「マッチョな松本幸四郎VSゾンビ!」
「実はな、俺が主演でなきゃならん理由が、
ブルース・キャンベル(もしくは松本幸四郎)
のようにハンサムだから、という以外にもうひとつある」
新宿の喫茶店で最初に田中君を誘った際、私は言った。
「実は筋肉を鍛えている」
「ほう」
「しかも本格的にだ。」
「ほうほう」
当時私は両親、妹とともに実家で暮らしており、
六畳の洋間を自室として与えられていた。
そこへバーベル、ダンベルセットにベンチ、
簡単なラットマシンまで設置し,
本格的なトレーニングを開始してから、
ほぼ二年が経過していた。
早い話が、
ご自慢の肉体を映画の中で披露したかったのだ。
「プロテインやサプリメントなど、
ウィダー社製の最上のものを摂取し、
クランク・インまでの数ヶ月間みっちり鍛えれば、
少なくとも上半身だけなら一見完璧に仕上げられる!
下半身はズボンで隠してしまえば良い」
マッチョな主人公、すなわち私が、
その筋肉を誇示しつつゾンビと派手に戦う!
「マッチョ対ゾンビか!いいね」
田中君もこの設定をいたく気に入った様子で、
話は盛り上がり、
そのまま第1回企画会議のような状況になった。
こんな風に派手に戦わせよう!
ヒーロー登場の際は、ゾンビの前でこんなポーズをとらせよう!
これは絶対に面白いぞ!
面白くならないわけがない!
傑作になることは間違いない!
話は止め処も無く盛り上がり続け、
最終的には、
よし!目指すは日本一のスプラッター・ゾンビ映画だ!
という結論に達してしまうのだった。
マッチョな松本幸四郎VSゾンビ企画!
勢い付いて本格始動!
(このまま勢いに乗って一気に撮っちゃうべきだったねえ)
※後年、この作品として結実!(2021年5月追記)
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