【第4章】親との関係~両親は反面教師
寿史子さんの小さいころの話をもう少し聞かせてください。
私は3人きょうだいの一番上の長女です。その3つ下に妹、さらに2つ下に弟がいます。両親を入れて5人家族。父は建築業を営んでいました。
サラリーマンではなく自営業だったんですね。
はい。父の一族は商売人がほとんどで、料亭やお米屋さんなど個人商店を経営している方が多かったんです。父は昔から「お金に関しては潔癖すぎるぐらい潔癖にしておいた方がいい」と言ってました。今、私がこうやって個人事業主として独立していることも、そんな幼少期からの環境が影響しているかもしれません。
最初は父の仕事もうまくいっていて、実は私はお嬢様育ち(笑)。家の中にブランコや滑り台があったのを覚えています。でも父と母は私がうまれたときからあまり仲がよくなかったんです。父の仕事の経営が苦しくなり、私はときどき父の実家に預けられるようになりました。妹は母の実家に預けられたり。少し複雑な家庭環境でしたね。小さいころから母と父がケンカする姿を見て、怒鳴り合う声を聞きながら育ちました。
そうだったんですね。グレたりはしなかったんですか?
グレるヒマもなかった(笑)。高校時代の友人に「よくグレなかったよね」と言われたことがありますが、グレるなんでアホらしい、私は自分の人生を生きるって友達にも言ってましたね。冷めていたと思います。大人の事情を察知しながら、人の顔色を見ながら、その人の背景や心の中を読むようになっていきました。大人みたいな子供でした。
そんな状況で、直観力が鍛えられていったのかもしれませんね。
そうかもしれません。親はお手本ではなくて反面教師。母もお嬢様育ちでわがままだったんです。専業主婦でしたが、父の仕事に協力するでもなく、子供たちにもあまり構わず、で父とはケンカばかり。家庭環境は最悪でしたね(苦笑)。グレなかったし、大人になっても表面的には「父も母もそれぞれの人生があるんだし」って割り切っていたつもりでした。でもそれが大人になって非常に心に深い傷を残していたことがわかりました。実は全然癒されてなかった。見ないようにココロに蓋をしていたんですね。
でも実はこれが私のオーラソーマの原動力になりました。「インナーチャイルド」という言葉があります。大人になって直面する問題の根っこは、たいてい幼少期に作られているんですよね。小さいころに消化できなかった思いが、大人になったときに何かのきっかけでバーッと表面化する。自分が悩んだり、向き合わなければならない問題は、たいてい幼少期に解決の糸口があります
私も冷めていたとはいえ、親を恨んだことはありますよ。小さいころはお嬢様だったのに、父の事業がうまくいかなくなって、私だけ高校の修学旅行に行けなかったんです。洋服もお古ばかり。悲しみも憎しみも抱えたまま、ずっと消化できてなかったんです。でもそのことに自分では気がついてなかった。でもオーラソーマの勉強をして考え方が変わったんです。
どんな風に変わったのですか
「あんな親」と思っていても、自分の中の半分は父であり、母です。ルーツは親なんです。親との関係性に向き合わないで、これからの人生がよくなるわけがないんです。オーラソーマのコンサルテーションに来る方は、お父さんやお母さんとの関係性がよくない方、多いです。私のように両親の仲が悪いとか。でもどんなに辛くても、そのままにしておくのはよくないんですよ。
オーラソーマでインナーチャイルドについて学び、親との関係性を見つめ直すことが、これからの人生を豊かにすることになる、ということを知って、父にも母にも心から感謝できるようになりました。ハグしたいと思えるようにまでなったんです。