ナイアシンは体内で合成可能な栄養素ですが・・・ | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ


最近分子整合栄養医学関連の記事の連載が続いております。
前回は「栄養の基本」というテーマで投稿いたしました。
「必須アミノ酸」のように体内で合成できず直接食材から摂取しなくてはならない「必須」の栄養素が体にとって大切なものと思いがちで
すが、体内で合成できる栄養素のほうが、必須栄養素よりも、より重要なことが多いことをお伝えしました。
やはり体にとってなくてはならない栄養素や大量に必要になる栄養素は、生物の進化の過程で他の材料から自分で合成できるようになって
いるのでしょう。(→過去記事 )。


ナイアシンはその良い例といえます。
ナイアシンに関してはこれまでも何度かお伝えしてきました(→過去記事1  など)。


ナイアシンは体内では、非常に多くの酵素反応の補酵素として働き、
「非常に少量で代謝に作用する」という従来のビタミンという概念からかけ離れた多くの量が必要であることがわかってきました。以前ビ
タミンB3と呼ばれていたのに呼称が変更になったのもそういう背景がありましたね。

ともあれ重要な働きをするナイアシンですが、どのように体内で合成されるのか簡単に紹介したいと思います。


ナイアシンの材料はトリプトファンですが、食事に含まれるタンパク質中に約1%含まれています(ちなみに同じタンパク質でもカツオや牛肉などの動物性には多く、植物性には少ないです)。
したがって動物性タンパク質が悪いという情報を信じ、肉や卵を避けている方々は、もっと少なくなるわけです。


そしてナイアシンの体内での合成は、トリプトファン60に対してたった1の割合でしか合成されません。


具体例で考えてみましょう。
60gのタンパク質を食事から摂取したとしましょう。(ちなみに、日本で一般的な食事をしている人では この量をなかなか摂っていな
いと思いますが計算をしやすくするために・・・。普通の食事をしている人では40g程度でしょう)。肉を60g食べれば良いと言うものではありません。ちなみに牛肉の可食部100g当たりのタンパク質は20g弱です。


さて60gのタンパク質の1%ですので、約600mgのトリプトファンを摂取することになります。
その60分の1、つまり1日に食材から合成されるナイアシンの量は、わずか10mgです。食材からの合成は非常に効率が悪いことがご
理解いただけると思います。
実はもう一つ大きな問題があるのですが、次回にお伝えしていきたいと思います。

(参考文献)
溝口徹:診たて違いの心の病 ― 実は栄養欠損だった!.第三文明社.2006.
ビタミン総合事典.朝倉書店.2010

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