ナイアシンの必要量 | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ


またまた分子整合栄養医学関連の記事です。
前回は「ナイアシンは体内で合成可能な栄養素ですが・・・」というテーマで投稿いたしました。
体内で合成できる栄養素のほうが、必須栄養素よりも、より重要であることが多いこと、そしてたとえばナイアシンの場合、生物の進化の
過程で他の材料から自分で合成できるようになってはいますが、食材からの合成は非常に効率が悪いこともお伝えしました(→過去記事


前回の最後に、ナイアシンに関する大きな問題があることをお伝えしました。実はナイアシンに限ったことではないのですが・・・今回はその続きになります。


それは食事摂取基準です。もともとナイアシンはビタミンB3といわれ少量で十分であると考えられていた栄養素ですので、国が規定している摂取量は、成人女性で11~13mg程度です。


ここでの問題は、摂取基準の作り方です。国の基準あくまで「健康な人の欠乏症を防ぐ」ことが重要課題になっています。さらに前回までにもお伝えしてきたとおりナイアシンは、トリプトファンからも合成でき、しかも食材に含まれているので不足することはないと考えられています。


この基準自体は確かに健康的な平均的な人の欠乏症を予防するためには正しい量だと思います。しかしいったん欠乏症になってしまった人の回復に十分な量ではありません。またナイアシンの需要には個人差がありますし、統合失調症の患者さんのように、トリプトファンからナイアシンを合成する過程に支障がある方にはそのまま当てはめることはできません


どうしても「推奨量」などと書いてあると「それだけ摂ったら十分」という風に考えがちですが、基本的には「欠乏症を予防するため」の量と考えたほうがよいのかもしれません。


分子整合栄養医学の治療では、ナイアシンを2000㎎とか統合失調症の方などには3000㎎ほど服用していただくことは良くあります。クライアント(利用者)の方から受ける質問で多いのが「過剰症になりませんか」です。日本ではどうしても栄養に関しては「過剰症」を心配する傾向が強いようです。  


たしかに「合成」のナイアシンを大量に摂ると、皮膚がヒリヒリしたりかゆくなることがあります。天然成分のサプリメントから摂取する場合には心配ありません。
むしろ水溶性ビタミンのため、日常的に摂取する事が重要です。
また三重心身クリニックでもこのブログを読まれたりしてナイアシンだけを購入されていく方もいらっしゃいますが、ビタミンB群は、お
互いに協力しあって作用するため、ビタミンB群として、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6なども一緒に摂取することをお勧めしています。

(参考文献)
溝口徹:診たて違いの心の病 ― 実は栄養欠損だった!.第三文明社.2006.
ビタミン総合事典.朝倉書店.2010
厚生労働省2010年版食事摂取基準

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