オシャレ魔女「ラブ and ベリー」 | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

オシャレ魔女「ラブ and ベリー」

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白倉 伸一郎
ヒーローと正義


福本 伸行
カイジ―賭博黙示録 (1)



ルイ・アルチュセール,
再生産について―イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置

 今朝、長男が自宅にて通信教育模試らしく、邪魔で喧しい小生と次男(7歳)は、近所のイトーヨーカドーにて約3時間、時間をつぶすことを強いられた。

 「ムシキングやりたい」と次男は言う。向かう。ムシキングとオシャレ魔女ラブandベリーのアーケードマシン機が並んでいる。今年の夏は、オシャレ魔女ラブandベリーの行列(子供達の順番待ち行列)のほうがムシキングより長いような気がする。


 オシャレ魔女ラブandベリーが登場したのはおそらく昨年の冬頃だったと思う。女房と「(ムシキングの)次は女の子がターゲットか!」と驚いたのを覚えている。それから、ずっ~と、どんなゲーム内容なのか、どういった音楽性なのか気になっていた。で、今日は息子のムシキング・バトルを後ろで見守りつつ、横目でオシャレ魔女ラブandベリーを観察。ちょっと乃至かなりアブナイ人化する小生。


 ムシキングは「昆虫採集とじゃんけんの融合」であった。ご存知でない諸兄・諸姉のために一応解説。100円で昆虫(or 技)カードを購入しつつ、自分のコレクトしたカードをスキャンさせて、自分のヒット・ポイント、技ポイントを上げる。で、その後に繰り広げられるゲーム・バトルは…………。単なるじゃんけんだ。グー||チョキ||パー何れかのボタンを押す。コンピューターもどれかを出してくる。じゃんけんで勝てば、次へ進む。巧みなCGで昆虫バトルが描かれる。基本的に3ステージ構成で、初回ステージでは、「敵は得意技でせめてくるよ!」などのヒントがある。敵コーカサス・オオカブトの得意技は、パー(=ローリング・ドライバー)だから、「チョキを出せば勝てるな」と子供達は考えて作戦を立てる。後半ステージではヒントが出ない。長男によれば、何かしらのコツがあるらしいが、そこまでは小生は知らない。だが、だが、たかが、じゃんけんである。100円払って行うじゃんけんである。少なくとも、小生の少年時代、インベーダーゲームで求められた反射神経は、そこでは求められていない。


 女の子版であるオシャレ魔女ラブ and ベリーが音楽リズム系(っていうのかな? つまりビートマニア系)であることは遠巻きに見て知っていた。100円を投入し、カードを手に入れる。カードに描かれているのは、、スカート、パンツ、ハイヒール、ブーツ、水着、ドレス、靴下、アクセサリ、そしてヘアスタイル(→参照:カード一覧 by SEGA )。季節ごとに「2005年春夏コレクション」と題して、新カードがリリースされる。

 ゲーム開始、女の子達は自分のコレクション・カードをバーコード・スキャン。選択されたゲーム・キャラクター(ちょっぴりドジで可愛い「ラブ」||冷静でクールな「ベリー」)は、着替えを始め、ユーザのカスタマイズした通りの衣装を装着する。デフォルト清楚なベリーが、ユーザの嗜好性に応じ、金髪に、あるいは、大人っぽく、あるいは、若槻千夏風に変わっていく。ユーザ(子供)は将来なりたい自分像を描くのだろう。背後で見守るユーザの父(子供のお父さん)は胸中、何を思う?


 着替えが完了したら、ゲーム・ステージへ。ステージはムシキング同様、3構成。2択可能でのべ5種類のステージがある(仕様紹介ページ by SEGA )が、基本は、


 1) お洒落してストリート・ダンスでライバルと争う

 2) アイドルになってお洒落してコンサートでライバルと争う

 3) お洒落して舞踏会で王子様と踊る


という展開。ライバルは選択されなかったキャラ(ユーザがラブを選択した場合、ライバルはベリーになる)。勝敗はスキャンされた「オシャレポイント」の合計値と、ゲームでの取得ポイントによって決まるようだ。負けた場合そこでゲーム終了。ドンキーコンガを子供達とやったりすると「ええ、裏打ち4小節連続か?」など、高度なリズム感を要求されたりするが、そこまではない。第1ステージなどは、4/4拍子の拍子の頭さえわかっていれば、つまり、手拍子くらいできる人間であれば、クリア可能だと思う。


 第2ステージは、歌にあわせてメロディどおりにボタンを押すことが求められる。歌,【A】パートのコード進行は以下。


曲名:リボン(Re-Born)

作詞・作曲:鎌谷千佳子/長井和彦

歌:Rabbi☆MIN(ラビミン)

