ゾンビ映画製作回想録 第2回 | 地獄のゾンビ劇場 ~ZOMBIE THEATER~

地獄のゾンビ劇場 ~ZOMBIE THEATER~

「地獄の血みどろマッスルビルダー」監督・深沢真一によるホラー映画雑学&雑談ブログ!

「松本幸四郎VSゾンビ軍団!」

 

90年代半ば。
私は写真関係の会社に勤務する、
ちょっとマッチョでスプラッター好きな、ごく普通の好青年だった。

 

当時、私の父が、
東京郊外に古い木造の一軒家を所有していた。
私の生家だったが
空家となって久しく老朽化が進み、
取り壊して更地にすることになった。

 

取り壊してしまう前に、
この思い出深い家を舞台に映画を一本撮ろう、
そう思い立った私は、
取り壊しを一年ほど延期してくれるよう、父に頼み込んだ。

 

父母が若い頃苦労して手に入れた夢のマイホーム。
家族の思い出が詰まったこの家でどんな映画を撮ろう?

 

やはり
血みどろのゾンビ映画だな!
うん、それしかない。
パワフルでいてコミカル、そして徹底的にグロなやつがいい。
そう、あの二本の素晴らしいゾンビ映画、
「キャプテン・スーパーマーケット」「ブレインデッド」のような作品だ。

 

なにしろ取り壊しちゃうんだからな。
壁を突き破ろうが、
バケツで血糊をぶちまけようが、
とにかく何でもアリ。
ホラーの撮影にはうってつけだ。

 

監督、脚本は、
当然私だな。

 

主演に相応しい俳優は・・・・・・・・

 

やはり私だな。

 

ということで、撮影してくれる人間が必要になった。
私は、大学の映画科で同期だった友人で、
ビデオカメラマンの田中君(仮名)に協力を求めることにした。
在学中に私が製作したえせゾンビ映画で、
彼は撮影を担当した他、ゾンビ役で出演もしていた。

 

また卒業後にも、
私は自作のビデオ作品(やはりゾンビもの)で
彼に声の出演を頼んだことがあった。
そのときのお礼として、
今度は私が田中君の製作する8ミリ映画に出演することになっていた。
そのロケのため、ある平日の朝、
私は有給休暇をとり新宿で彼と待ち合わせた。

 

喫茶店でその日撮る内容を打ち合わせた後、
私は自分のゾンビ映画企画の話を持ちかけてみた。

私が企画の概要を説明し終える頃、
彼は興奮状態だった。
今まで彼が撮ってきた映画は、
出演者1人、セリフ無し、
といった感じの静かな作品が多かった。

それ故に、この極めて俗な内容の企画に興味を持ったようだ。

 

新宿地下街の喫茶店の中、
二人で大いに盛り上がった。
話は大きく膨らみ、
「日本一のスプラッター・ゾンビ映画にしよう!」
ということになってしまった。

 

盛り上がってきたところで私は、
「実は主演は俺なのだ」
とドサクサまぎれに宣言。
すると田中君、すこぶる機嫌が良かったせいか、
「お、いいんじゃないか?
お前顔立ちがブルース・キャンベルに似てるし」
と賛同した。
「ナニ?俺はブルース・キャンベルにうり二つなのか!?」
「ああ、似てると思うよ」
「俺はあのハンサムなブルース・キャンベルにうり二つなのか?」
「・・・・・ああ、お前はブルース・キャンベルにうり二つだ・・・・・
と、思う・・・・・よ」

「もう一度訊く。俺はあのハンサムな」
「いや、もういい。うり二つだ」

 

そういうことならしかたがない。
そこまで言われたら、
私が主演するしかないじゃないか。

 

ブルース・キャンベルとは、
「死霊のはらわた」シリーズで
ゾンビと戦うヒーロー、アッシュを演じた、
アメリカの俳優である。
(若干、阿部 寛風の顔立ち)

 

ちなみに私のことを
「ブルース・キャンベルにうり二つ」と言った(よな?)のは、
後にも先にもこの人ただ一人だけである。

 

十代から二十代にかけて、
私が最も頻繁に「似ている」と指摘された有名人は、
松本幸四郎である。

 

かくして、
古びた一軒家を舞台に、
松本幸四郎がゾンビ軍団と対決する
夢の企画がスタートした。

 

※後年、この作品として結実!(2021年5月追記)

 

 


映画(オカルト・ホラー) ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログ ホラー・サスペンス映画へ
にほんブログ村