サブリースに纏わる制度改正と問題点 | 趣味でやる投資 (株式/不動産/etc.)

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未だ法整備が整わない中、不動産業界で大きな社会問題になっている「サブリース契約」についての話題です。以前この問題について記事を書きましたが、制度改正があったことで再び詳しく触れておきたいと思います(長文失礼します)。

 


2016年9月から賃貸住宅管理業者登録制度の規定と業務処理準則が改正され、宅建士のような位置付けの「賃貸不動産経営管理士」(または6年以上の実務経験者)を事務所毎に設置して重要事項説明・記名捺印を行う義務、内容的にも賃料減額可能性の説明義務が明確化されました。

 

 

賃貸不動産経営管理士は今のところ比較的簡単な試験でとれる民間資格で、説明の際に提示するための免許証も交付されます。

 

 

この登録制度自体は実は2011年12月からあり、登録業者に対して重要事項説明や書面交付を義務付けていますが、賃貸管理業務にあたって登録が「必須」というわけではなくあくまで「任意」であり、登録業者はまだ非常に少ないです。また勧告や登録取消などのペナルティはあるもののそれ以上の罰則規定がありません。

 

 

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法的整備が十分行き届かない中、サブリースの仕組みは次のような問題があります。

 

(1) オーナーと業者が転貸条件付賃貸借契約を結んだ上で業者と入居者が賃貸借契約を結ぶ形式

 

(2) 2年毎の賃料見直しなど業者側に決定権のある形で例えば30年間もの超長期契約を結ぶ

 

(3) 業者登録制度が任意のため法的拘束力のある契約内容説明義務がない

 


(1)については契約に解除規定があればいいですが、そうでない場合基本的にオーナーと業者は賃貸借契約なので、借地借家法に基づくと業者が賃料を払っている限りオーナー側から簡単には契約解除はできなく、解約の相当理由として一定の期間や違約金が必要になります。

 

 

逆に業者側はオーナーが賃料下げに同意しなかったりすればノンペナルティで契約解除でき、空室だらけの状態でローン支払いのみ残る状態は自力で客付けするスキルのないオーナーにとって脅威なので業者が握る弱みの一つになります。

 

 

(2)についてですが、30年保証自体もその間に経済、金融、不動産市場、さらに建物自体がどうなっているかは予測不可能なので、そもそも無理がある契約です。そこで短期間毎の賃料改定条項の出番になるわけですが、空室対策として賃料を下げるのが最も手間がかからず有効のため、賃料引き下げ提案の一点張りをします。

 

 

賃料を下げた場合業者としては値下げ額の15~20%分の損失で済みますが、残りの80~85%はオーナーの損失になります。また安易に家賃を下げた場合、売却の際に物件価格が下がって損失を被るのもオーナーです。

 

 

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このように表面的には長期保証で安心を謳われていますが、高い保証料がコンスタントに引かれながらもオーナー側のリスクが多く、業者の権利が義務の割に強く保護されます。それを(一部の)業者が説明せずアパート建築請負契約などと抱き合わせて契約書にサインさせているのがサブリースの実態です。

 

 

さらにサブリース契約自体オーナー・業者双方のビジネスとみなされやすく、オーナーが特定商取引法や消費者契約法で保護されにくい現状です。もちろんサブリース契約はこういうものばかりではないと思いますが、強引な押し売り・勧誘を行う業者はこういうケースが多く見られます。

 


サブリースにするのであればオーナーが業者と管理業務委託契約を結び、オーナーと入居者が賃貸借契約を結ぶ。そして業者が家賃保証する代わりに15%の委託料を支払い、2~3年の期限毎に契約更新する・・というシステム方が少なくともオーナーにとっては健全な契約だと思いますが、業者が顧客を囲い込みさらに自らの立場を強くするため、今の仕組みが一般化しているように思えます。

 

 

オーナー側が納得できる契約内容に持っていければいいと思いますが、サブリースを本格的に賃貸管理業務委託と同列の選択肢に加える場合、業者側の登録制度の必須化と罰則規定の整備、賃貸不動産経営管理士の普及などを待ちたいところです。

 

 

無責任な不動産取引が大いに問題となった頃に宅建業法が整備されたのと似て、この問題もいつか通ってきた道のように思えますね。