*** *** *** ***。
|4/4 C |Am |Dm |G7|
*** *** *** ***。
|C |Am |Dm-G7 |C|

循環コード(参照 )曲にあわせて、以下リズム譜の「X」を叩く感じ。
    +   +   +   +     +   +   +   +     +   +   +   +     +   +   +   +
LB:-X---X---X---X-X-|-X---------------|-X---X---X---X---|-X---X-X-----X---|
    リ  ボ  ン  リボ  ン。              ひみつのまほうの  ことばな    の

    +   +   +   +     +   +   +   +     +   +   +   +     +   +   +   +
LB:-X---X---X---X-X-|-X---------------|-X---X---X---X---|-X-X-X-X---------|
    リ  ボ  ン  リボ  ン。              すてきなまほうを  かけるわ。
注:LB=左ボタン,X=打音,+=拍の頭

 記憶違いがあれば、ご勘弁。ご指摘を。さて、8分音符までが解っていれば、クリアできるようだが、小学校進学以前のユーザはここで脱落する可能性が高い。しかし、その理由に不利な条件もある。


 音がやたら、小さいのだ。何せただでさえノイズの坩堝である、スーパー・マーケットやゲーム・コーナー。周りでは、必殺技を決められたミヤマクワガタの「ウォーー」という雄叫びが聴こえている(from ムシキング)。オシャレ魔女ラブ and ベリーゲームの正面以外では、はっきりと音が聞こえないのだ。だから、上の曲のほかの部分のメロディ、全く聴き取れなかった、と言い訳したりする。正面でも聴こえているのだろうか? 一流ミュージシャンであればあるほど、音のモニタリングに気を使う。音を出す、リズムに合わせる能力は、「よく周りが出す音を聴く」能力に比例するものだからだ。「ちょっと、左モニタの低音を絞って。バスドラのタイミング掴めないから」などとベーシストなら言う。一緒に作る音楽の他人の音をきちんと聴くことが、リズム、グルーヴを生み出す、最大の要素なのである。その点から考えると、よくあの劣悪なモニタリング環境のなかで、少女達は音ゲーができるなぁ。


 で、クリアしたら最後の舞踏会ステージへ。結局、女の子は皆、シンデレラになりたいのか? 舞踏会ステージは(おそらく)3/4拍子のワルツで、テンポが途中から速くなったり、遅くなったりするので多少難しい。ここのメロディも聴こえなかった。ちゃんと聴き取るためには SEGA に CD 発売してもらうか、恥をしのんで中年男性でありながら、行列にくわわるか、アーケードゲーム自体を自宅に購入するしかない。


 男の子の「ムシキング」で求められていなかった反射神経が、女の子の「オシャレ魔女ラブ and ベリー」では求められてる。男の子は昆虫を集め、女の子はファッションに金を使うことが求められる。哲学者ルイ・アルチュセールは、「ヒトは、イデオロギー装置(学校、家庭の教育、ゲーム機を含む)の『こういう人間であって欲しい』という呼びかけに応じて、自己を形成していく」と言う。何が形成されていくだろう?


 昭和40年代カルビー・ボテト・チップスに付属していた「仮面ライダー・カード」は、少年と怪人のお見合いカードだった、と指摘したのは平成仮面ライダーのプロデューサー白倉伸一郎氏である。同時にそれは、子供Aと子供Bが出会い、お互いのコレクションを見せ合うときの「お見合いカード」でもある。「いじめ」と「ゆとり教育」のなかで、ムキダシの身体能力と向き合うことを妨げられ、身体能力での競争をオブラートに包んだ現代において、カード・コレクションのお見合いで生まれるコミュニケーションは、メタ身体能力として他者に接触するコミュニケーションだ。その遊びで、本物のクワガタを捕獲する能力が磨かれることはない。「あなたのファッション、ダサイ」と直接当人に言う必要はない。カード・コレクションがダサイ、と言えば済む。個人の能力は、どんどん個性からも切り離されて行っている。そして、お見合いカードに集約されてしまう。


 人類は進化もし、退廃しもする。じゃあ、現代が求めている能力、未来を生きていく処世術は、一体なんなのか? 

 「じゃんけん」がギャンブルの基礎と指摘したのは、福本伸行氏の漫画「カイジ」だ。男の子はギャンブルに慣れること、「結局、運だから」と思えるようになる能力を。そして、女の子はお洒落して、反射神経はあって、王子様に出会う能力を。


 そうやって育った両者(男の子と女の子)は10~15年後、果たして出会えるのだろうか。よしんば出会えたとして、出会いの上に築かれるものはなんだろう。悲観的にしかならざるを得ないが、敢えて言う。

 

 多分、時代は決していい方向に進んではいない。僕らはもっと考えなければならない。


#別に、ラブ and ベリーの待ち行列に並ぶ、という意にはあらず。念のため。


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