新・科捜研の女:ラヴィン・スプーンフル「サマー・イン・ザ・シティ」 | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

新・科捜研の女:ラヴィン・スプーンフル「サマー・イン・ザ・シティ」


The Lovin' Spoonful
Hums of the Lovin' Spoonful

Lovin Spoonful
Summer in the City

Joe Cocker
Have a Little Faith

Butthole Surfers etc.
ミュージック・フォー・アワー・マザー・オーシャン 3
David Essex
Complete Collection

Quincy Jones etc.
Sampled, Vol. 3

B.B. King
Guess Who

Marmalade
Ultimate Collection
Sweet
Millenium Collection

Styx
Big Bang Theory

The Ventures
Guitar Freakout/Wild Things!
The Stranglers
Lies & Deception

 先週の9月15日に放送終了してしまったが、名女優、沢口靖子出演、「新・科捜研の女」のBGMとして、ラヴィン・スプーンフル(the Lovin' Spoonful)「サマー・イン・ザ・シティ(Summer in the City)」が使用されていた。フォーク・ロックの名曲のひとつであるこの曲は、別に政治的なメッセージを持っているわけでもない、シンプルな曲なのだが、物凄く洗練された作曲法を用いた歴史に残る名曲だ。



 ラヴィン・スプーンフルは1965年、グリニッチ・ヴィレッジでフォークシンガーとして活動していたジョン・セバスチャン(John Sevastian)とギタリスト、ザル・ヤノフスキ(Zal Yanovsky)、ベーシスト、スティーヴ・ブーン(Steve Boone)、ドラマー、ジョー・バトラー(Joe Butler)により結成された。


 「サマー・イン・ザ・シティ」は、スティーブとジョンの手による曲で、1966年発表のアルバム、「ハムズ・オブ・ザ・ラヴィン・スプーンフル(Hums of Lovin' Spoonful)」に収録。キーはCマイナー。



【A】
Hot town, summer in the city. Back of my neck getting dirty and gritty.
|4/4 Cm -Eb |F -Ab|
Been down, Isn't it a pity, Doesn't seem to be a shadow in the city.
|Cm -Eb |F -Ab|


 暑い夏の日の街、背中は汗と埃まみれ

 哀れに落ち込んで、街の暗がりにしかいない俺。


 コード進行は、

 Ⅰm-♭Ⅲ-Ⅳ-♭Ⅵ

の繰り返し。マイナー・ダイアトニックコードの関係で言えば、


 トニックマイナー(Ⅰm)

 →トニックマイナー代理(♭Ⅲ)

 →サブドミナント(Ⅳ)

 →サブドミナントマイナー(♭Ⅵ)


という進行。ふたりはプリキュア主題歌 と同様(最後がⅤ7だが)の進行であることがわかるだろう。マイナー・キーの定番コード進行と、暑苦しい歌詞と相俟って、独特の雰囲気を醸造する。


【B】

All around, people looking half dead,
|G -G7
Walking on the sidewalk, hotter than a match head.
|Cm -C |2/4 C7|

 どこでも、人は半分死んだように

 マッチの先より熱い歩道を歩く。


 【A】から短二度下降して、

 Ⅴ-Ⅴ7-Ⅰm-Ⅰ

単なるドミナントモーションであるが、2小節目後半で同主調転調してCメジャーとなっている。だがそれだけに留まらない。同主調転調するだけでなく、3小節目でドッペルドミナントとしてC7となり、下属調Fメジャーに一気に転調してしまう。ここら辺の作曲術は、「ジョン・セバスチャン、天才!」としか言えないようなもの。彼の曲は、こういった素晴らしい作曲術を使ったものが多い。


【C】

But at night it's a different world, Go out and find a girl.
|4/4 F -Bb |F -Bb|
Come-on come-on and dance oll night, Despite the heat it'll be alright. And
|F -Bb |F -Bb|
Babe, don't you know it's a pity that the days can't be like the nights In the
|Dm -Gm |Dm -G|
Summer, in the city, in the summer, in the city.
|Dm -G |Dm -G|

 でも夜は別世界。女の子を見つけよう。

 カモン、カモン、踊ろうよ。熱さなんか忘れて。

 ベイビー、昼と夜が別物って、悲しくないかい?

 そんなこの街の夏、この街の夏。


 【B】を経て、Fメジャーの曲に生まれ変わり、歌詞と同じく別世界の音楽となる。1~4小節は、Ⅰ-Ⅳヴァンプ(参照 )。5~8小節はⅥm7-Ⅱm、途中でⅡがメジャーに変わるところがミソ。この後、ギターリフが虚ろな感じで入る。

   Eb                Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-3--1-1-3-1---1--|-4--2-2-4-2---2--|
B:-----4------4----|-----4------4----|
G:-----------------|-----------------|
D:-----------------|-----------------|
A:-----------------|-----------------|
E:-----------------|-----------------|


 コード進行は、キーFとして捉えると、♭Ⅶ-♭Ⅲの繰り返しだが、実はこの部分で長二度下のキーEbメジャーに転調して、Ⅰ-Ⅳヴァンプを行っているのだ。この箇所、車のサイレン、バス、トラクター(?)の音などが効果音として挿入。夏の蜃気楼のなかの無音状態のようだ。そして、【A】に戻るのだが、そこでは、キーEbメジャーから平行調であるCマイナーに転調していることを見逃してはならない。


 名曲であることは、この曲をカヴァーしたアーティスト達の名前が証明してくれるだろう。


 ジョー・コッカー(Joe Coker)、バットホール・サーファーズ(Butthole Suffers)、カウントダウン・シンガーズ(Countdown Singers、レゲエ風)、デヴィッド・エセックス(David Essex、ファンク風)、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones、純ジャズ風)、B.B. キング(B.B. King、モダン・ブルース風)、マーマレイド(Marmarade)、スウィート(Sweet)、スティクス(Styx)、ヴェンチャーズ(Ventures)、ストラングラーズ(Stranglers、ニュー・ウェイヴ風)、デル・シャノン(Del Shannon)、などなど。



 さて、「科捜研の女」シリーズ、仮面ライダー人脈が多数出演していることでも有名。元仮面ライダーカリスの森本亮治と、前シリーズに引き続き元仮面ライダー555、カイザ、オーガの泉政行(本当に彼はライダー3体に変身した)が登場していた。


 洋楽選曲のセンスもよく、ノラ・ジョーンズとかもかかっていた覚えがある。今後も続くのかな?



■関連リンク:新・科捜研の女公式ページ

■関連記事:ザ・バンド「怒りの涙」  ふたりはプリキュア