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CPI速報の解説の前に先日のGDP一次速報に関して補足説明をしておこうと思います。
2015年1-3月期GDP一次速報
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12028922106.html
ここで、実質GDPの前期比(季節調整済):+0.6%のうち、0.5%分が在庫品増加が増えたことが寄与していたということを書きました。
これ、勘違いしている方が結構多かったのですが、在庫品が増えているのではなく在庫品増加が増えているのです。
実際の在庫品増加の数値は以下の通り
2014年10-12月期(季節調整系列):-3兆2293億円
2015年1-3月期(季節調整系列):-9699億円
つまり、2015年1-3月期は9699億円の在庫減少になりますが、前期より在庫が減るスピードが2兆2594億円分落ちていた分が在庫品増加ということで、GDPを+0.5%分押し上げていたというわけですね。
在庫減少はその期間以前に作ったものを売ったということで、輸入と同じような扱い方になるわけです。
これを在庫が増えたと勘違いしておられた方がプロ・アマ問わず結構いらっしゃったので改めて説明いたしました。もちろん、「まだ在庫がたくさんあるのにハケが悪かった」のか「生産調整が一段落した」のかはGDP統計だけでは判断できませんが、少なくとも「在庫が増えた分、4-6月期は生産調整が起こるはず」という解釈は正しくないということです。
ちなみに実需を見たければ、在庫品増加の分を引いて見ればよいでしょう。
実質GDPを直接見ると成長率は前期比(季節調整済)で
2014年1-3月期:+1.2%
2014年4-6月期:-1.8%
2014年7-9月期:-0.5%
2014年10-12月期:+0.3%
2015年1-3月期:+0.6%
となりますが、在庫品増加を抜くと
2014年1-3月期:+1.7%
2014年4-6月期:-2.9%
2014年7-9月期:+0.1%
2014年10-12月期:+0.5%
2015年1-3月期:+0.2%
という風になります(上記グラフ参照)。こっちの方が実感に近い数字になるかと思います。ちなみに、内需のみを見たければこれからさらに純輸出を引けばいいわけで、こんな感じのグラフになります。
2014年1-3月期:+1.7%
2014年4-6月期:-3.8%
2014年7-9月期:-0.0%
2014年10-12月期:+0.2%
2015年1-3月期:+0.2%
これを見れば、とてもじゃないですが消費税増税の傷跡から立ち直っているとは到底言えるはずはないと思います。(完全にL字です。)
ついでに、名目GDPについても内需のみで見てみましょう。
2014年1-3月期:+2.4%
2014年4-6月期:-2.6%
2014年7-9月期:+0.3%
2014年10-12月期:+0.4%
2015年1-3月期:+0.1%
ちなみに在庫品増加も純輸出も引かない実際に公表された成長率はこんな感じです。
2014年1-3月期:+1.5%
2014年4-6月期:-0.0%
2014年7-9月期:-0.6%
2014年10-12月期:+0.7%
2015年1-3月期:+1.9%
だいぶ印象が違いますよね(;^_^A?
統計データは正しく読まないと全然解釈が変わってきますので、みなさん注意しましょう。
さて、前置きが長くなりましたが、本題に入るとしましょう。本日2015年4月の消費者物価指数が公表されました。
総務省統計局HPより
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm
結果は以下の通りです。
・CPI(消費者物価指数):
+0.6%(前年同月比)、+0.2%(前月比)
・コアCPI(生鮮食品除く):
+0.3%(前年同月比)、+0.1%(前月比)
・コアコアCPI(食品・エネルギー除く):
+0.4%(前年同月比)、+0.1%(前月比)
(注:前月比は季節調整済みのものを引用しております)
ちなみに前年同月比の方は5月から消費税がかかった項目(電気代・水道代・電話代など)もありますので、そのうちCPI:+0.28%、コアCPI:+0.29%、コアコアCPI:+0.20%の分が消費税による影響と考えてください。
それでは、何がコアコアCPIを押し上げたのか、あるいは下げたのかをランキング形式で発表したいと思います。前月比に関しては品目別の価格指数は季節調整済みのものが存在しないので、ここでは前年同月比のみ取り上げたいと思います。ちなみに消費税増税が関与している項目は除外しております。
コアコアCPI上昇に寄与したランキング(前年同月比)(total:+0.2%)
第1位 高速自動車国道料金 +0.1661ポイント
第2位 自動車保険(任意) +0.12056ポイント
第3位 公立高校授業料 +0.08612ポイント
第4位 航空運賃 +0.03029ポイント
第5位 携帯電話機 +0.02531ポイント
第6位 火災保険料 +0.02794ポイント
第7位 診療代 +0.02009ポイント
第8位 テーマパーク入場料 +0.01933ポイント
第9位 シャンプー +0.01898ポイント
第10位 カメラ +0.0163ポイント
というわけで上位にランクインした項目を見ても分かる通り、このコアコアCPIの上昇分をはるかに上回るコストプッシュが存在するわけですね。テーマパーク入場料なんかはデマンドプルと思われますが、全体でみると現在の物価上昇はコアコアCPIで見てもコストプッシュインフレで、それを除外すると以前デフレのままということになりそうです。ちなみに授業料関連は今年の4月からのアップなので、私立高校や大学etc.も合わせると、これだけで前月比の+0.1%はまるまる吹っ飛びそうですね。
ちなみにコアコアCPIを下げたランキングはコチラ
コアコアCPI低下に寄与したランキング(前年同月比)(total:+0.2%)
第1位 携帯電話通話料 -0.0915ポイント
第2位 持家の帰属家賃 -0.0685ポイント
第3位 テレビ -0.0483ポイント
第4位 外国パック旅行 -0.0366ポイント
第5位 ルームエアコン -0.0243ポイント
第6位 パソコン(デスクトップ型) -0.0208ポイント
第7位 保育所保育料 -0.0198ポイント
第8位 パソコン(ノート型) -0.019ポイント
第9位 民営家賃 -0.0156ポイント
第10位 ビデオレコーダー -0.0112ポイント
携帯電話料金の下落は無料通話アプリ普及の影響でしょうか?2位の持家の帰属家賃の下落はここ一年、家を建てる人が減っていたということの表れかもしれませんね。ただ、こうして見てみるとトップ10のうち半数を電化製品が占める結果となっていたということで、まだまだ需要の回復は遠いようです。
ついでに、こちらのニュース
家計調査:消費支出1.3%減…4月 増税後の回復鈍く
http://mainichi.jp/select/news/20150529k0000e020231000c.html
増税直後の昨年4月よりもさらに家計の消費支出は減っているという状況のようです。
それもそのはず、勤労者世帯(二人以上世帯)の収入および各構成員の収入の寄与度をみるとこんな風になっています。
実質実収入:+2.0%
世帯主収入(寄与度):-0.97ポイント
配偶者の収入(寄与度):+0.28ポイント
他の世帯員収入(寄与度):+0.54ポイント
事業・内職や社会保障給付など(寄与度):+2.16ポイント(計算)
世帯主の稼ぎが著しく低下している中、家族総動員でなんとか家計を支えている状況だというわけですね。世帯全体でみると今回は収入増となってはおりますが、このような状況では財布の紐が固くなるのも仕方ありません(一応勤労者世帯に限れば実質消費支出は+0.5%となってはおりますが)。
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