2017:ロヒンギャの1年。「親族は殺され、村は焼き払われました」
バングラデシュに亡命したアブドゥル・マスード(28)。彼は、ミャンマー(ビルマ)に強制送還されるのではないかと気が気でならない。ミャンマーでは、数か月前、政府軍が、彼の親族を殺し、村を焼き放った。
マスードは他のロヒンギャ人とともにバングラデシュに流入した。ミャンマーのラカイン州では、政府軍と仏教徒軍による残虐行為が行われていた。この動きを、国連やアメリカの役人は「民族浄化」と呼んだ。
「送還されれば、希望はありません。全員が殺されるでしょう。拷問しするかもしれません。すべてのロヒンギャ人が送還されたくないと言うでしょう。ミャンマー政府が私たちの身の安全を保証すると約束したとしても信頼できません。」
マスードはベナールニュースにこう語った。
昨年8月以降、亡命したロヒンギャ人は65万人以上になる。過去のラカイン州での衝突ですでに40万人がバングラデシュに流入しているが、65万という数は前例のない数だ。
「これだけの数の流入に対する準備はできていませんでした。しかし、できる限りのことをしてきました。」
バングラデシュの管理支援省のシャー・カマル秘書はこう語った。
「しかし、こういう状況が長く続くことは、バングラデシュにとって耐えられません。」
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、この流入劇を「世界で最も急速に悪化している難民危機」と呼んだ。9月、グテーレスは国連加盟国に対し、人道危機回避への協力を求めた。また、ミャンマー政府に対しては、軍事弾圧の停止を求めた。
国境なき記者団によると、8月25日から9月24日の間だけで、6,700人以上のロヒンギャ人が殺害されたという。5歳以下の子供730人もこれに含まれる。
人々は、銃殺されたり、家の中で焼き殺されたりした。
「バングラデシュのすべての難民居住地域で調査を行ったわけではなく、一家全員が殺された場合は死亡確認が難しいので、実際の死者はもっと多いと思います。家の中に鍵で閉じ込められ、焼き殺されたという報告も聞きました。」
一方、ミャンマー政府はこうした疑いを否定し、ロヒンギャ人武装集団を非難している。
マスードは語る。
「9月初め、ミャンマー政府軍が村にやって来て、立ち退くように言いました。立ち去らなければ殺すと言われました。軍は無差別に放火を始めました。母と父、2人の兄は殺されました。他の村人も殺されました。」
「すべての家に火が放たれ、村は焼き尽くされました。」
【亀田浩史訳】
【亀田浩史訳】