『グローバリズムが世界を滅ぼす』・その1 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回は『グローバリズムが世界を滅ぼす』(文春新書)の感想を書いてみたいと思います。

 この本は昨年末京都で開かれた「グローバル資本主義を超えて」というシンポジウム(登壇者:藤井聡、ハジュン・チャン、柴山桂太、エマニュエル・トッド、中野剛志)の内容およびその翌日行われた登壇者同士の対談、さらにその後日行われた中野剛志氏とエマニュエル・トッド氏の対談(堀茂樹氏による通訳・司会)が収録されております。


 ちなみにシンポジウムの動画は下記サイトにてご覧いただけます↓


グローバル資本主義を超えて

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/bgc/presentation/index.html


 藤井氏・柴山氏・中野氏については日本語の講演で、レジュメも日本語ですので直接動画を見ていただくとして、当ブログではハジュン・チャン氏とエマニュエル・トッド氏の講演、そして中野氏とトッド氏の対談をピックアップして感想をまとめたいと思います。(なんせ、シンポジウムでは同時通訳があったんですが、よく聞きとりにくくて・・・。こうやって活字になると分かりやすくていいですね。)


 それでは、今回はハジュン・チャン氏の講演についての感想をお送りします。


「新自由主義の失敗と資本主義の未来」


・いまだ高い失業率


 リーマンショック後もいまだに失業率は世界中で高水準。ピークを過ぎたとはいえ失業の問題はいまだに深刻というわけですね。チャン氏は失業にカウントされない人(フルタイムの仕事が見つからずやむなくパートタイムの仕事をしている人、仕事を探すのを諦めた人)についても問題視しておりますが、まったくその通りだと思います。日本においても失業率は改善傾向ですが、非正規雇用の雇用ばかり拡大しているのが問題となっておりますしね。


・ネオリベラリズムの不実な擁護者たち


 二十世紀末から世界の有名エコノミストたちは「もう不況は起こらない」と豪語しており、アメリカで住宅バブルが発生しても「大丈夫大丈夫」と言い続け、いざリーマンショックが起こると「今回は仕方ない。誰も予想できなかった。」なんて言っていたと。

 ふざけるなヽ(`Д´)ノ!!!!!!!

 そう言えば、TPPやっても大丈夫大丈夫、消費税あげても大丈夫大丈夫、移民入れても大丈夫大丈夫って言っているのが日本国内にも結構いるみたいですねぇ。不真面目すぎる(怒)。


・所得格差は一国単位で考える


 世界の三分の二の国々で国内格差が拡大してきているらしいのですが、ネオリベグローバリストは「いやいや、貧困国が豊かになってきているから世界全体では格差は縮まっているんだよ。」と言ってくるらしい。アフリカや中国が豊かになるなら日本の貧困層は苦しい思いをしても我慢しろというのがネオリベ連中の言い分ということですね。しかし、格差が問題になるのは同じ社会の中で格差があるから問題なのであって、日本の貧困層が不満を抱くとすれば、海外の豊かな国ではなく日本の富裕層でしょう。


・危機の始まりは2008年ではない


 ネオリベ野郎どもは経済はリーマンショックまでずっと安定していたと思い込んでいたらしいですが、実際は1980年代から金融危機は世界中で頻繁に起きていたと。どうやらネオリベのせいで生産・雇用・金融が不安定化していたのにインフレ率が落ち着いていたから安定していたと思い込んでいたらしいです。そんな中、さらに生産・雇用・金融をより不安定化させようと目論んでいるのが、そう、我らがドリル安倍!!なんも分かっちゃいない・・・。本当になんも分かっちゃいない・・・。


・ネオリベラリズムは成長をもたらさない


 「格差は拡大しても、経済は成長する、富は増えるから我慢しろ」と言われて進められてきたネオリベ政策。理屈は富裕層にお金を集めれば、たくさん投資とかしてくれるから経済成長するだろうというトリクルダウン理論。結果、ネオリベ政策導入後の各国の経済成長はダダ下がり。先進国は社会が成熟して成長しにくいんだという反論もありますが、なんと途上国でも経済成長ダダ下がり。完全にネオリベ政策のせいでしょこれは。

 そういえば、日本では中小企業や消費者には増税でお金を巻き上げ、法人税減税で大企業にお金を集めようとしているようですね。経済成長ダダ下がりすると分かっている政策をこの国の政府はなんと呼んでいるか・・・。それは・・・

 「成長戦略」!!!

