『行動健康経済学』・その2 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回も前回に引き続き『行動健康経済学』のまとめをやっていきたいと思います。


前回の話はコチラ
『行動健康経済学』・その1
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005138073.html


 ゆっくりブログを書く時間もないので、今日は前置きは省略します(笑)。よろしければ、未読の方は前回のエントリーを読んでくださいませ。


第5章 喫煙の経済心理学


 喫煙者がたばこは身体に悪いと知りつつ吸うのはなぜでしょうか?


 活力の増大?依存性?ストレスの発散?(まぁ、喫煙者は喫煙によってストレスが発散されるというよりは非喫煙時にストレス耐性がすごく弱くなるというのが言われておりますが)


 ともあれ、喫煙者自身にとっては喫煙は何かしらのメリットがあるのでしょう。(禁断症状からの回避であったとしても)


 喫煙による目先のメリットをとるか将来の健康というメリットをとるか、といった具合に将来の利益よりも目先の利益をとる性質の度合いを時間選好率といいます。また、前回、人間はリスクを回避しようとする性質があることを述べましたが、この確実性を好む度合いを相対危険回避度といいます。


 そこで、喫煙者の性質を調べる研究が行われたのですが、喫煙者中でも高度の喫煙者は時間選好率が高く、相対危険回避度が低いという結果が出ました。


 つまり、喫煙者は目先の利益を好み、危険に鈍感な性質があるようです。(もともとなのか、喫煙によってそうなったのかは分かりませんが)

 ちなみに男女差はなかったとのことです。


 それから非喫煙者は喫煙者より将来の利益を優先し、確実性を好みますが、その傾向は今まで一本も吸ったことのない人より、過去喫煙していたが禁煙に成功して今は吸っていない人の方が強かったようです。


第6章 クロスアディクションの経済心理学


 クロスアディクションとは複数の嗜癖が相互に強化し合って、より依存症を強めるというものです。たとえば喫煙者はアルコール依存になりやすいし、パチンコ依存の方は競馬依存にもなりやすいというような感じです。


 ここでは喫煙・飲酒・パチンコ・競馬の4つの嗜癖の関係について調べた研究を紹介してありました。


 結果をまとめますと喫煙を好む者、パチンコを好む者、競馬を好む者目先の利益を好み、危険に鈍感であり、逆に飲酒を好む者将来の利益を好み、確実性を好むということでした。もしかすると適度な飲酒は衝動性を抑えるのかもしれませんね。(ちなみに毎日飲酒をする人に限れば、目先の利益を好み、危機に鈍感ということになっておりました。) 
 
 そして4者の関係は喫煙と飲酒パチンコと競馬喫煙とパチンコ飲酒と競馬の間には相互依存性があり、片方の依存症があるともう片方も依存症になりやすいということでした。似たタイプの嗜癖や機会が同時に訪れやすい嗜癖は相互に依存しやすいということなのでしょうね。


 このようにクロスアディクションが存在することが分かると、ニコチン依存症を治療しようと思えば、禁煙対策のみならず、アルコール対策やギャンブル対策も同時にしなければ効果を上げるのが難しいということが分かってきます。


 禁煙ができない者に対して自己責任を振りかざすのではなく、他の嗜癖にも注目すべきということのようです。


第7章 禁煙の成功と失敗の経済心理学


 さて、禁煙の決意をしたとしてもそれが成功するか失敗するかは別問題です。それではどういった人が禁煙に成功するのでしょうか?


 ここでは、禁煙開始1ヶ月以内の人を集めて追跡調査が行われていました。


 禁煙継続率は追跡5か月目で約50%となっておりますが、禁煙に成功してそのまま禁煙が続いている者と禁煙に失敗してまた吸い始めた者にここでは分けてありました。ちなみにニコチン依存度と禁煙成功率との関係はそこまで強くなさそうでした。


 さて、禁煙成功者と禁煙失敗者ですが、禁煙成功者は調査終了時には時間選好率が低下しますが、禁煙失敗者は逆に時間選好率は上昇するという結果になっておりました。危険回避度は両者とも追跡終了時のデータで追跡前と比較して横ばいって感じでした。


 禁煙失敗者についてもっと詳しく調べると時間選好率の高さ、相対危険回避度の低さが禁煙の失敗に影響を及ぼしているだろうと。そして、禁煙の成功は忍耐強さと確実性志向が上がり、そのまま禁煙を続けやすくなると。逆に禁煙に失敗すると忍耐度が下がり、リスクに鈍感になるってわけですね。


第8章 アディクションにおけるアノマリーと衝動性の架け橋


 喫煙者は衝動性が高いけど合理的に喫煙するのか、それとも非合理的な理由(やめたくてもやめられない)で喫煙するのか。あるいはその両方か。


 ここでは、両方からのアプローチに関連があるのかを検討してありました。


 そして、研究結果を見るとどうやら喫煙者は非喫煙者に比べるとやや非合理的な選択をする人が多ようです。(詳細な説明は省きます。)


 ちなみに非合理的な選択をするタイプの人衝動性(目先の利益を好み、リスクを好む)は高いという結果が出ており、両者は相関するようです。


 さらに詳しく見ると、非合理的な選択をするタイプの喫煙者非合理的な選択をするタイプの非喫煙者に比べて衝動性が高いという結果が出ておりましたが、合理的な選択をするタイプの人同士で喫煙者と非喫煙者を比べると両者の衝動性には差はなかったようです。


 ということは、まとめると喫煙者は非合理的で衝動性が高い人が多いが、衝動性の高さは喫煙+非合理性によってさらに高められるということでしょうか。つまり、やめたくてもやめられない喫煙者ほど目先の利益を好み、リスクを好む傾向があるということのようです。


 ただ、まだまだこれらは研究途上であり、今後の詳細な検討が待たれるとのことです。


 それでは、今回はここまで。


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