ミステリ おすすめベスト10 | 文学どうでしょう

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立宮翔太の読書ブログです。
日々読んだ本を紹介しています。

第1位 本陣殺人事件


本陣殺人事件 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

¥660
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横溝正史『本陣殺人事件』(角川文庫)

ぼく自身もそうですが、名探偵金田一耕助の孫が活躍するさとうふみやのマンガ『金田一少年の事件簿』からミステリに馴染んだ世代は、やはりおどろおどろしい雰囲気の物語で、大掛かりなトリックがある横溝正史の小説をとりわけ面白く感じるはず。中でも奇想天外な「密室トリック」を描いたこの『本陣殺人事件』は、心躍る作品でした。

第2位 興奮


興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))/早川書房

¥903
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ディック・フランシス『興奮』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

はびこる不正を調査するためにオーストラリアの牧場主ダニエル・ロークが落ちぶれた厩務員に扮してイギリス競馬界に潜入する物語。「ハードボイルド」や「エスピオナージュ」(スパイ小説)ほどドライすぎないどこかロマンあふれるディック・フランシスの作品はまさに冒険小説と評するにふさわしいわくわくを読者に与えてくれます。

第3位 アヒルと鴨のコインロッカー


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)/東京創元社

¥680
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伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)

ちょっと変わった隣人河崎に押し切られ、大学生の椎名は書店から本を盗む手伝いをすることとなり……。初めて読んだ時はとにかく驚いた、まさにミステリの醍醐味を感じさせてくれる作品。不器用でぎざぎざした悲しみの感情が伝わって来るのが印象的でした。この本に影響されて、ボブ・ディラン「風に吹かれて」を何回聴いたことやら。

第4位 ルルージュ事件


ルルージュ事件/国書刊行会

¥2,625
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エミール・ガボリオ『ルルージュ事件』(国書刊行会)

1841年に発表された世界初のミステリは、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」。そして1866年に発表された世界初の長編ミステリが、この『ルルージュ事件』。ルルージュ夫人は何故殺されたのか? ミステリ要素は弱いですが、『三銃士』など陰謀渦巻く物語を描いたアレクサンドル・デュマを思わせる濃厚な物語が魅力。

第5位 GOTH


GOTH 夜の章 (角川文庫)/角川書店

¥460
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乙一『GOTH』(全二巻、角川文庫)

普通のミステリでは、殺人や犯罪は悪であり、名探偵や警察などの正義が悪を暴くという構造ですよね。『GOTH』は違います。高校生の〈僕〉も森野夜も心のどこかが壊れていて、殺人や犯罪に深い共感を寄せているのです。森野は被害者側に、そして〈僕〉は加害者側に……。作者が文章で読者を騙す「叙述トリック」が冴え渡る傑作。

第6位 皇帝のかぎ煙草入れ


皇帝のかぎ煙草入れ【新訳版】 (創元推理文庫)/東京創元社

¥777
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ジョン・ディクスン・カー『皇帝のかぎ煙草入れ』(創元推理文庫)

骨董品の収集が趣味のサー・モーリス・ローズは、ナポレオン皇帝愛用のかぎ煙草入れのメモを取っている時に火かき棒で頭をめった打ちにされてしまい……。犯人が用いた斬新なトリックも興味深いですが、なにより事件に巻き込まれてしまう美女、イヴ・ニールを取りまく人間模様がユーモラスで面白く、読んでいて楽しいミステリです。

第7位 青の炎


青の炎 (角川文庫)/角川書店

¥700
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貴志祐介『青の炎』(角川文庫)

家族を守るため、母の別れた再婚相手の殺害を決意した高校生の櫛森秀一。完璧な計画を立て、それを実行に移したのですが……。17歳の少年が完全犯罪を試みるという作品ですが、殺人に至るやむにやまれぬ事情がよく理解出来るだけに胸が締め付けられるくらい感情移入させられてしまいます。犯人側から描いた「倒叙ミステリ」の傑作。

第8位 そして誰もいなくなった


そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/早川書房

¥798
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アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』(ハヤカワ・クリスティー文庫)

島に招待された10人の男女。しかし、マザー・グースの歌の通りに一人また一人と殺されていって……。後世のミステリに大きな影響を与えた名作ですが、今なお新鮮な驚きのある作品なので、まだ読んだことがないという方は、ぜひ読んでみてください。孤島など、限定された空間で行われる犯罪を描いた「クローズド・サークル」の傑作。

第9位 テロリストのパラソル


テロリストのパラソル (講談社文庫)/講談社

¥650
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藤原伊織『テロリストのパラソル』(講談社文庫)

アル中のバーテンダーの〈私〉は爆破事件に巻き込まれ、いつしか自分の過去と向き合うこととなって……。タフな男の生き様を描く「ハードボイルド」は、日本ではより感傷的に、そして、よりドラマチックなものになりました。よれよれのダメ男が、へらず口を叩き続ける姿がかっこ悪いけどかっこいい、江戸川乱歩賞直木賞のW受賞作。

第10位 赤い収穫


赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))/早川書房

¥735
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ダシール・ハメット『赤い収穫』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

”ポイズンヴィル”の異名を持つ、ギャングや警察が対立している炭鉱町。そこへ一人の探偵事務所の調査員が現われたことから、町全体の抗争は激化していって……。「ハードボイルド」の元祖ハメットがギャングたちの抗争を乾いた筆致で描いたのが、この『赤い収穫』。黒澤明監督の『用心棒』に影響を与えた小説としても知られています。

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