 アホか・・・。


・コントロール不能の金融商品


 21世紀に入って、複雑でへんてこな金融商品が山のように開発されて、もはや誰もどうなっているか理解できない状態らしい・・・。そして、ひとたび儲かりそうという噂がたてば、ある国に一斉に世界中からマネーが集まり、もれなく数年後に金融危機の一丁上がりってわけですね。と言うかいい加減、金融の規制を強化した方がいいんではないかい?特に外資規制。え?外資が入ってきやすいようにしようとしているって?

 

・短期利益の最大化とコストカット


 株主を喜ばせるため企業は設備投資や研究開発にお金を回さず、コストカット(従業員の人件費削減や仕入れ値の値切りなど)によって短期的な利益を得ようとするようになったと。

 あぁ、こんなことばっかりやってるから経済成長しないというわけですね。投資は将来にしか恩恵を受けることはできませんが、コストカットだとすぐに利益が出るからという理屈だそうで・・・。


・「株主価値の最大化」が投資を抑制


 株主はその会社がどうなろうと知ったことではないのです。え?会社がつぶれたら株主も困るんじゃないの?いえ。株主は自分の儲けが最大になったところで、会社がつぶれる前にワンクリックで別の会社の株主になることができますので。しかも、アメリカとかイギリスでは会社は利益の89~94%を配当として株主に差し出していると・・・。そして、そのせいで破産したのがかの有名なゼネラルモーターズ

 さすがに日本では配当の割合は30~50%くらいのようですが、企業は株価を上げるために、配当の割合を増やしたがっているようですね。消費税で国民からお金を巻き上げ、それを法人税減税によって企業に回し、そのお金はグローバル投資家へという流れなわけですか。へぇ・・・。


・マネーに翻弄される途上国


 途上国は市場の規模がアメリカなんかに比べるとかなり小さいので、アメリカの株式市場のほんのわずかな資金が流れ込むだけで、一夜にして株価が何割も上がったりするわけです。つまり、途上国程、金融危機を引き起こしやすいというわけですね。しかも一気に通貨高になって輸出も難しくなると・・・。

 グローバリズムってやっぱりろくでもないですね。


・産業育成の手段を奪われた途上国


 現在はWTOさらには自由貿易協定のルールなどで自国の産業を保護して育成することを禁じられていっている状況ですからね。途上国は製造業や建設業などを発展させることができなくなっているというわけです。

 TPPを始めとして、どこそこと自由貿易協定を結びたがろうとしている日本政府ですが、それをやってしまったが最期、自国の産業の育成が禁じられ、あとはカネの奪い合いのみが始まるという・・・。

 グローバリズムってやっぱりろくでもないですね。


・途上国の発展に必要な規制


 資本移動の規制や貿易投資に関するルールの見直しが必要ということですね。

 理想は1960~1980年の日本や韓国ということらしいです。

 とりあえず、20年も不況を続けているわけだから、高度成長時代のやり方に戻してみようなんて考え付かないものですかね。


・長期的投資を可能にする金融システム


 チャン氏いわくリスク資産保有を禁止するとか、長期安定株主に多くの議決権を与えるとかすべきとのこと。

 いいですねぇ。だいたい金融を無法化した結果が低成長、格差拡大、金融危機頻発なわけですし。

 

 チャン氏の言いたかったことにはかなり共感できました。感想をまとめると

 ネオリベ反対!!グローバリズム反対!!

 安倍政権はネオリベ政策をやめろ!!グローバリズム推進をやめろ!!


 というわけで、次回はエマニュエル・トッド氏の講演内容についての感想を。


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