毎年文化庁が行なっている「国語に関する世論調査」。(その1)の続きです。
平成 30 年度の結果が公表されているので必要な箇所を転記(ケイ囲み部分が引用)しています。
そのあとは、私が個人的に感じた所感であり、白書に書かれていることではありません。
問7◆ 官公庁などが示す「お知らせ」や広報等の文書を読む場合,どのようなことを望むか
・文字の大きさ,字間,行間,レイアウトなどが見やすいこと ... 60.2%
・親しみやすい表現が使われていること …59.9%
・難しく堅苦しい漢字や語句が使われていないこと... 46.6%
・伝えたい用件や結論が最初に書いてあること ... 45.6%
・小見出し,箇条書き,図表などによって,情報のまとまりが分かること ... 36.7%
・一つ一つの文が短いこと …35.2%
・書かれてある内容の根拠や背景が示されていること... 32.0%
・専門用語に,定義や説明が付けられていること ... 28.9%
・受け手に対する敬語が適切に使われていること ... 19.7%
・仮名語やアルファベットの略語が使われていないこと...17.7 %
・起承転結,序論・本論・結論など,構成がよく練られ ていること ... 17.4%
・続詞によって,文と文との関係が示されていること...9.8 %
問8◆ 官公庁などが示す文書を読む場合,「です・ます」体と「だ・である」体と,どちらが良いか
*上から年代別。
[ ]内の数字は%、左から[[です・ます」体を使った方がいい、「だ・である」体を使うのがいい、どちらでも変わらない、分からない]
全体 [66.6、9.8、23.0、0.6]
16-19歳 [50.8、23.7、22.0、3.4]
20代 [55.2、22.4、22.4、0.0]
30代 [58.0、10.4、31.2、0.4]
40代 [65.4、8.8、25.8、0.0]
50代 [71.0、8.3、20.8、0.0]
60代 [74.3、7.9、17.2、0.5]
70歳以上 [67.5、8.1、23.3、1.0]
問9◆ 言葉の使い方(文体,書き方)としてどちらが良いと思うか
[ ]内の数字は%、左から[ (ア)がいい、(イ)がいい、どちらとも言えない、分からない]
(1) (ア)努力すべきである (イ)努力するべきである
[ 57.4、34.7、7.6、0.3 ]
(2) (ア)予期しない事態 (イ)予期せぬ事態
[ 29.2、64.7、5.8、0.3 ]
(3) (ア)外は寒いであろう (イ)外は寒かろう
[ 66.3、24.9、8.2、0.5 ]
(4) (ア)雨天ならば中止とする (イ)雨天なら中止とする
[ 40.0、53.1、6.7、0.3 ]
(5) (ア)一つ,二つ,三つ (イ)1つ,2つ,3つ
[ 23.6、66.3、9.9、0.2 ]
(6) (ア)この規則に準ずる (イ)この規則に準じる
[ 73.8、17.2、8.1、0.9 ]
問7◆内容や論旨だけでなく、見た目にも、簡潔で分かりやすい文章が望まれていますね。
これは、企業などの広報でも同じようなことが言えそうです。いずれも、文章を書くときに気をつけたいことです。
問8◆ 「です・ます」体を使った方がいいと感じる人は全体の6割です。60代までは、年代が上がるほどその傾向が少しずつ強くなっています。
問9◆(1)「〜するべき」「〜すべき」、どちらも正しい言い方ですが、受ける印象は少し違うようですね。
(2)の場合は「予期せぬ事態」が一つの慣用句のように感じるひともいるのでしょうか。かなり支持率が高いですね。
(3)も同じく「〜に準ずるものとする」という表現をよく見かけるので、そうした慣れもありそうです。
問10◆ 1 か月に大体何冊くらい本を読むか
[ ]内の数字は%、左から[ 読まない、1.2冊、3,4冊、5,6冊、7冊以上、分からない]
[ 47.3、37.6、8.6、3.2、3.2、0.2]
問11◆ 人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか
9歳以下……18.8%
問12◆ 読書量は,以前に比べて減っているか,それとも,増えているか
[ ]内の数字は%、左から[ 減っている、それほど変わっていない、増えている、分からない]
今回調査[ 67.3、24.3、7.1、1.2 ]
平成20年度[ 64.6、25.3、8.6、1.4 ]
問13◆ 読書をすることの良いところは何だと思うか(選択肢から3つまで選ぶ)
新しい知識や情報を得られること …… 61.0%
豊かな言葉や表現を学べること ……37.1 %
感性が豊かになること …… 36.5%
想像力や空想力を養うこと …… 33.3%
感動を味わえること …… 25.6%
楽しく時間を過ごせること …… 23.5%
内容を把握する力が付くこと …… 15.5%
他の人と話題の共有ができること …… 12.9%
趣味として誇れること …… 6.3%
流行に遅れずにいられること …… 5.5%
国語の成績が良くなること …… 4.5%
問14◆ 自分の読書量を増やしたいと思うか
[ ]内の数字は%、左から[ そう思う、ややそう思う、あまりそうは思わない、そうは思わない、分からない]
今回調査[ 28.0、32.4、23.4、15.5、0.8 ]
平成25年度[ 36.8、29.5、20.0、13.2、0.5 ]
問15◆ ふだん,電子書籍を利用しているか..
[ ]内の数字は%、左から[ よく利用する、たまに利用する、紙の本・雑誌・漫画しか読まない、紙の本・雑誌・漫画も電子書籍も読まない、分からない]
今回調査[ 8.0、17.2、38.7、35.1、1.1 ]
平成25年度[ 4.6、12.6、45.2、35.9、1.6 ]
問10◆ 「読まない」が半数近く、「1,2冊読む」が4割近く、「7冊以上」が3%強。
この数字に関しては、ここ10年ほど大きな変化はありません。
問11◆過去の調査結果と比較すると,「9歳以下」は増加傾向。平成 20年度で11.5,25 年度で16.6%でした。
問12◆ 読書量が減っていますね。読書に使う時間が、他の時間にスライドされているという考え方もできそうです。
問13◆ 読書の良いところは「新しい知識や情報を得られること」と、6割強が答えています。
問14◆ 読書量を増やしたい人は、4年前より減っています。
問15◆ 電子書籍の利用者が5年前より増えていますね。
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