はこのままでは。。 まさに無念。。。悲


「両親や友達にはどうやって説明すればいいだろう?」




【幻のレポート】

一度’負け状態”を創造し始めると全ての事柄に言い訳をつけたくなる。


「今までできたことすらラッキーだった」とか

「どうやって日本へ帰ろう」とか

「どんな言い訳をしようか?」とか



考えることは過去・未来。 

現実に起きていることを見たくない。
正直、認めたくなかったんだ。

そんな時、当時課題であったDance Barのデザインでダンサーの心理や音楽(タンゴ)の構成などをリサーチするために、大学内のメイン図書館へ行ってた。

ダンサーが踊るときの心理を少しでも理解することで、空間の質や光の入り方などを学んでおきたかった。

早朝から図書館へ行き、心理学やの脳に関するセクションを訪ねた。

「心理。。かぁ。。」


普通では絶対にページもめくりたくないような内容の本が沢山所狭しと並んでいた。
そんな中、「The BRAIN」という同校卒業生が書いた卒業論文らしい書物があった。

引き呼びさせられるようにレポートを開いてみると、こう書いてあった




“THIS WILL CHANGE YOUR LIFE”

「これが人生を変える。。。?」




内容は至ってシンプルだった。

1脳は魂ではない
2今までわかっている脳の実態

そして、
3記憶と感情の関係



午前中の授業、そしてスタジオのスケジュールも忘れ
取り付かれたようにその本を読んだ。

専門用語ばかりで◯◯神経や◯◯作用、
詳しい内容は覚えていない。


でもね。。。、徹底的衝撃があったんだ。


「これを応用すれば覚えられる!」

後日週末、脳に関する本を読みまくった。
幸運にもBrain Science(脳科学)は全米でも進んでいる学部であり
わからない時は直接教授やドクターに聞いてしまう強行突破の手段をとった。
当時はまだウェブで調べるなんてことはできなかったからねぇ,←Googleも無かった時代。。悲


当時の記事はないけれど、いろいろな脳に関することを平行して学んでいったんだ。

脳科学に関する質問:
→ http://www.usc.edu/schools/college/bci/
→ http://www.brain.riken.go.jp/index_j.html


一般に言われている覚え方
→ http://www.wikihow.com/Memorize

記憶と感情の関係
Autobiographical memory 自伝的記憶 

→ 
http://en.wikipedia.org/wiki/Autobiographical_memory

Affective memory 感情的記憶 
→ http://en.wikipedia.org/wiki/Affective_memory


当然、ドクターは記憶をするマスターではないから
記憶の仕方なんて教えてくれない。 でも脳の仕組みを知っている。
野球でいったらコーチみたいなものだ。


「自分はそんなコーチから学ぶプレイヤーになってしまえばいい。」

もうあの時は完璧にクレイジーだったなぁ。
だって他の学部の教授に授業でも関係ないことを聞きにいっていたのだから。。


そんな事をしながら、自分に必要な箇所だけを学び実践に取り組んでいった。



【Work Smart :)】~レベル5:Breakthroughする

世の中には一生懸命頑張ってもダメな時はダメな場合が沢山ある。
一生懸命頑張ることで自分は満足しているようだが、決して効果があるとは限らないんだよね。

一生懸命やってもダメな時は2つしか脱出方法はない。
1 状況/環境を変えてしまうこと
2 自分を変えてしまうこと

学生にとってカリキュラムを変えることは不可能。教授達が考えて造ったものだからそれなりに意図があった。時間を短縮するためにスタジオに住み込む。 これぐらいしか環境は変えることができない。

残ったのは「自分を変えてしまうこと」
Accept change myselfっというわけ。

いろいろな情報や「噂」を集めて自分なりにまとまったのが
「理屈より効果ありの記憶法」

「覚える時間」を短縮することで、デザインに必要な時間を20%増やすことができた。
またこの覚え方は丸暗記ではないので、時間が過ぎてもきちんと覚えている。。
つまり「知識となる覚え方」というわけ。

→ D流 記憶法を読む  
http://ameblo.jp/e-volution/entry-10377226017.html


翌月、同じようなプロセスで「頭で読まない読み方」も習得。 
当時90%の時間を「学習」に使い、残りの10%が「デザイン作業」となっていたが、
この変化を導入することで、35%の時間を「学習」、50%を「応用/デザイン作業」に費やすことができた。

→ D流 速読術を読む(作成中)



「あれ? 100%じゃないって。。残りの15%は?」

それはシンプル。 「睡眠・遊び」にまわしたわけ!

結果、3年生後期、ギリギリでトップ5に滑り込み!
翌年、夢であったイタリアに短期留学するプログラムを体験することができ、
人生が変わる経験をする。

ヨーロッパ留学を終え、残りの4、5年はファイナルの前日に
「映画を観る習慣」を達成。笑

締め切り2日前にプレゼンを全て終わらせるプロセスを完成できたんだよ。


“THIS WILL CHANGE YOUR LIFE”


あのメッセージは本当だった。


卒業から数年たった頃、もう一度メイン図書館を訪ねたことがあるんだ。
あの The BRAINを探しに。



いろいろな方面から探してみたけど、見つけることができなかった。

今となっては「幻の一冊」。



「あのレポートがきっかけで身に付けた変身術。。。。。」

「あのレポートの今どこに。。。
   それとも本当に幻を見ていたのかナァ?」





追伸:沢山のハロウィーンプレゼント本当にありがとう!


追伸:今日は両親の誕生日!(そうなんです。歳は違うけど同じ誕生日。。)
お父さん、お母さん、誕生日おめでとう!。
いつも仲良く、これからもいろいろ楽しんで、生き生き頑張りましょう!





See ya,


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